Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

カテゴリ:Jazz / FusionのCD > 新譜

Kamasi Washington / Harmony of Difference

Kamasi Washington (Ts)
Ryan Porter (Tb)
Dontae Winslow (Tp)
Cameron Graves (P)
Brandon Coleman (Key)
Miles Mosely (Ac-B)
Ronald Bruner Jr. (Ds)
Tony Austin (Ds, Per)
Truth (Tr6): Rickey Wahington (Fl), Terrace Martin (As), Thundercat (El-B), Matt Haze (G), Nick Mancini (Vib)
Paul Catwright, Chris Woods, Jen Simone, Tylana Renga (Vln)
Molly Rogers, Andrea Whitt (Viola)
Peter Jacobson, Artyom Manukyan (Cello)
Thalma De Freitas, Taylor Graves, Doctor Dawn Norfleet, Patrice Quinn, Jimetta Rose Smith, Dexter Story, Dustin Warren, Steven Wayne, Mashica Winslow (Choir)
Rec. 2017?, LA
(Young Turks YTCD171 )

カマシ・ワシントンの前作「Kamasi Washington / Epic(15年)」(3枚組の大作)は買おうかどうしようか迷っているうちに月日が経ってしまったのだが、ワシントンと同じ一派のキャメロン・グレイヴスの「Cameron Graves / Planetary Prince(17年、別頁あり)」を聴いたらとても良かったので、本作にはすぐに飛びついた。LPでのリリースを考慮したためなのか、6曲しか入っていないミニアルバムとなっているけれど、ワシントンのバンド(ザ・ネクスト・ステップ)のレギュラー・メンバーに、ラスト曲にはストリングスやコーラス等まで加わって、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

全6曲がワシントンのオリジナル。
マッコイ・タイナーの「Sahara」「Atlantis」「Fly With the Wind」「Trident」あたりにも通じる「Planetary Prince」的なエネルギッシュな演奏を期待して買ったけど、1曲目「Disire」は70年代のソウル的な音楽をやっていて肩透かしを食らってしまう。でも2曲目「Humility」はハードな4ビートでガツンといっているね。おそらくこの両面がワシントンの持ち味なのだろうが、ミニアルバムのためか「いいぞいいぞ」と思いながら聴いていても、曲がすぐに終わってしまうのは残念なところ。前作「Epic」は3枚組なので、逆に聴き終わった後にはドッと疲れたと思うけど、その辺の聴き手の心理まできちんと計算したアルバム作りにすれば、ワシントンはもっと多くの人に認められるのではと思う。楽曲的にも5曲目「Integrity」なんかは「Brazil」的な曲調が決して嫌いではないけれど、どうせやるのならこういう似た感じの曲を作ってみました的なものではなく、それを上回るほど素敵なのを作って欲しいし、編成的にも全編を通してツインドラムの必要性は感じられない。大所帯でやっている6曲目「Truth」だけは演奏時間が長いし、コーラスを効果的に用いながら壮大な演奏となっているのにはそれなりのオリジナリティも感じられるけど、ワシントンがやりたい音楽は伝統的な4ビートジャズとも今どきのコンテンポラリー・ジャズとも異なっているので、今後は音楽的にもメンバー的にも行き詰ってしまわないかが心配。同じ黒人テナー奏者ではカーク・ウェイラムなんかもスムースジャズのブームに乗っかったせいで、自分が本当にやりたい音楽を見失ってしまった感があるけれど(近年は真摯な姿勢でジャズに取り組んでいるが)、売れ線狙いでやっても簡単には儲からないのが今の時代なので、ワシントンにはそうならないことを願っている。
ということで演奏は期待したほどではないし、録音(エンジニアは)にも変な加工臭があって、本作よりも私としてはグレイブスの「Planetary Prince」の方が、ロナルド・ブルーナーJrが本気モードで容赦なくいっていることも相まって、はるかに好きだ。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Harmony of Difference [輸入盤CD](YTCD171)
Kamasi Washington
Young Turks
2017-09-29

  

--EDIT--

Simon Phillips / Protocol IV

Simon Phillips (Ds)
Greg Howe (G)
Dennis Hamm (Key)
Ernest Tibbis (B)
Rec. 2017, LA
(Phantom Recordings-Universal UCCU1546)

