Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

カテゴリ:Jazz / FusionのCD > 新譜

Joachim Kühn New Trio / Beauty & Truth

Joachim Kühn (P)
Chris Jennings (B)
Eric Schaefer (Ds)
Rec. July 7-8, 2015, Ludwigsburg
(ACT 9816)

ヨアヒム・キューンのリーダー作を買うのは、LP時代の「Joachim Kühn / Hip Elegy(76年)」以来ということになるのかな。他にも何か持っていたような気がするけど、所有CDリストで検索しても引っかからないところを見ると、同じピアニストのスティーヴ・キューンと混同しているのかもしれない。本作は「Hip Elegy」から40年も経過ということで、当時のようなクロスオーバー的な演奏はとっくの昔にやめていると思うけど(というか「Hip Elegy」だけが異質な作品だったのかも)、これが初聴きのクリス・ジェニングス(1978年、カナダ生まれ)、エリック・シェーファー(1976年、ドイツ生まれ)とで、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

キューン曲が4曲、オーネット・コールマンの「Beauty And Truth」、ドアーズの「The End」「Riders On The Storm」、Stand High Patrolの「Sleep On It」、ガーシュウィンの「Smmertime」、クシシュトフ・コメダの「Sleep Safe And Warm」「Kattorna」、ギル・エヴァンスの「Blues For Pablo」で全12曲。
ロックやレゲエ的な曲をメインに4ビートもあり。キューンは1944年生まれなので、レコーディングの時点で71歳だけど、相変わらずの尖り具合がいかにも彼らしくていい塩梅。ピアノの奏法にも年齢的な衰えが全く感じられないのは(盛り上がり部分での速弾きもバッチリ決まっている)、このようなスタイルで長年やってきた賜物なのかもしれない。ベースのジェニングスとドラムスのシェーファーによる、比較的シンプルながらも逞しいビートに乗っかりながらワンマンに弾き倒しているけれど、どの曲を取っても決して単調には感じさせないのはキューンのピアノ自体が魅力的なのに加えて、ジェニングスとシェーファーも曲調の範囲内ではあるけれど非常にセンスのいいプレイをしているから。トリオとしての感触はe.s.t.に近いものがあるけれど、それだけではなくコメダ曲の10、11曲目は4ビート基調だし、ギル曲の12曲目もけっこうハードだったりして、アルバムとしての動と静のバランスだけではなく、リズムやテンポにも変化を与えていて、飽きさせない工夫を施しているのに好感が持てる。トータル48分というLP並の短さで、2~3分の曲が多いわりには演奏時間が短いと感じないのは、それだけ旨味が凝縮されているのだろう。聴き終わった後には、似たようなヨーロピアンなピアノトリオとはまた一味違った充実感や爽快感が味わえる。
40年ぶりに聴いたキューンだけど、当時とは音楽性がガラリと変わっていながらもやっぱりいいね。本作はさすがにACTからのリリースだけあって、録音(エンジニアはAdrian von Ripka)も低域から高域まで厚みがありながらも力強い音で録れているし、各楽器のバランスも完璧で、この音の良さだけでも十分に楽しめた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

<3/6追記>
「Joachim Kühn, Daniel Humair, Jean-François Jenny-Clark  / The Threepenny Opera(96年)」も持ってました。

Joac Kuehn New Trio
Act
2016-03-18

 
  

--EDIT--

John Abercrombie Quartet / Up and Coming

John Abercrombie (G)
Marc Copland (P)
Drew Gress (B)
Joey Baron (Ds)
Rec. May 2016, NY
(ECM 2528)

前作「John Abercrombie Quartet / 39 Steps(13年、別頁あり)」と同一メンバーによる2枚目。ドリュー・グレス、ジョーイ・バロンと一緒にやっているのはその前の「John Abercrombie Quartet / Within A Song(12年、別頁あり)」からなので、ジョン・アバークロンビーは多くの共演歴のあるマーク・コープラントと共にこのリズム隊もよほど気に入っているのだろう。ワタシ的には1970~90年代のデイヴ・ホランド、ジャック・ディジョネットやマーク・ジョンソン、ピーター・アースキン、あるいは2000年代初頭のジョンソン、バロンの組み合わせの方が好きなのだが、現在のジョンアバとコープランドの音楽性にはグレス、バロンも相性的にバッチリなので、本作にも期待している。

