Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

カテゴリ: DVD / Blu-ray

Marcus Miller / Tutu Revisited (J)

Marcus Miller(B, B-Cl)
Christian Scott(Tp)
Alex Han(As, Ss)
Federico Ganzalez Pena(Key)
Ronald Bruner,Jr.(Ds)
Rec. December 22, 2009, Lyon Auditorium, France
(Victor VIBJ26)

以前YouTubeか何かで、ドラマーがスピーディに叩きまくっているマーカス・ミラー・バンドを偶然観たことがあるのだが、それだと思って購入した「Marcus Miller/A Night in Monte-Carlo(10年、別頁あり)」は相変わらずのプージー・ベルで、いささかガッカリしていた(バンドとしての演奏内容は素晴らしかったが)ところに本DVDが登場。ドラマーがロナルド・ブルーナーJrなのを見て、あの時の映像はこれだったのかと気づいた次第である。ブルーナーJrがミラーのバンドに参加したきっかけは、スタンリー・クラークがミラーやヴィクター・ウッテンらと共演したライブだと思うけど、きっとそこでのブルーナーJrの叩きっぷりのよさを見てミラーも一発で気に入ったのだろう。ベルには悪いけど、ブルーナーJrのドラミングは全く次元が違う。また本バンドにはクリスチャン・スコットが参加しているのも興味深い。彼のステージングにおけるマイルス的なカッコつけはあまり好きではないのだが、トランペットの腕前は充分買っているし、マイルス・トリビュートとしてもうってつけだろうね。もろマイルス的なサウンドにするのだったらウォレス・ルーニーが適任だと思うけど、そこにプラス・アルファを加えたいときには逆に足枷になってしまう。他のメンバーのアレックス・ハンとフェデリコ・ゴンザレス・ペナは「A Night in Monte-Carlo」にも参加しているけれど、録音年月日をよく見たら、本作はそれから1ヶ月後のステージなんだね。わずかの期間で全く違うプログラムのライブをやっているとは、さすがにミラーは大したものだ。

「Tutu」に収録されていた「Tomas」「Backyard Ritual」「Splatch」「Portia」「Don't Lose Your Mind」「Tutu」「Full Nelson~Perfect Way」、「ウィ・ウォント・マイルス」が初出のお馴染曲「Jean Pierre」、「マン・ウィズ・ザ・ホーン」収録の「Aida」、「アマンドラ」収録の「Hannibal」、他に「In a Sentimental Mood」「Human Nature~So What」で全12曲。
BDではなくDVDなので輪郭が甘いけど、映像自体は結構綺麗だし(当然ながら16:9のワイド画面)、カメラワークや場面によっては二分割画面にしたりの編集も悪くはない。また音声もDTS5.1が標準(他にDolby Digital2.0もあり)なので問題はない。
当時のマイルスのサウンドをそのまま再現しているといった感じではあるけれど、ミラーの素晴らしいベース・プレイを筆頭に、ヘッドフォン(イヤホン)をしていないのに打ち込みのパーカッションと全くずれていないブルーナーJrのドラミング、フロントを受け持っているハンとスコットのミラー以上によく目立っている堂々たる吹きっぷり、3台のシンセとローズを駆使して常に周囲の状況に気を配りながら弾いている好感度抜群のペナのプレイ等、見どころはいっぱいある。特に同期ものを外した3曲目「Splatch」以降では、ブルーナーJrがいよいよパワー全開って感じで容赦なく叩きまくっているおかげで圧倒される。中でも9曲目「Don't Lose Your Mind」でのロング・ドラムソロが圧巻で、こんな凄いのを見てしまうと、デニチェンの時代はもう終わったのではとますます思ってしまうね。またスコットが自分のバンドのときのような変なカッコつけすることなく真摯に吹いているのにも非常に好感が持てるし(これでスコットに対するイメージがだいぶ変わった)、彼ほどの知名度はないにしてもミラーの秘蔵っ子と思われるハンの実力もかなりのもの。そんな若手の3人に花を持たせつつ、おいしいところはキッチリとかっさらっているミラーには、いい意味でマイルスの姿がオーバーラップする。
メンバー各人が自分の持ち味を充分に発揮していながらバンドとしてもよく纏まっていて、本演奏にはもうなにも文句がない。当時の「Tutu」等のサウンドはミラーが作っていたので、これぐらいのことはできて当然なのかもしれないが、そのノリのいい演奏に身を委ねているだけで、トータル145分があっという間に終わってしまった。また別トラックで、ミラーがマイルスの想い出を語っているのも非常にためになる。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
  