上原ひろみとの共演により、テクニックにも音楽性にも一段と磨きがかかった感のあるサイモン・フィリップス。自己のバンドであるプロトコルは、これまで「Simon Phillips / Protocol II(14年、別頁あり)」と「Simon Phillips / Protocol III(15年、別頁あり)」を聴いてきたのだが、どちらも最高に素晴らしかったので、4枚目となる本作にも大いに期待している。今回はギタリストがアンディ・ティモンズからグレッグ・ハウに、またキーボーディストもスティーヴ・ウェインガートからデニス・ハムに代わっているけれど、ハウはヴィクター・ウッテン、デニス・チェンバースとの共演盤「Greg Howe/Extraction(03年、別頁あり)」が超強力だったし、ハムも「CAB / Live on Sunset(11年、別頁あり)」や「Virgil Donati / In This Life(14年、別頁あり)」でなかなかいい仕事をしていたので、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

全9曲がフィリップスのオリジナル。
メンバーが代わっても、やっていることは過去2作と基本的には変わりなく、相変わらずのハードフュージョンがカッコいい。「Greg Howe/Extraction」では「Proto Cosmos」をやっていたことからして、アラン・ホールズワースからの影響を大きく受けていると思われるハウの、部分的にはスコット・ヘンダーソンあたりにもよく似たテクニカルなプレイといい、シンセでいろんな音を出しながらバンドとしてのサウンドをゴージャスにしていて、なおかつアドリブでも上手さを見せつけてくれるハムといい、フィリップスとはアンソニー・ジャクソン以上に相性のいいアーネスト・ティブスの、堅実ながらも多くの引き出しを持っているベースといい、各人とも非常に魅力的なプレイで聴かせてくれる。肝心のフィリップスも、今回は同じような感じのミディアムテンポの曲が続いているにもかかわらず、ドラミングはけっこうバリエーションに富んでいるのだから流石だね。でもせっかくハウと共演しているのだから、壮絶な戦いをしているほどのアグレッシブな曲も何曲かあってもよかったかも。おそらくトータルサウンド重視で、バンドとしてのサウンドを綺麗に纏めるためにこれぐらいの演奏に留めておいたのかもしれないけれど、ハウの速弾きに絡むぐらいどうってことのないフィリップスだけに、できればそうして欲しかった。この辺は「Extraction」でハウと共演しているデニチェンに軍配が上がるし、フィリップスに多大な影響を与えた初期の頃のビリー・コブハムも、ドラミングが素晴らしいだけではなく楽曲自体も変化に富んでいただけに、それらと比較すると本演奏はどっちつかずに終わってしまった感がある。ハウを前面に打ち出そうとするあまりか、ドラムソロもそんなに多くはないしね。これよりだったらメンバーが変わる前の2作品の方が、音楽的にも演奏的にも面白かったような気がする。
ということで期待していたほどではなかったのだが、Protocolが好きなバンドであることに変わりはない。ハードフュージョンをやるバンドは、先日聴いたばかりの「John McLaughlin & the 4th Dimension / Live @ Ronnie Scott's(17年、別頁あり)」等は別としてどんどん減ってきているので、またメンバーが代わってもいいので、できることならフィリップスには長く続けてもらいたいものだ。本作は録音(エンジニアはフィリップス本人)も、フュージョンものとしては最上級の音で録れている。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


プロトコル IV
サイモン・フィリップス
ユニバーサル ミュージック
2017-09-20

  

--EDIT--

Dianne Reeves / Light Up the Night: Live in Marciac

Dianne Reeves (Vo)
Peter Martin (P)
Romero Lubambo (G)
Reginald Veal (B, Background-Vo)
Terreon Gully (Ds, Background-Vo)
Gregoire Maret (Harmonica)
Rec. 2016?, Live in Marciac, France

ヴォーカルものにはほとんど興味がないのだが、ダイアン・リーヴスは嫌いではないし(近作の「Dianne Reeves / Beautiful Life(13年、別頁あり)」はイマイチだったけど)、バックのメンバーもピーター・マーティン、レジナルド・ヴィール、テレオン・ガリー、グレゴア・マレと美味しいどころが揃っているので、本作を買わないわけにはいかないだろう。ギターのホメロ・ルバンボも含めて「Beautiful Life」にも参加していた面々ではあるし、テリ・リン・キャリントンがプロデュースしているのも同様ではあるけれど(リーヴスとの共同プロデュース)、今回は全曲をメンバー固定でやっているライブ盤なので、それなりの演奏が期待できそうだ。

