
Yelena Eckemoff (P)
Chris Potter (Ts, Ss, Fl, Bass-Cl)
Adam Rogers (G)
Drew Gress (B)
Gerald Cleaver (Ds)
Rec. December 20-21, 2016, NYC
(L & H Production L&Hcd806151-25)
バックのメンバー買い。リーダーのエレーナ・エケモフ(モスクワ出身)を聴くのはこれが初めてと思っていたけれど、自ブログで検索したらアリルド・アンデルセン、ピーター・アースキンとのトリオ作品「Yelena Eckemoff Trio / Glass Song(13年、別頁あり)」も所有しているのが見つかった。そちらは静的な演奏がメインだったのだが、本作ではクリス・ポッター、アダム・ロジャース、ドリュー・グレス、ジェラルド・クリーヴァーとの共演なので、エケモフの音楽性自体は変わらないと思うけど、また一味違った演奏が堪能できそうだ。
全14曲(CD1が7曲、CD2が7曲)がエケモフのオリジナル。
CD1は比較的ゆったり目のテンポの非4ビート曲が主体ではあるけれど、各人が持ち味をきちんと発揮しているので、静的な印象は受けない。メンバーの中ではポッターが曲により楽器を持ち替えながら大活躍。またロジャースも素敵なプレイで聴かせてくれるのだが、この2人が参加しているからといってもChris Potter Underground的ではないのが、プロとして当然のことではあるけど素晴らしい。2人ともエケモフの音楽性に完全に同調したプレイをしているし、リズム隊のグレスとクリーヴァーも同様なおかげで、どの曲をとってもいい感じの演奏を楽しむことができる。曲によってはエケモフがアドリブらしいアドリブを取っていなくて、バッキングの他にはポッターやロジャースのアドリブとの同時進行でオブリガート的に弾いているだけに留まったりもしているけれど、そういう自分の能力の限界を知っているからこその奥ゆかしいプレイも、他のピアニストとは異なった個性へと繋がっていて好感が持てる。ポッターやロジャースが休んでいて演奏の雰囲気を変えている曲があるとはいえ、曲調自体はどれもが似通っているので、この調子でトータルで97分もやられてはどんなに演奏内容が良くても退屈するだろうと思っていたら、CD2の方は4ビート曲を主体としながら、CD1よりもいい意味で煩めの曲が多く収録されているのでホッとした。
せっかくこれだけのメンバーが揃っているのだから、もっとエネルギッシュな演奏があってもよかったのではと思うけど、少なくとも「Yelena Eckemoff Trio / Glass Song」よりは私好みの演奏が楽しめたわけなので、これでよしとしよう。本作は録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)も、温かみのある各楽器の大きめな音像には実在感を感じるし、バランスも完璧で、ファーバー録音としては久しぶりに満足のいくサウンドが堪能できた。
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)