--EDIT--

Dado Moroni / Live in Beverly Hills

Dado Moroni(P)
Marco Panascia(B)
Peter Erskine(Ds)
Rec. April 10-11, 2010, Live at the Rising Jazz Stars, CA
(Resonance RBD4012)

ダド・モロニ(1948年生まれとの記述が見受けられるが、MySpaceによると1962年イタリア生まれのようだ)は、ヨーロピアンなものからバップ・テイストまで、なんでもこなしてしまうピアニスト。私が注目するようになったのはここ何年かで、サイド参加の「Wolfgang Haffner International Jazz Quintet / Whatever It Is(91年録音)」「Hendrik Meurkens/New York Nights(00年)」「Bobby Watson/In The Groove(06年り)」「Rosario Giuliani Quintet/Anything Else(07年)」「Eddie Gomez Trio / Live in Italy(11年)」(各別頁あり)他何枚かでしか聴いたことがなかったのだが、そのうちリーダー作もと思っていたところに、本作がブルーレイディスクにしては1,615円(Amazon価格)という格安な値段で登場し(同内容のDVD付きCDも1,700円前後でリリースされている)、しかもドラマーが大好きなピーター・アースキンなのですぐに飛びついた。モロニ、アースキンと比べるとマルコ・パナシア(イタリア人)は知名度が低いけど、「Eldar/Daily Living(Live at The Blue Note)(06年)」「Eldar/Re-Imagination(07年、エレベ参加の1曲のみ)」「Tamir Hendelman/Destinations(10年)」(各別頁あり)ではいい感じのベースを弾いていたので、本作でのプレイにも期待している。

モロニ曲が5曲と、ジョン・ルイスの「Django」、ロン・カーターの「Einbahnstrasse」、スタンダードの「Where is Love」「I Hear a Rhapsody」等で全10曲。
BDなので、当然ながら画面サイズは16:9のワイドだし、画質も滅茶苦茶綺麗。ただし音声の方はステレオのみとお金をケチっている。カメラワークはまあまあかな。画面を2分割にしたりオーバーラップさせてりして、編集にはけっこう手間を掛けている。
リラックスした演奏からはアットホームな雰囲気が漂っている。内容的にはセッションの域を出るものではないと思うのだが、それでもモロニのオリジナルが多いのでありきたりな感じはしないね。3人ともベテランなので(バナシアはもっと若いのかと思っていたけれど、意外とそうでもなかった)、いい意味での余裕を持たせたプレイが魅力的ではあるものの、落ち着いた感じの演奏が多いので、できればもっとガンガンくるようなのがもう何曲かあってもよかったと思う。でも最近のアースキンのコンボ演奏での傾向をみていると、どれもだいたいこんな感じだけどね。もう昔のようながむしゃらなプレイは、よほどのことがない限りはしなくなっている。とはいえまるでドラムセットを愛しむような、一音一音を大事にしながらの繊細感溢れるプレイが非常に魅力的だし、盛り上がり部分でのダイナミックなドラミングのカッコよさも相変わらずで(もちろんドラムソロもたっぷりとある)、持ち前のセンスのよさも相まってついつい見入ってしまう。アースキンにはヤマハのドラムセットがよく似合うと思うけど、こうして見ているとDWも決して悪くはないね。現在の枯れた味わいが特徴の一つとなっているアースキンには、むしろこちらの方が音質的にはピッタリかもしれない。そんなアースキンと、ジョン・パティトゥッチをソフトタッチにしたような感じのパナシア(ベースが小さく見えるけど、3/4サイズを使っているのかな)の、これまた非常にセンスのいいベースに乗っかりながら、モロニがホットなプレイを繰り広げているのだが、コロコロと指がよく動き、曲によってはほどよくアウトしながらのピアノは、引き出しをいっぱい持っているおかげでフレーズのネタが尽きることがないのが素晴らしい。その演奏からは、決して聴衆を飽きさせないという姿勢が窺えるね。タイプ的にはケニー・バロンによく似ているような気がするのだが、MCからは人柄のよさも滲み出ていて、モロニのことがますます好きになった。
ということで、ピアノトリオの王道路線として本作は大いに気に入った。これでわずか1,615円(映画の再発BD並み)とは信じられないので、奮発して5つ星にしておこう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
  

--EDIT--

The Metropole Orkest feat. Pat Metheny / Live in Concert

Jim McNeely(Conductor)
The Metropole Orkest(Orchestration)
Special Guest: Pat Metheny(G)
Rec.2003, North Sea Jazz Festival
(Imv Blueline IMV002D)