ジョンアバ曲が5曲、コープランド曲が2曲、マイルスの「Nardis」で全8曲。
多くのジャズ・ミュージシャンは常に変化を求めているので、メンバーが同じであっても1枚目と2枚では少々演奏内容が異なって当然なのだが、それにしても1曲目「Joy」からいきなり静寂感漂う演奏となっているのは、ECMレーベルを意識しすぎなのではと思ってしまう。2曲目「Flipside」はミディアム・ファーストの4ビートなので、そんな不満はすぐに解消するけれど、今度はノッている最中に曲が終わってしまうのが面白くない。せっかくのいい演奏なのに、3分弱しかやっていないのは短すぎるんだよね。それとは逆に大人しめの3曲目「Souday School」は7分強となっていて、これはこれでいい感じで楽しめはするけれど、続く4曲目「Up and Coming」も似たような感じの曲調となっているのに加えて、全体的に大人しめの曲の割合が多いので、できれば2曲目や6曲目「Silver Circle」のような雰囲気の異なるものをもう何曲か入れるなりして、もっと演奏にメリハリをつけてほしかった。でもジョンアバとコープランドが今一番やりたいのこれだと思うので、ないものねだりをしても仕方がないだろ。もちろん曲調の範囲内では各人とも最高にいいことをやっているし、大好きな「Nardis」(7曲目)も楽しめるので、これでよしとしておこう。
とあまりいいことは書いてないけど、さすがにこのメンバーだけのことはある素晴らしい演奏と、各曲をコンパクトに纏めたトータル47分というLP並の短さが相まって、聴いていて退屈するようなことは全くないことだけは付け加えておく。本作は録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)も、以前のようなバロンのバスドラを「ドーン」と下に沈み込ませる重低音の快感は味わえなくなってしまったものの、各楽器の質感、バランス共に良好だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高)

John Abercrombie
Ecm Records
2017-01-13


  

--EDIT--

Craig Taborn / Daylight Ghosts

Craig Taborn (P, Electronics)
Chris Speed (Ts, Cl)
Chris Lightcap (Ac-B, El-B)
Dave King (Ds, El-Per)
Rec. May 2016, NY
(ECM 2527)

同じECMからの2枚目「Craig Taborn Trio / Chants(13年、別頁あり)」がなかなかよかったクレイグ・テイボーンなので、本作にもすぐに飛びついたのだが、クレジットを見るとメンバーを一新しているんだね。その中のクリス・スピードは、「Dejan Terzic / Prometheus(16年、別頁あり)」でしか聴いたことがないサックス奏者。またクリス・ライトキャップも「Gabriel Puentes/Simple(10年、別頁あり)」「Matt Wilson Quartet + John Medeski / Gathering Call(14年、別頁あり)」で耳にしているも、どんな感じのベーシストだったのかは記憶に残っていない。デイヴ・キングはThe Bad Plusのデヴィッド・キング(David King)と同一人物かな。だとするとよく知っているドラマーということになるけれど、いずれにしてもこの面々でどんな演奏を繰り広げているのか楽しみだ。

テイボーン曲が8曲と、ロスコー・ミッチェルの「Jamaican Farewell」で全9曲。
1曲目「The Shining One」は8ビートの7/4拍子だけど、すぐにビートは変化するしフリー的な要素も強くなっていて、そんな中でテイボーンがギンギンにピアノを引き倒しているのがカッコいい。近年のECMは静的な演奏が多くなっているだけに、こういうのを聴くとスカッとする。2曲目「Abandoned Reminder」もゆったり目のテンポのバラード調の曲ではあるけれど、この曲もまた途中からカツカツしたビートにチェンジして、なおかつフリーの要素も取り入れながらダイナミックに盛り上がっているのだから嬉しくなってしまう。1曲目もそうだけど、テイボーンと脇役的に吹いているスピードのアドリブが同時進行しているのも演奏のバイタリティーさに繋がっているね。3曲目「Daylight Ghosts」もバラード調で、途中から盛り上がる手法は2曲めと同様だけど、こちらの方はバラード部分が主体となるようにアプローチを変えているので、また一味違った演奏が楽しめる。4曲目「New Glory」はドラムソロからスタートするリズミカルな曲。いったい何拍子なのか、数えてもよく分からない変拍子(11拍子かな?)となっているけれど、ウッドから持ち替えて弾いているライトキャップのエレベの反復フレーズや、ラテンのリズムを応用したキングのドラミングがいいアクセントになっているし、テイボーンのプレイにも活力が漲っていて、これまた実にいい塩梅。こういう曲があるからこそ、続く5曲目「The Great Silence」のような音の空間を活かした、いかにもECMといった感じの演奏も生きてくる。
残りの曲は割愛するけれど、バンドとしての演奏にはオリジナリティーが感じられるし、動と静のバランスに留意しながらの各人が一体となった盛り上がりも魅力的で、どの曲を取ってもいい感じで楽しむことができた。聴く前はエレクトロニクスがクレジットされているのが気になったけど、味付け程度に用いているだけで、目立っているのは9曲目「Phantom Ratio」だけなので、こういうのだったら全然オーケー。本作は録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)も各楽器が過不足なく良い音(物理的にではなく音楽的に)で録れていて上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Daylight Ghosts
Craig Taborn
Ecm Records
2017-02-10

