Randy Brecker(Tp,Flh)
Nabate S.Isles(Tp)
Joe Ford(Ss,As)
Jay Hoggard(Vib)
Uri Caine(P)
Buster Williams(B)
Grady Tate(Ds)
Rec. Octber 10-11,2001 NY (M&I MUCJ30130)

未開封盤聴きの4日目。
本作はリー・モーガン、ベニー・ゴルソン、フィリー・ジョー・ジョーンズ、ジミー・ヒース、ボビー・ティモンズ、ジョン・コルトレーン、マッコイ・タイナーといったフィラデルフィアにゆかりの深いジャズメンが作曲したナンバーを、フィラデルフィアの出身者が中心となって演奏するという企画のようだ。でもライナーによるとメンバーの中でフィリー出身者はランディ・ブレッカーとユリ・ケインだけで、他の人たちは違うんだね。この辺に企画の甘さを感じるし、どうせ違うんだったらベースとドラムスはもっと活きのいい若手を起用して欲しかった。なんか人選的にいまいちなんだよなぁ。なんて聴く前から愚痴を言ってもしょうがないか(苦笑)。

全11曲。全員が一緒にやっているというわけではなく、曲ごとにメンバーを入れ替えていて、最高でもセクステットでの演奏。
いきなりボサノバからのスタートというのが変。私がイメージしているフィリー・サウンドはもっと威勢のいい感じなんだけどな。
2曲目もゆったりした曲。4ビートなのはいいけれど夜の雰囲気がないので、これもイメージとちょっと違う。
3曲目のモーガンの名曲「Speedball」でようやく演奏に火が付いてきたって感じかな。ランディも活きのいいアドリブを披露している。
4曲目はバラードで、ユリ・ケインとジェイ・ホガードのデュオ。決して悪くはないのだが、もうフィリー・サウンドのイメージからは思い切りかけ離れてしまった。以降の曲はフィラデルフィアを意識しないで聴くこととしよう。
と思っていたら5曲目は大好きな「Gingerbread Boy」(ヒース曲)じゃないの(苦笑)。こんなアップテンポなのを待っていたんだよねぇ。
6曲目はタイナーの「Blues On The Coner」で、これはまあ普通。でもグラディ・テイトの2、4拍打ちのスネアは止めてほしいなぁ。これだと高校生のブラバンのジャズ・ドラミングとなんら変わらないっす。ブレイキーを意識してだとは思うのだが、だとしたらもっとザックザックした刻み方でしょうが。
7曲目はアップテンポなので合格。8曲目はバラードだが、コルトレーンの「Central Park West」なのでもちろん○。9曲目も○で、ここではケインが聴かせてくれますなぁ。10曲目はまたバラードなので×。ラスト曲はアフロなノリの4ビートで締め。これはまあまあでしょう。
アルバムとしては、昔GRPからデビューしてその後どこかへ消えてしまった感のある、ジェイ・ホガードのバイブを久々に聴けたのが嬉しかった。最大の欠点はドラムスがグラディ・テイトだということ。彼のようなドラミングだと完全に役不足ですわ。まあそう思って今までCD棚に眠らせていたんだけどね(笑)。
フィリー・サウンドというイメージには程遠く、単に「フィラデルフィア出身者の曲だけ集めて演奏してみました」ぐらいの作品ですな。本当にフィリー・サウンドのアルバムを作りたいのだったら、少なくともクリスクロスの「John Swana&The Philadelphians/Philly Gumbo Vol.1&2(Vol.2は別頁あり)」ぐらいのことはやってもらわないとお話になりません。

評価☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)