Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

カテゴリ:Jazz / FusionのCD > 新譜

Oregon / Lantern

Paul McCandless (Oboe, English Horn, Ss, B-Cl)
Ralph Towner (Classical-G, P, Syn)
Paolino Dalla Porta (Ac-B)
Mark Walker (Ds, Hand-Per, Drum-Syn)
Rec. November 28-30, 2016, Ludwigsburg
(Cam Jazz CAMJ7916)

前作「Oregon / Family Tree(12年、別頁あり)」が素晴らしかったオレゴンだが、本作では老齢のためかグレン・ムーアが抜けてしまっているのが寂しいところ。これで結成当時からのメンバーはポール・マッキャンドレス、ラルフ・タウナーの2人だけになってしまったけど、これだけの長寿バンドは他にはないし、マーク・ウォーカーが参加してからはサウンドも若返っているので、できることなら長く続いて欲しいと願っている。新加入のパオリーノ・ダッラ・ポルタは自己のリーダー作「Paolino Dalla Porta Quintet / Urban Raga(09年、別頁あり)」やサイド参加の「Francesco Cafiso / 4 Out(11年、別頁あり)」で聴いたことがあるけれど、オレゴンに通じる音楽性にも普通の4ビートジャズにも長けているので、ムーアの代役だけに留まらないプレイが期待できそうだ。

タウナー曲が6曲、ウォーカー曲が1曲、ポルタ曲が1曲、4人の共作が1曲、トラディショナルの「The Water Is Wide」(アレンジはマッキャンドレスが担当)で全10曲。
元来が室内楽的なオレゴンだけど、1曲目「Dolomiti Dance」や2曲目「Duende」でますますその傾向が強くなっているように感じられるのは、やはり年齢的なものが関係しているのかもしれない。これはこれで悪くはないのだが、もっとガツンとしたものが欲しくなってしまう。そう思いながら聴いていると、タウナーがピアノを弾いている3曲目「Walk The Walk」では、ここまでハンドドラムやブラシを使って大人し目に叩いていたウォーカーが普通にスティックを使いながらダイナミックなドラミングをしていて実にいい塩梅。曲調も非常にリズミカルで、それこそが近年のオレゴンの特徴でもあるのだが、モーダルな味付けを加味しながらのピアノのアドリブの後には目茶苦茶カッコいいドラムソロまで用意されていて、もうこの1曲だけでも買ってよかったという気分にさせてくれる。続く4曲目「Not Forgotten」はまた大人し目の曲ではあるけれど、こういう曲調ではマッキャンドレスとタウナーは当然のことながら、ポルタもいい感じのバッキングとソロで聴かせてくれるのだから、彼の加入も大正解。ムーアよりも温度感の高いプレイが、バンドとしてのサウンドの温かさにも繋がっているね。5曲目「Hop, Skip And A Thump」は軽い感じの4ビート、6曲目「Figurine」はオーボエとピアノのデュオ、そして同じくタウナーがピアノを弾いている4ビート曲の7曲目「The Glide」は2曲目以上にホットな演奏が展開されていて(後半の4バースも聴き応えがある)、残りの曲も含めてメロディーで聴かせる曲とノリのよさで聴かせる曲がバランスよく配分されているおかげで、最後までいい感じで楽しむことができる。それにしてもマッキャンドレスもタウナーも、高齢にもかからわずテクニックは全く衰えていないどころか、凄みさえ感じさせるのだから大したもの。特にタウナーは作曲面においても非常に意欲的なのだから恐れ入る。
いかにもオレゴンらしいシンセも加えながらの即興的な9曲目「Lantern」(ミステリアスな演奏がジャングル的なものに徐々に変化)の後には、涙が出るほどに感動する曲(10曲目の「The Water Is Wide」)を用意していたりして、リスナーの心理をきちんと読んでいるアルバム作りは、さすがにベテランならではといった感じだね。本作は録音(エンジニアはJohannes Wohlleben)も各楽器が非の打ちどころのない音で録れていて極上だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Lantern
Oregon
Camjazz
2017-06-30

  

--EDIT--

DeJohnette, Grenadier, Medeski, Scofield / Hudson

Jack DeJohnette (Ds, Tom-Tom, Wooden-Fl, Vo)
Larry Grenadier (B, Vo)
John Medeski (P, Rhodes, B-3, Wooden-Fl, Vo)
John Scofield (G, Wooden-Fl)
Rec. January, 2017, NY
(Motema Music MTA-CD-228)

