Alex Machacek(G)
Jeff Sipe(Ds)
Neal Fountain(B)
Rec. June 29,2008,Lincoln Theatre,Raleigh (Abstract Logix ABLX014)
タイトルが長くて入りきらないが、正確には「Alex Machacek,Jeff Sipe,Neal Fountain/The Official Triangle sessions」と、3人の共同名義になっている。
アレックス・マクヘイサックは「Alex Machacek,J. Sipe,M. Garrison/Pmprovision(別頁あり)」と「Terry bozzio,P. O'Hearn,A. Machacek/OUT Trio(別頁あり)」の2枚でしか聴いたことがないのだが、デニス・チェンバース絡みの「Greg Howe/Extraction(別頁あり)」のグレッグ・ハウや「CAB」諸作品のトニー・マカパインに並ぶほどの、アラン・ホールズワースの流れを汲む超絶技巧派ギタリストなので、あっという間にファンになってしまった。この3人(ホールズワースも含めると4人)はやっている音楽もハードコア・フュージョンの極致って感じでホント凄いよね。ロックとも密接な関係にある人たちなので、これからも世のギター小僧たちの大きな指針となってくれるに違いない。
本作のメンバーのうち、ドラマーのジェフ・サイプは前作の「Pmprovision」から引き続き。ベースはマシュー・ギャリソンからニール・ファウンティンに代わっている。初めてなのでどんな人かなと思って調べてみたけれど、ネット上での情報は本作以外は極端に少なくて、All About Jazzのページがあるのをようやく発見。彼が参加している「Megaphone Man(99年)」というアルバムがリリースされていることが分かった。YouTubeの映像を観ると、どうやらロック系の人ではないような感じだね。
全7曲がマクヘイサックのオリジナルのようだ。
シンセのハーモニーの持続音とギターが同時に聴こえたりするので多重録音かなとも思ったけれど、ライブ盤なのでそうではないんだね。いったいどんなエフェクターやシンセ音源をどのように接続すればギタリストとシンセ奏者の二人がいるように聴こえることやら、現代のテクノロジーには疎いし、なによりもギターに関しては全くの門外漢なので分かるはずもないのだが、傍から見るともうこれだけでも凄いと感じてしまう。
楽曲は静的なものと動的なものがバランスよく配列されている。パッと聴きではサウンド的にホールズワースの匂いがプンプンするのだが、そればかりではなく例えば5曲目なんかではECMレーベルを代表するような幻想的な一面も見せていたりして、マクヘイサックの音楽性には引き出しの多さ感じる。基本はホールズワースであっても、ちゃんと自分なりのオリジナリティを持っているんだね。またかなりジャズ的なアプローチも見せていて、三者による丁々発止なプレイが非常にスリリングだし、実際4曲目では曲の途中から4ビートにもチェンジする。
マクヘイサックのギターはテクニカル極まりないのだが、ナチュラルな音色で弾いているときは分かりやすくいうとスティーブ・カーンのようなクールな感じで弾いているし、エフェクターを使って曲を盛り上げるときにはこれでもかというぐらいの超絶技法でギンギンに弾きまくっていて、まるで違うギター奏者が二人いるかのような変貌ぶり。そこにシンセの音も絡んでくるのだから、一人で三役をこなしているって感じで、やっぱりこの人は凄すぎだね。
それに対抗するニール・ファウンティンとジェフ・サイプも決して負けてはいない。ファウンティンはホールズワースのバンドで弾いているときのジミー・ジョンソンに近いものがあるかな。あとドミニク・ディ・ピアッツァとかね。基本はジャコパス系だと思うけど、いずれにしてもYouTube映像とは比較にならないほどにはるかに凄いことをやっている。またサイプも2拍目4拍目のバックビートをあまり強調することのない、非常にテクニカルなビートで応戦しまくっている。彼の場合はドラミング自体がかなりジャズ的な要素が強いね。まあチャド・ワッカーマンなんかもそうなんだけど、もしかするとテクニック的にはサイプの方が上かもしれない。前作のときは「少し物足りない」と書いてしまったけれど、これだけ説得力のあるドラミングをしているのだから、それは撤回せざるを得ないだろう。ライブということも相まって、マクヘイサックだけではなくこの2人のプレイも存分に楽しむことができる。
どの楽曲も非常に完成度が高いのだが、それでいながら演奏自体は自由度が高いというのが凄いよなぁ。これがライブだとはとても信じ難い。わたし的には文句なしの満点だね。ホールズワースのファンだったら、本作を聴いてみても決して損はないと思う。
評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)