2003年のNorth Sea Jazz Festivalでパット・メセニーとメトロポール・オーケストラが共演していることは、情報としては以前から知っていたのだが、その映像が今頃になってようやくDVD化された。オーケストラ側のメンバーは、作編曲・指揮を担当しているジム・マクニーリー以外はクレジットがないので不明だが、おそらく「Metropole Orkest, John Scofield, Vince Mendoza/54(10年、別頁あり)」とそんなに変わらないものと思われる。メセニーは自らがオーケストラ的な曲を書く人で、近作でも「Pat Metheny Group/The Way Up(05年、別頁あり)」や、それのライブDVD「Pat Metheny Group/The Way Up-Live(06年、別頁あり)」、あるいはソロ作品「Pat Metheny/Orchestrion(10年、別頁あり)」等は壮大なオーケストレーションが印象的だったのだが、本作では本格的なオーケストラとの共演で、楽曲ももちろん自分の曲ということで、これは相当入り込んだプレイが期待できそうだ。

「Introduction」「Proof」「Never Too Far Away」「Are You Going With Me?」「First Cicle」「Always And Forever」「Third Wind」「Into The Dream」「Minuano」「Conclusion」で全10トラック(曲としては全8曲)。
トータル79分。画面は4:3標準の上下に黒い切り込みを入れた疑似ワイド的なもの、音声も単なるステレオと旧式の映像規格だが、画質はきめ細かさには欠けるものの思ったほどは悪くないし、音質もまあまあ。ただし縦横比には難ありで、人物が縦長に映っているような感じがする。あと映像と音声が全ての場面でずれているので(映像がコンマ何秒遅れている)、観ていて気持ち悪くなってくるね。またトラック3(2曲目)、トラック5(4曲目)、トラック8(7曲目)には音声が途切れる部分が見受けられる。これらの点においてはもっときちんとした編集を心掛けてほしいものだが、そんな中において見たいところをきちんと捉えているスイッチングの的確さには唯一救われる。
演奏は1曲目から早くもメセニーが登場で、相変わらずのメセニー・ワールドを繰り広げている。よほど入念なリハーサルをしたとみえて、オーケストラ側と一体となっての一糸乱れぬ演奏が実に素晴らしい。マクニ―リーが手掛けている編曲も、原曲を変にいじくり回していなくて最高だね。そんな完璧なオーケストレーションをバックに、自らが昇華していくメセニーの熱演がなんといっても見ものなのだが、オーケストラの面々もドラムスのマタイン・ヴィンク(だと思う)を始めとして、管楽器やピアノのソロイスト達がなかなかの仕事ぶりを見せていて、これまでのメトロポール・オーケストラものの「Jim Beard/Revolutions(06年)」「Metropole Orkest, John Scofield, Vince Mendoza/54(10年)」「Metropole Orkest, Vince Mendoza / Fast City, A Tribute to Joe Zawinul(10年)」(各別頁あり)と同様に、超一流の演奏を楽しむことができる。なんかPMGのときよりも、こちらの方がより楽曲とマッチしていていい感じ。映像を見ないで目を閉じて聴いているだけでも、その素晴らしさはビンビン伝わってくるね。おそらくメセニー自身もメトロポール・オーケストラとの共演がよほど嬉しかったに違いない。私としても、これで映像面の問題さえなければ間違いなく5つ星にしていた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


メトロポール・オーケストラのメンバーを、ブログ仲間の秋田県民さんから教えていただいたので追記しておきます。

Vocal: Fay Lovsky.
Guitar: Peter Tiehus.
Piano and Synthesizer: Hans Vroomans.
Drums: Martijn Vink.
Percussion: Murk Jiskoot, Arie Den Boer, Jeroen De Rijk.
Trumpet: Wim Both, Jan Hollander, Henk Heijink, Jan Wessels.
Saxophone & Clarinet: Marc Scholten, Leo Janssen, Jos Beeren, Werner Janssen, Max Boeree.
Trombone: Jan Oosting, Ilja Reyngoud, Jeroen Rol, Martin Van Den Berg.
Flute: Janine Abbas, Mariel Van Den Bos.
Oboe: Martin De Ruiter.
French Horn: René Pagen.
Violin: Arlia De Ruiter, Sarah Koch, Linda Dumessie, Erica Korthals Altes, David Peijnenborgh, Seya Teeuwen,
Marleen De Bruin, Jan Pieter Coolwijk, Merijn Rombout, Herman Van Haaren, Wim Kok, Ruben Margarita,Elisabeth Liefkes-Cats,
Marianne Van Den Heuvel, Petra Griffioen, Erik Kromhout.
Viola: Mieke Honingh, Julia Jowett, Norman Jansen, Iris Schut, Arjen De Graaf.
Cello: Bastiaan Van Der Werf, Wim Grin, Emile Visser, Jasha Albracht.
Bass: Erik Winkelmann, Arend Liefkes, Tjeerd De Vos, Aram Kersbergen.
  

