Yelena Eckemoff (P, Composirions)
Paul McCandles (Oboe, English horn, Ss, B-Cl, Penny-Fl)
Arild Andersen (B)
Peter Erskine (Ds, Per)
Recorded Dec. 8-9, 2015 at Conway Studios, Hollywood, CA
Recording engineer: Rich Breen
Mixed and mastered by Rich Breen at Dogmatic Sound, Burbank, CA
Story, poems, cover paintings, and design: Yelena N. Eckemoff
Band photos: Vanja Srdic, Frame House Media
Produced by Yelena Eckemoff
1. Bedouins 9:25
2. Mirages 7:39
3. Desert's Cry 5:58
4. Dance 8:26
5. Colors of Nothingness 6:47
6. Condor 4:12
7. Oasis 4:59
8. Dust Storm 8:32
9. Desert Remained 5:29
10. Garden of Eden 5:30
11. Sands 7:30
Music by Yelena Eckemoff
昨年リリースされた「Yelena Eckemoff Quintet / In the Shadow of a Cloud(17年、別頁あり)」がなかなか良かったエレーナ・エケモフ(モスクワ出身)の最新作。と思いきや録音は2015年なので、時系列的には「Yelena Eckemoff Trio / Glass Song(12年録音、別頁あり)」と「In the Shadow of a Cloud(16年録音)」の間ということになる。メンバーのアリルド・アンデルセンとピーター・アースキンは、「Glass Song」にも参加。本作ではそこにポール・マッキャンドレスも加わっているだけあって、Oregonにも通じる演奏が展開されているのだが、現在のOregonと同様に温度感は高い方。1曲目からアースキンの長めのドラムソロが用意されているし、アンデルセンのいかにも北欧的で正確無比なバッキングやベースソロも聴き応えがあって、早くも買ってよかったという気分にさせてくれる。楽曲は何らかの情景(砂漠がテーマとなっているようだ)が浮かんでくるような非4ビートが主体となっているけれど、それがまたマッキャンドレスの音楽性ともよくマッチしていて実にいい塩梅だし、肝心のエケモフの抒情性豊かなピアノも聴き応えがたっぷり。2曲目や5曲目では途中からフリーな展開になっていたり、4曲目には中東色も感じられたりして、これまで聴いてきたエケモフとはまた一味違った印象を受ける。それと曲によってはオーバーダブされているアースキンのパーカッションもいいアクセント。これだけのメンバーが揃っているだけあって、各人のプレイを聴いているだけでも充分楽しめるし、当然ながらバンドとしても調和の取れた演奏をしていて、どの曲をとってもいい感じで楽しませてくれる。ただしトータルで74分はちょっと長い気もするけどね。ゆったり目のテンポの似たような曲調が多いので、3曲ぐらいカットした方がメリハリのついたアルバム構成になってよかったのではと思う。
演奏が想像していた以上に素晴らしいのに加えて、本作は録音の良さも特筆もの。各楽器が非常にリアルに録れていながらもうるささは一切感じさせなくて、私としてはこの音の良さだけでもノックアウトされてしまった。特に1曲目でのアースキン・ソロのドラムの音は鳥肌ものなので(ジャケット内の写真を見ると2014年の渡辺貞夫スーパービッグバンドのコンサートと同様、TAMAの黄色い2タム2フロアのセットを使っている)、これは今年の最優秀録音候補にしておこう。
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)