ジャック・ディジョネットとジョン・スコフィールドの共演といえば、トニー・ウイリアムスや60年代後半の彼のバンド「ライフタイム」に捧げたライブ盤「Trio Beyond/Saudades(06年、別頁あり)」での熱演が真っ先に思い浮かぶ。おそらく本作もそれと同傾向の作品だと思うけど、ジョンスコ繋がりのジョン・メデスキ(「 Medeski Scofield Martin & Wood/Out Louder(06年、別頁あり)」「MSMW / Live: In Case The World Changes Its Mind(11年、別頁あり)」「John Scofield / Uberjam Deux(13年、別頁あり)」で共演)やラリー・グレナディア(ジョンスコとは「John Scofield / Past Present(15年、別頁あり)」で、ディジョネットとは「George Colligan / The Endless Mysteries(14年、別頁あり)」で共演)とで、はたしてどういう演奏が繰り広げられているのか楽しみ。ちなみにこのバンド(8月に75歳を迎えるディジョネットの特別プロジェクトのよう)ではツアーも組まれているようだ。

ディジョネット曲が3曲(ブルース・ホーンズビーとの共作含む)、ジョンスコ曲が2曲、4人の共作が1曲、ボブ・ディランの「Lay Lady Lay」「A Hard Rain's A-Gonna Fall」、ジョニ・ミッチェルの「Woodstock」、ジミヘンの「Wait Until Tomorrow」、ロビー・ロバートソンの「Up On Cripple Creek」で全11曲。
1曲目「Hudson」は私たちアマチュアも昔からセッションでよくやっている、テーマを決めずにおもむろにスタートさせるワンコードものの即興演奏(電化マイルス的な16ビート)だけど、この4人でやるともうそれだけでもカッコいい曲になってしまうのだから流石だね。イマイチ盛り上がりには欠けるものの、ジョンスコとメデスキの掛け合いがなかなかの聴きもの。ジョンスコ曲の2曲目「El Swing」は、「Miles Espanol / New Sketches of Spain(11年、別頁あり)」(ディジョネットとジョンスコが共演)にも収録されていた4ビート曲。いかにもジョンスコらしいメロディラインが印象的だけど、アドリブは意外とさっぱりしていて、むしろ2番手のキコスキの方が普段こういう曲調をアコピでアドリブを取っているのはあまり聴いたことがないこともあって、いい感じで楽しませてくれる。3曲目「Lay Lady Lay」は弾まないレゲエ調の16ビート。きっとディランを好きな人にとってはこの曲をやっているだけでもたまらないと思うけど、演奏的には2曲目同様にさっぱりとしているので、ジョンスコにしてもディジョネットにしてももっとブチ切れてもいいのではと思ってしまう。それは穏やかな演奏となっているジョニ・ミッチェル曲の4曲目「Woodstock」にもいえることだが、考えてみると「Trio Beyond/Saudades」から既に11年が経過していて、その分2人とも年を取っているわけだし、「Saudades」が70年前後のジャズロック調だったのに対し、こちらの方は選曲からもロックの他にフォークもテーマとなっているようなので、同じような演奏を期待するのはお門違いなのかもしれない。なんて思いながら聴いていると、ディラン曲の5曲目「A Hard Rain's A-Gonna Fall」では6/8拍子の4ビートの中、ディジョネットが次第にフリー調となっていき、他のメンバーもそれに同調する手法を取っていて、「そうそうこれこれ」と納得させてくれる。やはりディジョネットはこの手のフリーがかったドラミングをやらせると絶品だね。ジミヘン曲の6曲目「Wait Until Tomorrow」は当然ながらのロック調。ジョンスコがギンギンに弾きまくっているけれど、盛り上がっている途中でフェードアウトしているのは残念なところ。たぶんこの後演奏が収拾つかなくなったからだと思うけど、出来ればそういう部分こそ聴いてみたかった。ディジョネット曲の7曲目「song for World Forgiveness」は穏やかな感じの16ビート曲。この曲に限らず、本作でのディジョネットはロックを意識するあまり、スネアの2、4拍(バックビート)を強調しながら叩いているけれど、それによりドラミングの幅が狭まっているので、もう少し開放感のあるプレイをしてもよかったのではと思う。8曲目「Dirty Ground」はヴォーカルやコーラス入り。メインヴォーカルはおそらくディジョネットだと思うけど、渋い歌声がなかなか魅力的。9曲目は「Tony Then Jack」と題したジョンスコ曲。ミディアムファーストの4ビートのブルースだけど、オーソドックスな曲調の中での各人のプレイが素晴らしい。
残りの曲は割愛するが(11曲目「Great Spirit Peace Chant」が、ディジョネットのルーツであるアメリカ・インディアンへのオマージュとなっていることだけは記しておこう)、想像していたようなアグレッシブでガツンとくるような演奏ではないものの(肌触りとしてはここ何年かのジョンスコのリーダー作に近いものがある)、これはこれでいい感じで楽しむことができた。本作は録音(エンジニアはScott Petito)も各楽器が過不足なく良い音で録れているし、やっている音楽にもよくマッチしていて上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Jack Dejohnette
Motema Music
2017-06-09