 
  

--EDIT--

Jeremy Pelt / Make Noise!

Jeremy Pelt (Tp)
Victor Gould (P)
Vicente Archer (B)
Jonathan Barber (Ds)
Jacquelene Acevedo (Per)
Rec. September 9, 2016, NY
(Highnote Records HCD7299)

大好きなジェレミー・ペルトだけど、本作ではメンバーをガラリと代えているのが興味深い。その中のヴィセンテ・アーチャーは、多くのアルバムに参加している売れっ子ベーシストなので説明不要だろう。ドラムスのジョナサン・バーバーは「JD Allen / Grace(13年、別頁あり)」「JD Allen / Bloom(14年、別頁あり)」に参加していたね。またヴィクター・グールド(リーダー作「Victor Gould / Clockwork(16年)」でペルトと共演)は、「Jonathan Greenstein / Thinking(11年、別頁あり)」や「Ralph Peterson / The Duality Perspective(13年、別頁あり)」中の2曲に参加しているのが見つかった。パーカッションのジャクレーン・アセヴェド(?)はこれが初聴きだと思うけど、はたしてこの面々でどういうことになっているのかワクワクする。

ペルト曲が7曲、パーカッションソロ、ドラムソロ、シモーナ・プレマッツィの「Digression」で全10曲。
ここ何作かはマイルスの黄金クインテット色が濃厚だったペルトだけど、本作ではフレディ・ハバード色が強くなっているのに新鮮味を感じる。アルバムタイトルから、もしかすると私が苦手とするヒップホップ調のジャズをやっているのではと危惧していたのだが、決してそんなこともなく、モーダルな4ビートをメインにきちんと勝負をかけているのも実にいい塩梅。比較的綺麗なコード進行のバラードの9曲目「Your First Touch...」以外はダークな曲調に統一しながら演奏が淡々と進行しているけれど、そんな中でのコンガを主体としたパーカッションソロの1曲目「Prologue: Introduction to "Make Noise!"」やドラムソロの6曲目「Introduction to "Evolution"」がいいアクセントとなっているし、曲ごとにビートやテンポも変えているので、単調に感じるようなことは全くない。ペルトは全体的に腹八分目に吹いている印象ながらも華のあるプレイで聴かせてくれるし、グールドのさりげなくアウトしているフレージングも滅茶苦茶かっこいいし、バーバーのバイタリティー溢れるドラミングも強力な推進力となっているし、録音のせいで少々聴こえにくいものの土台をガッチリと支えているアーチャーの力感のあるベースも相変わらず素敵だし、単なる色付け程度では終わっていないアセヴェドのプレイにも存在感があって、バンドとしての調和を取りながらも各人が持ち味を存分に発揮しているおかげで、どの曲をとってもいい感じで楽しませてくれる。楽曲自体が私好みのものばかりということもあって、ノリノリで聴いていたらトータル53分があっという間に終わってしまった。
ペルトのバンドはこれまでのメンバーも相当良かったけれど、アーチャー以外は知名度がイマイチなものの、このメンバーもまたテクニック的にも音楽性も申し分がなくて大いに気に入った。本作は録音(エンジニアはジョー・マルシアーノ)も、ベースだけは不鮮明ではあるけれど、各楽器が温かみのある音で録れているし、やっている音楽にもよくマッチしていて好感が持てる。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Make Noise!
Jeremy Pelt
Highnote
2017-01-20

 
  

