Chick Corea(P)
Michael Brecker(Ts)
Eddie Gomez(B)
Steve Gadd(Ds)
Rec.January&February,1981,Mad Hatter Studios,LA

「懐かしの一枚」コーナーではマイ・フェイヴァリット・ミュージシャンであるチック・コリアの作品を多く取り上げているが、肝心の本作をすっかり忘れていた(苦笑)。
チックにエデイ・ゴメス、スティーブ・ガッドの組み合わせは「妖精」「マッド・ハッター」「フレンズ」(共に別頁あり)でもお馴染みだが、そこに今度はステップスの流れからマイケル・ブレッカーまでが参戦していていて、当時としては最強の組み合わせとなっている。チックとマイケルの顔合わせはこれが初めてだったのかな?この2人はけっこう共演しているようで意外とやっていない。
70年代のマイケルは、クロスオーバー(フュージョン)系やスタジオの仕事が多かったが、80年あたりを境にステップスの「Smokin' in the Pit(80年)」やこの「スリー・クヮルテッツ(81年)」、パット・メセニーの「80/81(81年)」、ヨアヒム・キューンの「Nightline New York(81年録音)」等で、積極的に4ビート・ジャズに取り組んでブイブイいわせていた感がある。元来が「コルトレーン命」の彼のことだけに、いよいよ本領発揮って感じだったな。その後のインパルスでの自己名義のアルバムから現在に至るまでのマイケルももちろんいいけれど、一番面白かったのはやっぱりこの時代かなぁ。今となってみれば、どれもこれもジャズの歴史に残るべき重要な作品ばかりだね。
チックは「マッド・ハッター」や「フレンズ」で4ビート・ジャズへ回帰してはいたものの、まだまだやり足りなくて本作を作ったのだろう。エレピも弾いていた「スレンズ」とは違って、ここでは全編アコピ一本で勝負しているし、楽曲もとてもシリアス。当時の最先端の4ビート・ジャズをやっているのだが、これだけのメンバーなのでお互いのライバル意識もそうとうあったのだろう。各人が自分の持っているあらゆるテクニックを駆使してアグレッシブに攻めまくっているおかげで、ただでも複雑でカッコいい楽曲がそうとうテンションが高い演奏になっている。
記憶だけを頼りに書いているのでこの程度しか書くことができないが、とにかくA面もB面も凄かったです。

チックはこれを最後にゴメス、ガッドとはオサラバで、新しいプロジェクト(タッチストーン系)やロイ・ヘインズ、ミロスラフ・ヴィトウスとの再会セッション、ソロピアノやデュオピアノ等に精を出し、86年にはエレクトリック・バンドで新たな境地を切り開いている。一方マイケル、ゴメス、ガッドの3人は、しばらくステップスで一緒だったが、ガッドが抜けゴメスが抜けで、後々まで残ったのはマイケルだけだった。
その後はてんでんバラバラに活動していたが、2001年にチックの60歳を記念して行なわれた3週間におよぶブルーノートNY公演で、この「スリー・クヮルテッツ」も再結成されてファンを狂喜させている。近年のダメダメなガッドが、この時ばかりは絶頂期の凄さを取り戻していたっけね。