  

--EDIT--

David kikoski / Kayemode

David Kikoski (P)
Joe Martin (B)
Justin Faulkner (Ds)
Rec. September 20, 2016, NY
(Criss Cross 1394)

デヴィッド・キコスキのリーダー作は「David Kikoski / Consequences(12年、別頁あり)」以来だけど、その間にも「Opus 5 / Pentasonic(12年)」「Opus 5 / Progression(14年)」「Opus 5 / Tickle(15年)」(各別頁あり)を筆頭に参加アルバムがいろいろあるので、久しぶりといった感じは全くしない。「Consequences」はクリスチャン・マクブライド、ジェフ・ワッツによる強力な演奏で、大の愛聴盤となっているのだが、本作はジョー・マーティンがベースなのは妥当な線として、ドラムスが「Branford Marsalis Quartet / Four MFs Playin' Tunes(12年)」「Jacky Terrasson / Gouache(12年)」「Kurt Rosenwinkel / Star of Jupiter(12年)」「Branford Marsalis Quartet with Special Guest Kurt Elling / Upward Spiral(16年)」(各別頁あり)でしか聴いたことがない若手のジャスティン・フォークナーなのは意表を突く。おそらくブランフード・カルテットの前任で、師匠的存在でもあるワッツの推薦による参加だと思うけど、キコスキとマーティンを相手に、はたしてフォークナーがどのようなアプローチを見せているのか興味深いものがある。

キコスキ曲が4曲と、パーカーの「Au Privave」、メセニーの「H & H」、コリアの「Mirror Mirror」、モンクの「Trinkle Tinkle」、ジェローム・カーンの「Smoke Gets in Your Eyes」で全9曲。
場面によってはワッツが叩いているのではと勘違いするほどよく似ているフォークナーのダイナミックなドラミングにまず感心する。流石に若いだけあって、より一段と上手くなっているね。それがまたキコスキのモーダルなピアノともよくマッチしているのだから、彼の起用は大正解。この2人にはマクブライドのような、黒くて強靭なベースの方が合うのではと思いがちだけど、意外にもマーティンがそういう感じで弾いているし、多くの曲で取っているソロも手数はそんなに多くないものの、決してありきたりではないフレージングで聴かせてくれるのだから大したもの。もちろんキコスキのカッコよさも相変わらずで、いい感じにアウトしながら攻撃的に仕掛けるという、私が最も好きなタイプのプレイをしているのだから何ともたまらない。今回は既成曲が多いけど、その選曲もまた私好みの曲ばかりだし、オリジナルとの統一感が取れているのグッド。1曲目「Au Privave」、2曲目「Binge Watching」(オリジナル)のアグレッシブな演奏の2連発、リリカルな曲調が後半でダイナミックに盛り上がっている3曲目「Morning Glory」(オリジナル)、普通の4ビートながらも3人が会話しているように聞こえる4曲目「H & H」、現代的なファンクビートが目茶苦茶カッコよくて、キコスキとフォークナーのバトルも用意されている5曲目「Switching Roles」(オリジナル)、もうこの曲を取り上げているだけでも嬉しくなってしまう6曲目「Mirror Mirror」と7曲目「Trinkle Tinkle」、バラード曲の定番の8曲目「Smoke Gets in Your Eyes」、ソロピアノの9曲目「Blues for Gerry」(オリジナル)のどれをとっても実にいい感じで楽しませてくれる。ストレート・アヘッドな演奏がメインとなっているけれど、各人のプレイ自体が非常に魅力的なので、楽曲的にはこれ以上のアレンジを施す必要もないだろう。
前作「David Kikoski / Consequences」が最高に良かっただけに、メンバーが小粒な本作はイマイチなのではと聴く前は思っていたけれど、決してそんなことはないどころか、ドラムスに関してはここ1~2年で年齢的な衰えが感じられるようになったワッツよりも、むしろフォークナーの方がよく感じるね。キコスキならもっと凄いことができると思うけど、トリオとしては曲良し、演奏良しに加えて、録音(エンジニアはマイケル・マルシアーノ)も各楽器の音質、バランス共に上々なので、これはオマケして5つ星にしておこう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Kayemode
David Kikoski
Criss Cross
2017-05-19