--EDIT--

Pieranunzi・Ceccarelli・Imbert / Ménage à Trois

Enrico Pieranunzi (P)
Andre Ceccarelli (Ds)
Diego Imbert (B)
Rec. November 12-15, 2015, France
(Label Bonsai Music BON160901)

エンリコ・ピエラヌンツィがCam Jazz以外のレーベルでレコーディングするのは、「Enrico Pieranunzi / Tales From The Unexpected(15年、別頁あり)」以来ということになるのかな。今回は盟友のアンドレ・チェカレリと共にフランスに出向いてのBonsaiレーベルでのレコーディングだけど、アルバムが3人の共同名義になっているということはピエラヌンツィのリーダー作ではなく、これが初聴きのフランス人ベーシスト、ディエゴ・インベルト(?、1966年生まれ)が持ち込んだ企画だったのかもしれない。Wikipediaを見ると、インベルトは過去にもピエラヌンツィ、チェカレリと共演しているし、アーチー・シェップ、アルド・ロマーノ、リチャード・ガリアーノ、エリック・レニーニ、アントニオ・ファラオ、ジャン=ミッシェル・ピルクとも共演歴があるんだね。ちなみにピエラヌンツィのフランスでの録音ものとしては、ライブ盤の「Enrico Pieranunzi/Live in Paris(05年、別頁あり)」が最高だった。

ドビュッシー、バッハ、シューマン等の曲をモチーフにしたと思われるピエラヌンツィ曲が6曲、エリック・サティの「Iere Gymnopedie」、ドビュッシー曲にピエラヌンツィ曲を付け加えた「Medley: La plus lener que lente / La  moins que lente」、フランシス・プーランクの「Hommage a Edith Piaf」、ダリウス・ミヨーの「Le crepuscule」、ダリウス・ミヨー曲にピエラヌンツィ曲を付け加えた「Medley: Romance / Hommage a Milhaud」で全11曲。
ピエラヌンツィの前作「Enrico Pieranunzi Quartet / New Spring: Live At The Village Vanguard(16年、別頁あり)」は期待したほどではなかっただけに、ここでの演奏はやけによく感じる。それにはメンバー的なこと以外に、レコーディングに4日間たっぷりと時間を掛けていることも関係しているのだろう。丁寧なアレンジが施させていながらも、クラシックを題材としているわりには静的な演奏には終わっていないどころか、どの曲をとってもリズミカルなのが実にいい。オリジナルの1曲目「Mr. Gollywogg」は、ここ何作か続いていたスコット・コリー、アントニオ・サンチェスとの共演盤と同様に、ラテン的な要素も取り入れながらのアップテンポな演奏が滅茶苦茶かっこいいし(アドリブの4ビート・チェンジ部分で「Night And Day」のフレーズを弾いてコード進行の種明かしをしているのにもニヤリとさせられる)、サティの有名曲の2曲目「ジムノペディ」のボサノヴァ・タッチの演奏も非常にセンスがよくて、もうこの2曲だけでも買ってよかったという気にさせてくれる。続く3曲目「Medley: La plus lener que lente / La  moins que lente」なんかもドビュッシーの「レントより遅く」をソロ・ピアノでしんみりと聴かせた後には、スウィンギーな4ビート(倍テンもあり)で盛り上がっていて最高だね。いつもながらのピエラヌンツィの饒舌な語り口のピアノ、ここぞというときにはお得意のダブルストロークを多用しているチェカレリのダイナミックなドラミングに加えて、逞しさの中にも優しさが感じられるインベルトのベースにも聴き応えがあって、ヨーロッパのピアノトリオとしての理想的な演奏で楽しませてくれる。アルバムの中盤はチェカレリがブラシを用いた大人し目の演奏となっているけれど、そろそろガツンときてくれないかなあと思っているとちゃんとくるので、そんなこともどうでもよくなってくるし、1曲目と同様に10曲目「Hommage a Faure」と11曲目「Liebestraum pur fous」もラテンタッチな演奏で曲の流れに大きく変化を与えているのも、最後まで退屈させない要因となっているね。
クラシックが題材ということで、聴く前はそんなに期待していなかった本作だけど、これは買って大正解。録音(エンジニアはStefano Amerio)もピアノは少々明るめに録れているものの、各楽器の質感、バランス共に申し分がなくて、久しぶりにいい感じのピエラヌンツィを堪能できた。これでドラムソロも入っていれば更によかったと思う。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Menage a Trois
Enrico Pieranunzi
Imports
2016-10-07

 
  

--EDIT--

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