Eric Alexander / A New Beginning

Eric Alexander (as)
David Hazeltine (p)
John Webber (b)
Joe Farnsworth (ds)

Executive  Producer: Diane Armesto
Co-Executive Producer: John Bennett
Recording session produced by Diane Armesto
Eric Alexander Quartet recorded at Van Gelder Recording Studio, Englewood Cliffs, NJ on August 28, 2021
Engineered by Maureen Sickler
Mixed by Chris Sulit, Trading 8s Recording Studio, Paramus, NJ
Strings recorded at The Studios at Linden Oaks, Rochester, NY on December 14, 2021
Engineered and mixed by Tim Hull
Project mastered by David Darlington, Bass Hit Recording Studio, New York, NY
Photography and design by Keiji Obata, Littlefield & Company
(HighNote Records HCD 7342)

1. Blues for Diane (Eric Alexander) 5:42
2. Embraceable You (George & Ira Garshwin) 5:42
3. All My Tomorrows (Sammy Cahn / Jimmy van Heusen) 4:56
4. Maybe September (Ray Evans / Jay Livengston/ Percy Faith) 7:20
5. To Love and be Loved (Sammy Cahn / Jimmy van Heusen) 4:55
6. Anita  (Eric Alexander) 3:46
7. She was too Good to Me (Richard Rodgers / Lorenz Hart) 4:46
8. Too Late Now (Alan Jay Lerner / Burton Lane) 5:41
9. Blues for Diane (Alternete Take)  (Eric Alexander) 6:47
String arrangements and Conducting by Bill Dobbins (tracks 2-8 only)

エリック・アレキサンダーとデヴィッド・ヘイゼルタイン、ジョン・ウェバー、ジョー・ファンズワースは「Eric Alexander Quartet / Prime Time(08年)」「One For All / Incorrigible(10年)」「Jim Rotondi Quintet / Live at Smalls(10年)」(各別頁あり)でも共演しているし、他の多くのアルバムでも一緒のことが多いのだが、本作では盟友ヴィンセント・ハーリングにインスパイアされたのか、テナーではなくアルトを吹いているのが興味深い。二人は近作「Harold Mabern / Mabern Plays Coltrane(22年、別頁あり)」でも共演しているし、今夏には小林陽一のThe Battle Japan Tour 2023でも揃って来日する予定。
ほとんどの曲にストリングスが加わっているので、元祖であるチャーリー・パーカーのウィズ・ストリングス的なことをやってみたかったのだと思うけど、実際のプレイはバラード調の演奏がメインながらも甘口にはなっておらず、いかにもアレキサンダーらしく威勢よく吹いているのがいい塩梅。プレイ的にはパーカー、ハーリングのアイドルであるキャノンボール・アダレイ、それにフィル・ウッズを足して3で割ったような感じなので、タイトルの「A New Beginning」どおりに今後もアルトを併用するのだとすると、ロリンズ、コルトレーン的でカッコいいけどマンネリ気味だったテナーとの差別化が図れて、演奏の幅も広がるだろう。ヘイゼルタインが数曲でソロを取っている以外は、バックのメンバーは控えめなプレイに徹しているにも関わらず最後まで飽きさせないのは、アレキサンダーのプレイがそれだけ魅力的だからに他ならない。クレジットを見るとオーバーダブのようだけど、ビル・ドビンズのアレンジによるストリングスが本当に必要な部分だけにしか入ってこないのも、その上手さを際立たせている。カルテットのみの1曲目「Blues for Diane」と9曲目(別テイク)ではアプローチを変えた二種類のソロも楽しめるし、トータル48分という長さもちょうどよく、バラード系のアルバムとしては久しぶりにいい感じの演奏が堪能できた。
録音はアルトとストリングスが少々硬質なので、フラット指向のオーディオで聴くとキツく感じるかもしれないが、私の装置は柔らかめの音にチューニングしているのでそんなこともなく、音的にも気分良く楽むことができた。

評価 ★★★★ (4/5)

A New Beginning - Alto Saxophone with Strings
Eric Alexander
Highnote
2023-04-21