リーヴスとEduardo del Barrioの共作が1曲、マーティン、ガリーとの共作が1曲、マレ曲が1曲、スティーヴィー・ニックスの「Dreams」、パット・メセニーの「Minuano」、ショーターの「Infant Eyes」、マイルスの「All Blues」、Arden Altinoの「Beautiful」で全8曲。
スタンダードの歌ものはあまり歌わないリーヴスらしく、本作でも器楽演奏向きの曲を取り上げているのだが、かといってスキャットの引き出しが多くないのには、逆に人間味が感じられて好感が持てる。おそらくリーヴスはバックバンドを従えて女王様的に歌うといった図式ではなく、バンドと同化して歌いたいという気持ちを持っているのだと思うけど、だからこそ私のように歌聴きではなく演奏聴きであってもすんなりと受け入れることができるんだよね。それはヴォーカルの他にピアノも弾けるダイアナ・クラールやイリアーヌにも言えることだけど、ここではメセニーの「Minuano」(2曲目)、ショーターの「Infant Eyes」(4曲目)、マイルスの「All Blues」(5曲目)を取り上げていて、しかも相当いい感じの演奏となっているのだから嬉しくなってしまう。当然ながらバックのメンバーも曲調に応じながら最良のプレイで聴かせてくれるのだが、ピアノトリオにギター、ハーモニカという変則的かつシンプルな編成(更に曲によっては誰かが休んだりしている)のおかげで、各人が持ち味を活かした個性的なプレイをしていながらも焦点はヴォーカルにきちんと合っていので、これは編成的にも大成功といっていいだろう。ただし中盤あたりからはゆったり目の曲が続いているので、聴いているうちに少々退屈してくるけどね。リーヴスの根底にあるアフリカ的なものはちゃんと伝わってくるし、お客さんを乗せようとしてコールアンドレスポンスをやっているのもいいことだけど、せっかくのライブなのだから、昔のようにイケイケな曲がもっとあってもよかったのではと思う。
ということで全てに共感できるといったわけではないけれど、ヴォーカルものとしては自分好みの演奏が堪能できた。本作は録音(Live Sound By Paul Boothe, Mixed by Jeremy Loucas and Terri Lyne Carrington)も、ヴォーカルと各楽器が非常にバランスよく録れていて、その音質共々上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Light Up the Night
Dianne Reeves
Concord
2017-09-22

  

--EDIT--

Danny Grissett / Remembrance

Danny Grissett (P, Rhodes)
Dayna Stephens (Ss, Ts) except Track 9
Vicente Archer (B)
Bill Stewart (Ds)
Rec. April 19, 2017, NY
(Savant Records SCD2165)

ダニー・グリセットのヴィセンテ・アーチャー、ビル・スチュワートのリズム隊による第二弾。前作「Danny Grissett / The In-Between(15年、別頁あり)」に参加していたウォルター・スミスIIIが抜けて、新たにデイナ・スティーヴンスが加わったカルテット編成となっているけれど、「The In-Between」でのスミスIIIと同様に、スティーヴンスがグリセットと共演しているのもこれまで聴いたことがなかったので、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

グリセット曲が4曲、ガレスピーの「Woody'n You」、エリントンの「Prielude to a Kiss」、モンクの「Renatus」、ハンコックの「Just Enough」、H. Ellis/L. Carter/J. Frigoの「Detour Ahead」で全9曲。
アップテンポの4ビートでマイルスの「Joshua」的なアレンジが施されている1曲目「Woody'n You」からして目茶苦茶カッコいい。スティーヴンスとグリセットのアドリブは絶好調だし、最後の方にはビルスチュとの8バースまで用意されていて、早くも買ってよかったという気にさせてくれる。続くオリジナルの2曲目「Lament for Bobby」は出だし部分の赤ちゃんの声がイマイチ気に入らないけれど、演奏自体はいかにもグリセットらしい、非4ビートで幾分ダークな曲調の中、ソプラノに持ち替えているスティーヴンスといいグリセットといい、程よい感じのモーダルなプレイで聴かせてくれる。3曲目は「Prielude to a Kiss」だけど、原曲のイメージを崩さないバラード演奏ながらも、3拍子でやっているのが小洒落ているし、4曲目の「Renatus」はテーマの後にいきなりドラムソロになっているのが意表を突くし、6曲目の「Just Enough」やエヴァンス・トリオでお馴染みの9曲目「Detour Ahead」も実にいい雰囲気で、大好きな曲をますますいい感じで演奏しているのだから何ともたまらない。オリジナルの楽曲も既成曲に劣らず優秀だし、5曲目「Renatus」で弾いているエレピもサウンド上のいいアクセントとなっていて、最後までノリノリで楽しませてくれる。
グリセットは久しぶりにハレルと共演している近作「Tom Harrell / Moving Picture(17年、別頁あり)」でのプレイも相当良かったけれど、彼の音楽性までも堪能できるのは、やはりこちらの方。演奏的にも各人が曲調の範囲内で最良のプレイをしているし、アルバムとしての動と静のバランスも完璧。録音(エンジニアはマイケル・マルシアーノ)も各楽器の温かさを伴いながらの大きめの音像がスピーカーの前面に浮かび上がって、オーディオ的にも満足するので、これは5つ星にするしかないだろう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
  

