Joe Farnsworth / In What Direction Are You Headed?


Immanuel Wilkins (as)
Kurt Rosenwinkel (g)
Julius Rodriguez (p, rhodes)
Robert Hurst (b)
Joe Farnsworth (ds)

Recorded August 31, 2022 at Sear sound Studio C, New York City
Produced by Paul Stache & Damon Smith
Recording, Mixing & Mastering Engineer: Chris Allen
Assistant Engineer: Steven Sacco
Photography: Matt Baker
Immanuel Wilkins appears courtesy of Blue Note Records
Kurt Rosenwinkel appears courtesy of HeartCore Records
Julius Rodriguez appears courtesy of Verve Records
Executive Producers: Paul Stache & Molly Johnson
(Smoke Sessions Records SSR-2304)

1. Terra Nova (Rosenwinkel) 7:13
2. Filters (Rosenwinkel) 9:29
3. In What Direction Are You Headed? (Mabern) 10:33
4. Composition 4 (Wilkins) 5:00
5. Anyone but You (Rodriguez) 6:44
6. Sage Corners (Rosenwinkel) 
7. Bobby No Bags (Farnsworth) 5:31
8. Someday We'll All Be Free (Hathaway / Howard) 9:55

前作「Joe Farnsworth / City of Sounds(21年、別頁あり)」以降も、「Harold Mabern / Mabern Plays Coltrane(21年)」「Thomas Linger / Out In It(22年)」「Jesse Davis / Live at Smalls Jazz Club(23年)」「Jim Snidero / Far Far Away(23年)」(各別頁あり)と多くのアルバムに参加していて絶好調の感があるジョー・ファンズワースだけど、その背景には彼の人柄に加えて、ケニー・ワシントン、ルイス・ナッシュといった同傾向(オーソドックスなタイプ)のドラマーの先輩格が昔ほど積極的な活動はしていないことも関係しているのかもしれない。そんなファンズワースの新録だけど、メンバーがコンテンポラリーなジャズシーンで大活躍中のイマニュエル・ウィルキンスにカート・ローゼンウィンケル(上記ジム・スナイデロ盤でも共演)、初聴きのジュリアス・ロドリゲス、レコーディングとしてはこれが初共演と思われるロバート・ハーストなのだから大いにそそられる。
ファンズワースの音楽性に歩み寄った演奏ではあるけれど、各人の個性はきちんと発揮させている。ギターのトーンだけでも誰が弾いているのか分かるローゼンウィンケルといい、若手アルト奏者の中では個人的に最も買っているウィルキンスといい、二人とも期待どおりのご機嫌なプレイで聴かせてくれるし、ソロの出番はそんなに多くないながらも、ロドリゲスのピアノも相当なものだし(曲によってのエレピもいいアクセント)、土台をガッチリと支えているハーストの骨太なベースも存在感がたっぷり。肝心のファンズワースも、特にアルバムタイトルにもなっている16フィールの3曲目「In What Direction Are You Headed?」での手数の多いドラミングが印象的。この曲はエリック・アレキサンダーのカルテットでも一緒だった故ハロルド・メイバーンの曲なので、彼への想いもあってここまでハッスルしたのかもしれないいが、どの曲を取ってもメンバーに相当インスパイアされたと見えて、ドラミング自体は普段と変わらないながらも、イケイケな曲ではいつも以上にアクティブなプレイをしているのだから(ソロを取っている曲も多い)、なんともたまらない。これらの曲をやるには適任のドラマーが他にいっぱいいるけど、そこをあえてファンズワースが叩いているのがバンドとしての面白さ(古さと新しさが絶妙にミックス)へと繋がっている。各人持ち寄りのオリジナル主体の楽曲もどれもが良好。その中でもアップテンポの4ビートの5曲目「Anyone but You」(ロドリゲス曲)は特に気に入った。
演奏は想像していた以上に良いし、録音もベース・ウォーキングが激しい曲では不明瞭ながらも(おそらくハーストの出の音自体の問題)、各楽器の音質、バランス共に上々で、本作は音的にもルンルン気分で楽しめた。

評価 ★★★★ (4/5)

In What Direction Are You Headed?
Joe Farnsworth
Smoke Sessions Rec
2023-05-19