--EDIT--

Brad Mehldau / Live in Marciac

Brad Mehldau(P)
Rec. August 2, 2006, France
(Nonesuch 520275)

ソロピアノは好んで聴くことはないのだが、本作は2枚組のCDにDVDまで付いて2,000円以下(Amazon価格、10%オフセール適用)なのだからすぐに飛びついた。2006年録音ということで、残念ながら最新のレコーディングではないにしても、この価格を前にしてはそんなことはどうでもよくなってくる。しかもDVDはオマケ的なものではなく、CD2のラスト曲を除いてすべて収録されているのだから驚きだね。こういう場合はCDとDVDのどちらを先に鑑賞すればいいのか迷ってしまうのだが、とりあえずはCD1を3曲ほど聴いて録音状態をチェックしてから、DVDの方に切り替えるとしよう。私の装置はピュア・オーディオとAV機器を完全に分離させているので、そうでもしないことには音的な善し悪しの判断ができなくなってしまう。
ブラッド・メルドーは、ホルヘ・ロッシィが脱退(?)してからのトリオ演奏が一番好きなのだが(つまりは「Brad Mehldau Trio/Day is Done(05年、別頁あり)」以降のトリオ・アルバム)、パット・メセニー絡みの「Metheny,Mehldau(06年、別頁あり)」「Metheny,Mehldau/Quartet(07年、別頁あり)」も当然ながら良かったし、オーケストラとの共演盤「Brad Mehldau/Highway Rider(10年、別頁あり)」もこれまでとは違う側面をみせてくれて実に素晴らしかったので、「Brad Mehldau/Elegiac Cycle(99年)」以来となる(かな?)ソロピアノ作品の本作では、いったいどんなアプローチをしているのか非常に楽しみだね。

オリジナルが5曲と、ポーター、ニルヴァーナ、レディオヘッド、レノン~マッカトニー、ボビー・ティモンズ等の曲で全14曲(CD1が8曲、CD2が6曲)。
まずは録音だけど、ピアノの音が明るめで深みがないような気がする。もしかするとヤマハのピアノなのかな。その辺はDVDを見ると判明すると思うけど、元気の良いメルドーにはそれなりにマッチしているね。でもこの音質で2枚ぶっ通しで聴くのはちょっとしんどいかも。それでなくとも曲によってはメルドーの目まぐるしい指の動きに翻弄されてしまう可能性があるので、ここはやはりDVDで鑑賞した方がいいのかもしれない。
ということで予定通り3曲聴き終わった後でDVDに切り替えることにした。ジャケットをよく見るとDVD+2CDsとなっていて、そもそもがDVD作品としてのリリースで、CDの方がオマケのようだ。なので当ブログでも「DVD/BD」カテゴリーに入れておく。そのDVDは3面開きのジャケットの中央に鎮座しているのだが、ボッチを押してもなかなか取り外すことができなくて、危うく割ってしまうところだった。また画面は4:3の旧サイズだし、音声がステレオのみというのも時代遅れ。でも音質に関してはオーディオ装置で聴くよりも温かみと適度な鈍さがあって、むしろいい感じだけどね。その代わり画質の方はあまり綺麗ではないし、一昔前のビデオのように立体感にも欠けている。おそらくこの映像だけでは、ブルーレイが主流になってきている今の時代は売り物にならないと判断して、CDをオマケとしてつけたのだろう。肝心の演奏だが、メルドーのプレイはどの曲をとっても文句なし。ピアノはスタインウェイを使っている。メルドーのファンだったらソロピアノのでプレイはだいたい想像がつくと思うけど、とにかくテクニックは完璧だし、映像ものなので華麗な指使いや顔の表情や身体の動きを見ているだけでも退屈しないね。この辺は先輩格のキース・ジャレットとも共通する。また何曲目かではライブ映像の代わりに、ピアノのフレーズをそっくり書き写した楽譜が映っているので、これはメルドーを研究している人にとってはたまらないだろう。
ソロピアノで十何曲も演奏するのには相当な集中力を要する思うけど、決して惰性で弾くことなく自分の世界に入り込んでいるメルドーはやっぱり大したものだね。楽曲としてはレノン~マッカートニーの「Martha My Dear」が一番感動的で気に入った。
とだいたいこんなところかな。トータル102分とかなりの長丁場だけど、ソロピアノでありながらも最後まで飽きることなく楽しむことができた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
  