--EDIT--

Mark Guiliana Jazz Quartet / Jersey

Jason Rigby (Ts)
Fabian Almazan (P)
Chris Morrissey (B)
Mark Guiliana (Ds)
Gretchen Parlato, Jeff Taylor, Jason Rigby, Fabian Almazan, Chris Morrissey, Mark Guiliana, Marley Guiliana (vo)9
Rec. October 27-28, 2016, NY
(Motema Music MTM0233)

Mark Guiliana Jazz Quartet / Family First(15年、別頁あり)」に次ぐマーク・ジュリアナ(グイリアーナと読むのが正しいそう)のジャズ・カルテット作品の2枚目。今回はシャイ・マエストロに代わってファビアン・アルマザンが参加しているのが興味深い。前作の記事を読み直すとバンドとしては悪くはないけれど、全面的に共感しているわけではなく、「楽曲はダークな曲調がほとんどで、特に5曲目「Johnny Was」からはゆったりとした感じの演奏が続いていることもあって、聴いていると次第に気分が滅入ってくるので、曲ごとのメリハリはもっとつけてもよかったのではと思う」と書いてあるので、その辺のところがいい方向に変わっていることに期待している。

ジュリアナ曲が4曲、グレッチェン・パーラトとの共作が1曲、クリス・モリッシー曲が2曲、Rich Hinmanの「BP」、デヴィッド・ボウイの「Where Are We Now?」で全9曲。
4ビートジャズをメインとしていた前作とは異なり、こちらの方は非4ビートがメインとなっているのがジュリアナに対する元からのイメージだし、本人も生き生きと叩いているような印象を受ける。暗めの曲調が続いているのは相変わらずだけど、曲ごとにちゃんとメリハリをつけた演奏をしているので、気分が滅入るようなこともない。そんな中での4ビート曲の7曲目「Big Big Jones」もいいアクセントとなっていて、前作に感じた不満は全て解決しているね。まさか私のブログを読んで参考にしたわけではないと思うけど、結局はジュリアナ本人も同じように感じていたということなのだろう。もしかするとアルマザン効果なのかもしれないけれど、いずれにしても前作よりもいい感じで楽しめるし、バンド的にも音楽的にも独自のオリジナリティがあって好感が持てる。ジュリアナのコンテンポラリーなドラミングもソロを含めて存分に堪能できるのだが、欲をいうとアルマザンのソロの見せ場はもっとあってもよかったかも。それとジェイソン・リグビーとモリッシーも決して悪くはないのだが、他のやり手のテナー奏者やベース奏者と比べるとどうしても小粒な印象を受けてしまうので、もっと凄い人たちとやっていれば同じ曲でも2倍も3倍もよくなるのになあと思ってしまう。でもその辺は金銭的な問題が絡んでくるだろうし、演奏面においてもジュリアナの指示どおりにいかない部分も生じてくるので(そういうのをプラスに転じるのがジャズの面白いところなのだが)、やはりこのメンバーで正解なのかもしれない。数か月前のライブを実際に観たアメリカ在住の友人は「いまいちピンとこなかった」的なことを言ってたけど、本作を聴く限りにおいてはジュリアナが意図していることがよく分かる演奏で、ダークな曲調ながらも最後までルンルン気分で楽しむことができた。
ということで私としては前作よりもこちらの方が好き。本作は録音(エンジニアはJohn Davis)も、幾分タイトな音に加工されているドラムス(おそらくミュートの多用)と、リアル感のある他の楽器が絶妙にマッチしているし、その音像もスピーカーの前面に浮かび上がって上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Jersey
Mark -Jazz Quar Guiliana
Motema Music
2017-09-29

  

--EDIT--

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