  

--EDIT--

Jimmy Greene / Flowers - Beautiful Life, Volume 2

Jimmy Greene (Ss, As, Ts, Bs)
Kevin Hays (P, Rhodes)1, 3, 6, 8, 11
Ben Williams (B)1, 3, 6, 8, 11
Otis Brown III (Ds, Per)1, 6, 8, 11
Renee Rosnes (P, Rhodes)2, 4, 5, 7, 9, 10
John Patitucci (Ac-B, El-B)2, 4, 5, 7, 9, 10
Jeff "Tain" Watts (Ds)2, 3, 4, 5, 7, 9, 10
Rogerio Boccato (Per)2, 4, 5, 9, 10
Mike Moreno (G)5, 9, 10
Sheena Rattai (Vo)3
Jean Baylor (Vo)7
Rec. 2016?, NY
(Mack Avenue MAC1118)

サブタイトルが「Beautiful Life, volume 2」となっているとおり「Jimmy Greene / Beautiful Life(14年、別頁あり)」の続編なので、おそらくバラード的な作品だと思うけど、リニー・ロスネス以外はメンバーを一新していて、しかもケヴィン・ヘイズ、マイク・モレノ、ベン・ウィリアムス、ジョン・パティトゥッチ、オーティス・ブラウンIII、ジェフ・"ティン”・ワッツといった強力な面々が参加しているのだから、また一味違った演奏が楽しめそう。ジミー・グリーンには以前のようにガンガン吹きまくってもらいたいものだが、そういう心境になるにはまだまだ時間が必要なのかもしれない。

グリーン曲が10曲と、マーク・キングの「Something About You」で全11曲。
1曲目「Big Guy」からアップテンポの4ビートで快調に飛ばしていて、想像していたのとは異なっているのにまずはホッとする。せっかくこれだけのメンバーを集めているのだから、やっぱりこのようなエネルギッシュな演奏をしてもらわないと面白くないんだよね。それはメンバーが入れ替わっている2曲目「Stanky Leg」も同様で、こちらの方はパーカッションも加わったサンバ調の演奏となっているのだから(ジェフ・ワッツがこういう曲を叩くのは珍しいかも)、またまたいい感じで楽しむことができる。グリーンは1曲目でテナー、2曲目ではソプラノを吹いているけれど、どちらの楽器も以前ほどのアグレッシブさは薄れているものの、フレーズ自体はバイタリティに溢れているので、吹き足りなく感じることは全くなし。また他のメンバーもアドリブの場面は少ないながらも、曲調によく合ったノリのいい演奏で聴かせてくれる。3曲目「Flowers」は女性ヴォーカルをフィーチャーした曲だけど、現代的かつ明るめな曲調なのがいい塩梅。こういうのを聴くとグリーンの心の傷もだいぶ癒えているように思えるし、続く4曲目「Second Breakfast」もラテンタッチでノリのいい演奏となっているし、5曲目「Fun Circuits」も速めの8ビートでガツンといっていることからしても(グリーンの他にはモレノのギターとロスネスのピアノがなかなかの聴きもの)、少なくとも仕事に影響を及ばさないぐらいには立ち直っているのだろう。他の曲も女性ヴォーカル入りのバラードの7曲目「Someday」を除いて、やけにノリのいい演奏が続いているのは、逆に空元気を出しているような気がしないでもないけどね。でもそのおかげで久しぶりにいいグリーンが帰ってきたように感じるのに加えて、ヘイズ、ウィリアムス、ブラウンIII組とロスネス、パティトゥッチ、ワッツ、Rogerio Boccato、モレノ組のどちらのユニットも甲乙つけがたいほどにいい演奏をしていることもあって、ドラマーとしてはワッツよりもブラウンIIIの頑張りがよく目立っている感があるものの、どの曲をとってもノリノリで楽しむことができる。
ということで予想したのとは全然違う演奏なので、コルトレーンの「Ballads」以外は誰のバラード的なアルバムであってもあまり聴きたいとは思わない私としては嬉しい限り。本作は録音(エンジニアはマイク&ジョー・マルシアーノ)も温かみのある各楽器がバランスよく録れているし、ユニットの違いにり音質が極端に変わることもなくて上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


