Ronnie Cuber / Ronnie's Trio

Ronnie Cuber (Bs)
Jay Anderson (B)
Adam Nussbaum (Ds)

Recorded April 2017
Recording: Chris Sulit
Mix & Mastering: Nils Winther
Photos: Nils Winther
Liner Notes: Niel Tesser
Rroduced by Nils Winther
(SteepleChase SCCD 31848)

1. Silver's Serenade (Horace Silver) 5:50
2. What is This Thing Called Love (Cole Porter) 4:18
3. St. Thomas (Sonny Rollins) 5:22
4. Jean-Marie (Ronnie Mathews) 7:10
5. Body and Soul (Johnny Green) 5:21
6. The Jody Grind (Horace Silver) 6:33
7. Just Squeeze Me (Duke Ellington) 7:46
8. Bernie's Tune (Bernie Miller) 4:53
9. So Danco Samba (Antonio Carlos Jobim) 5:18
10. Honeysuckle Rose (Fats Waller) 7:45
11. All the Things You Are (Jerome Kern) 7:57
12. Lover Come Back to Me (Sigmund Romberg) 4:31

ロニー・キューバーは、スタジオミュージシャン仲間であるスティーヴ・ガッドが90年代に結成したThe Gadd Gangや、音楽的に同じような流れの「Steve Gadd and Friends/Live at Voce(10年、別頁あり)」でのプレイも決して悪くはないのだが、「Ronnie Cuber Quartet/Ronnie(09年、別頁あり)」「Ronnie Cuber / Boplicity(12年、別頁あり)」等の純ジャズの方がキューバーの本質なのは言うまでもないだろう。1941年生まれの老齢にもかかわらず、今回は新たにサックストリオに挑んでいるのだから大したもの。同じバリトン奏者としては、ゲイリー・スマリアンも「Gary Smulyan/Hidden Treasures(06年、別頁あり)」で素晴らしいトリオ演奏を繰り広げていたけれど、本作の方はメンバー的なこともあって、そこまでバイタリティーに溢れてはいない気がするものの、それでも2曲目や12曲目はけっこう高速だったりして、それなりにガッツのある演奏で聴かせてくれる。キューバーのプレイに年齢的な衰えが感じられるのは息が長く続かなくなったことだけだし、バッキングだけではなくほとんどの曲でソロも取っているジェイ・アンダーソンは、逆に年を取るほどに良くなっている感じ。ジョンスコ・トリオの時代から大好きなアダム・ナスバウムは、曲調的なこともあって手数が少なめではあるけれど、それがむしろトリオとしてのバランスのよさに繋がっているね。「St. Thomas」「Body and Soul 」「Just Squeeze Me」「Bernie's Tune」「So Danco Samba」「All the Things You Are」等、大好きな曲を多く取り上げていることも相まって、どの曲をとってもノリノリで楽しませてくれる。ただしトータルで72分は、いくらなんでも長すぎ。あの曲もこの曲もやりたい気持ちは分かるけど、ミディアムテンポの似たような感じの演奏が多く、曲ごとの変化に乏しいので、2~3曲カットしてもよかったのではと思う。でも不満な点はそれだけで、私としては久しぶり(「Tony Lakatos / Standard Time(14年、別頁あり)」以来)にナスバウムのドラミングが聴けただけでもルンルン気分になってしまった。
本作の録音はSteepleChase盤のわりには平面的ではなく、ちゃんと立体感のある音で録れているし、各楽器の質感やバランスも良好。ここ2~3年はそういうアルバムが増えているので、初期の頃のSteepleChaseのように音に対しても力を入れるようになったのは間違いなさそうだ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Ronnie's Trio
Ronnie Cuber
Steeplechase
2018-05-04