Misha Tsiganov / Misha's Wishes

Misha Tsiganov (P, Rhodes)
Alex Sipiagin (Tp, Flh)
Seamus Blake (Ts)
Boris Kozlov (B)
Donald Edwards (Ds)

Produced by Jerry Teekens
Recording Engineer: Mike Marciano
Mixing and Mastering: Mike Marciano
Recorded: September 9, 2021
Recorded, mixed and mastered at the Samurai Hotel Recording Studio, Astoria, N.Y.
Photography: Anna Yatskevich
Cover design: Jerry Teekens / Bloemendaal in Vorm
(Criss Cross Jazz  Criss 1409 CD)

1. Fire Horce (Misha Tsiganov) 7:14
2. Strike Up the Band (George Gershwin) 8:32
3. Misha's Wishes (Misha Tsiganov) 5:35
4. There Was a Birch Tree in the Field, So What (Vo Pole Beryozka Stoyale, Nu Ee Shto) (Russian Folk Song) 6:10
5. Lost in Her Eyes (Misha Tsiganov) 2:18
6. Just a Scale (Misha Tsiganov) 6:08
7. Give Me Five (Misha Tsiganov) 8:21
8. Hope and Despair (Misha Tsiganov) 7:15
9. Comrade Conrad (Bill Evans) 7:21
10. Are You With Me (Misha Tsiganov) 7:51

ミシャ・シガノフのリーダー作を買うのは、「Misha Tsiganov / Dedication(12年)」「Misha Tsiganov / The Artistry Of The Standard(14年)」「Misha Tsiganov / Spring Feelings(16年)」「Misha Tsiganov / Playing With The Wind(19年)」(各別頁あり)に次いで5枚目。本作のメンバーはその中の「The Artistry Of The Standard」と一緒だけど、ピアノだけがデヴィッド・キコスキに代わってのOpus 5(「Opus 5 / Tickle(15年)」等別頁あり)の新作「Swing On This」も近々リリースされるので、本作のレコーディングはその流れなのだろう。シガノフにとって欠かせない存在のアレックス・シピアギンは、シーマス・ブレイクと共に、移住先のヨーロッパから駆けつけたようだ。
例により2管編成での現代ハードバップ(4ビートがメイン)だけど、ダークな曲調が少なめなのが、これまでとは異なる点。その分モーダル臭も薄れているのだが、私が好きな演奏に変わりはない。
フロントのシピアギンとブレイクが一糸乱れぬテーマ・アンサンブルと、華麗なソロで聴かせてくれるし、ハービー・ハンコック的なスタイルに、マッコイ・タイナー的な力強さやビル・エヴァンス的な美しさを加味したシガノフのピアノ(曲によってはエレピも弾いている)も、コンピングを含めて実にいい。ボリス・コズロフは3曲目「Misha's Wishes」でのちょっとしたソロ以外はバッキングに徹しているけれど、その代わりにドナルド・エドワーズが数曲でソロを取っていて、ドラム好きの私をノリノリにさせてくれる。
既成曲を含めて、楽曲はどれもが良好。その中でもハードバピッシュな4ビートだけど「カツ・カツ」ビートの場面もある1曲目「Fire Horce」、ガーシュイン曲を3/4拍子とアップテンポの4/4拍子でやっている2曲目「Strike Up the Band」、アップテンポでタイナー調の4曲目「There Was a Birch Tree in the Field, So What」は特に気に入った。
演奏には満足するし、録音も各楽器が理想的な音とバランスで録れていて、流石にエンジニアがマイク・マルシアーノ(ミキシング、マスタリングも担当)だけのことはあるなあと思わせてくれる。本作がここまで良いとなると、Opus 5 の方も大いに期待できそうだ。

評価 ★★★★ (4/5)

Misha's Wishes
Tsiganov, Misha -Quintet-
Criss Cross
2022-02-04