FLOWERS-BEAUTIFUL LIFE
JIMMY GREENE
MACAV
2017-04-28

  

--EDIT--

Christian Sands / Reach

Christian Sands (P)
Marcus Baylor (Ds)
Gilad Hekselman (G)7, 8, 9
Christian McBride (B)8
Yasushi Nakamura (B)
Cristian Rivera (Per)5
Marcus Strickland (Ts, B-Cl)3, 4
Rec. 2016?, NY
(Mack Avenue MAC1117)

先日聴いたユリシス・オウエンスJr(「Ulysses Owens, Jr. / Falling Forward(17年、別頁あり)」)と同様、クリスチャン・マクブライドに可愛がられているクリスチャン・サンズのリーダー作を買うのは、「Christian Sands/Risin'(08年、別頁あり)」「Sands, Fonnesbaek, Riel / Take One(15年、別頁あり)」に次いでこれが3枚目だけど、本作ではこれまであまり接点がなかったのではと思われるマーカス・ベイラーと共演しているのが興味深い。ベイラーはイエロージャケッツに在籍していたことがあるドラマー。近作では「Kenny Garrett / Pushing The World Away(13年、別頁あり)」で非常にいい仕事をしていたので、ここでのプレイにも期待している。またベースは中村恭士だけど、マクブライド(プロデュースを担当)が1曲だけ演奏に加わってソロを弾いているのも嬉しいし、2曲に参加のマーカス・ストリックランドや3曲に参加のギラッド・ヘクセルマンがどういうプレイをしているのかも楽しみだ。

サンズ曲が8曲と、Bill Withersの「Use Me」、ジェームズ・ホーナーの「Somewhere Out There」で全10曲。
サンズがバップ・テイスト溢れるピアニストであることは基本的に変わらないけれど、そこにマッコイ・タイナー的なモーダルさ等のプラスアルファが加わって、ますますいいピアニストに成長しているね。おそらくマクブライドのバンドで鍛えられたおかげだと思うけど、どの曲においても表現力が実に豊かだし、今回はいろんなビートの曲を用意しているおかげで、これまでとは一味違った演奏た堪能できる。そのためのベイラーだと思うけど、1曲目「Armando's Song」のようなアップテンポの4ビートであれ、3曲目「Pointing West」のような16ビートと4ビートの複合曲(曲調はコリアの「Humpry Dumpty」に似た感じ)であれ、5曲目「iOyeme」のようなラテンタッチな演奏であれ、ヘクセルマン参加の7曲目「Reaching for the Sun」、8曲目「Use Me」、9曲目「Gangstalude」のようなもっとコンテンポラリーな演奏であれ、どんな曲調やビートであってもどんとこいなのだから、彼の起用は大正解。それと比べると中村のベースは頑張って弾いているわりには音自体がちょっと弱いというか不鮮明だけど、サンズとベイラーが常に聴かせてくれるので、気になるほどではない。曲によってのストリックランド(テナーだけではなくエレクトロニクスも担当しているよう)、クリスチャン・リベラ、ヘクセルマンの参加もとてもいいアクセントとなっていて(マクブライドが8曲目のいいところでアルコのソロだけでわざわざ参加する必要はない気がするが)、ゲストが参加している曲以外はほとんどサンズにしかスポットが当たっていないものの、どの曲をとってもノリノリで楽しむことができる。ゲスト陣の中では、特にヘクセルマンの相変わらずの順応力の高さに感心する。
ここでのサンズは、これまでとは一皮も二皮もむけていて(音楽性の幅が広がった感じ)実にいいね。本作は演奏の良さに加えて、録音(エンジニアはTood Whitelock)も中村のベースを除いては良好だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


REACH
CHRISTIAN SANDS
MACAV
2017-04-28

  

--EDIT--

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