--EDIT--

The Roy Hargrove Quintet / Live at the New Morning

Roy Hargrove(Tp, Flh)
Justin Robinson(As, Fl)
Gerald Claytn(P)
Danton Boller(B)
Montez Coleman(Ds)
Rec. July 2007, Live at the New Morning, Paris
(Groovin' High - Emarcy 2743629)

ロイ・ハーグローブの「The Roy Hargrove Quintet/Earfood(08年、別頁あり)」と同時期のパリのニューモーニングにおけるライブDVD(2010年7月リリース)だけど、録音年月日を見ると本作が2007年7月、CDが2007年9月録音ということで、時系列的には本ライブを含むツアーで各地を回った後にスタジオ入りして、「Earfood」をレコーディングしたということになるんだね。その「Earfood」記事を読みなおすとあまりいいことは書いていないのだが、それでも唯一のライブ収録曲だったラストの13曲目だけは「思いっきりゴスペルチックな演奏に会場も盛り上がっていて、どうせだったらこのときのライブ盤にしてくれた方がよかったのになぁ」なんて記述もあるので、本作にはそれなりに期待できそうだ。ちなみにリリース元のEmarcyではCDとDVDの2枚をワンセットとして捉えて欲しかったようで、どちらにもジャケット写真は同じものが使われている。

ハーグローブ曲が8曲と、マイルス、シダー・ウォルトン等のジャズメン・オリジナルやスタンダード系で全16曲。そのうちの5曲はCD「Earfood」の方でもやっている。
トータル約153分。16:9のワイド画面。音声はDTS5.1とStereo PCMから選択可能となっている。
さすがにニュー・モーニングでのライブ映像だけあって、映像のカット割り(スイッチング)は実に的確だし、画質自体もDVDとしては良い方なのだが、再生レベルがあまりにも低すぎて(DTS5.1で視聴)、アンプのボリュームをかなり上げてやらないとまともに聴こえてこないのはどうしたものだろう。こんな場合は各楽器の音も痩せてしまうので、演奏の迫力がちゃんと伝わってこないんだよね。おそらく過大入力になるのを避けようとして、レコーディングの段階で低いレベル設定にしたのだと思うけど、これまでのニュー・モーニング・シリーズは音質的にも最高だっただけに残念。それとハーグローブとジャスティン・ロビンソンの2人はステージ中央に並んで立っているというのに、ロビンソンのサックスの音は思いっきり左chの方に寄っていて、定位的にもかなり不自然だね。これらの音的な不満のせいで、せっかくのいい演奏の面白みが半減してしまう。
そんな音的なことは置いておくとして、演奏に関しては8ビート系が多かった「Earfood」とは違い4ビートがメインとなっているので、私としてはこちらの方が好き。もちろん8ビート的な曲もやっているけれど、演奏の雰囲気を変えるためにここぞという部分にぶち込んでいるので、ライブの流れとしても非常にバランスよく感じる。メンバー各人ともライブだけあって実にいい仕事をしているのだが、その中でもやはりハーグローブのどんな場面でもあっても決して破綻することのない、いい意味でクールなプレイ(それでいながら特にフリューゲルのときは歌心もたっぷり)がなんといってもカッコいいし、それとは逆にいかにも熱演してますって感じのロビンソンのはちきれんばかりの吹きっぷりにも感心する。また近作としては「Clayton Brothers / The New Song and Dance(10年、別頁あり)」に参加していたジェラルド・クレイトンが、ここではまた違ったアプローチを見せているのも素晴らしいし、数曲でのソロを除いてはほとんどバッキングに徹していながらも、映像からはノリのよさが伝わってくるダントン・ボラーにもとても好感が持てる。そして体全体でビート感を表現しながら、曲によってはフルパワーで叩いているモンテス・コールマンのパワフルなドラミングも最高に気持ちがいいね。容赦なくガンガンいっていて、正直言って彼がここまで叩けるドラマーだとは思ってもみなかった。
2ステージ分の演奏が収録されていて、2時間半ものかなりの長丁場だけど、どの曲も非常にノリのいい演奏のおかげで最後まで退屈することなく楽しむことができた。ここまで演奏が良いとなると、再生ボリュームの異様な低さと楽器の定位の問題がますます悔やまれるね。4ビート演奏を中心としたライブ映像ものでこんなに見応えのある作品は少ないだけに、心情的にはぜひとも5つ星にしたいところなのだが、ここはあえて4つ星に抑えておく。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)   

--EDIT--

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