Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

カテゴリ:Jazz / FusionのCD > 新譜

Peter Bernstein / Signs Live!

Peter Bernstein (G)
Brad Mehldau (P)
Christian McBride (B)
Gregory Hutchinson (Ds)
Rec. January 4, 2015, Live at Jazz at Lincoln Center, NYC
(Smoke Seccions Records SSR1705)

ピーター・バーンスタインのブラッド・メルドー、クリスチャン・マクブライド、グレゴリー・ハッチンソンとの共演盤は「Peter Bernstein Quartet / Signs Of Life(95年)」以来かな。当時は輸入盤を買える環境になかったので、残念ながら「Signs Of Life」は所有していないのだが、同じくメルドー参加の「Peter Bernstein +3 / Heart's Content(02年)」「Peter Bernstein +3 / Stranger in Paradise(04年)」は、ドラマーがビル・スチュワートということもあってよく聴いている。なので本作での2人のプレイも大体想像はつくのだが、マクブライドとハッチンソンがバースタインと共演しているのは聴いたことがないし、メルドーとリズム隊の2人の組み合わせも同様なので(3人ともジョシュア・レッドマンのバンドのメンバーではあったけど、参加していた時期がずれている)、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

バーンスタイン曲が9曲と、モンクの「Pannonica」、「Crepuscule with Nellie / We See(メドレー)」で全11曲(CD1が5曲、CD2が6曲)。
いかにもバーンスタインらしい温かみのある演奏。オーソドックスながらも古めかしさは感じないバーンスタインのギターが相変わらず素敵だし、そんなバーンスタインと調和を取りながら、自分のトリオのときとはまた一味違ったピアノを弾いているメルドーの、リラックス感のあるプレイも実にいい塩梅。それに加えてマクブライドの上手さや(ソロの場面もたっぷりと用意されている)、ハッチンソンのバイタリティー溢れるドラミングも楽しめるのだから(ドラムソロでも大炸裂)、演奏的には何も文句はないのだが、ちゃんと聴こえはするもののベースの音に力感が欠けているのと、ドラムスも若干奥に引っ込んだ感じで録れているのは気になる部分。一発勝負のライブ録音(エンジニアはGreg Scholl)なので仕方がないとはいえ、そのせいでバンドとしての演奏がなんとなくよそよそしく感じてしまう。ついでにいうとCD1は速めの2曲目「Hidden Pockets」を除いて、似たようなテンポ(ミディアムやそれ以下の)の曲が続いているのも、曲調はそれぞれ異なっているとはいえどうかと思う。せっかくこれだけのメンバーが揃っているのだから、もっといろんなテンポの曲を用意した方が、より各人の妙技が楽しめてよかったと思うけどね。ベースソロとドラムソロがいいアクセントとなっているとはいえ、トータル76分も同じ調子で演奏しているものだから、途中からは冗長に感じてしまった。でもCD2(トータル77分)の方はバースタインの楽曲の中でも大好きな1曲目「Useless Metaphor」(「Larry Goldings, Peter Bernstein, Bill Stewart / Ramshackle Serenade(14年、別頁あり)」収録曲)を筆頭に、テンポ的な工夫もきちんと施されているので(特にアップテンポの3曲目「All Too Real」は演奏的にも素晴らしい)、これでよしとしよう。
ということで全てに共感できるといったわけではないけれど、オリジナル以外ではモンクの曲を取り上げていることもあってノリノリで楽しむことができた。ハッチンソンが使っているSAKAEのドラム(Trilogyシリーズ)も良い音しているし、2枚組で1,819円(HMVのセール価格)というリーズナブルな値段も嬉しい。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Signs Live!
Peter Bernstein
Smoke Sessions Rec
2017-07-28

  

--EDIT--

Makoto Ozone

Makoto Ozone (P)
James Genus (B)
Clarence Penn (Ds, Per)
Rec. February 8-10, 2017, NYC
(Universal Classics & Jazz - Verve UCCJ2144)

小曽根真のジェームス・ジナス、クラレンス・ペンとのThe Trio名義のアルバムは、DVD作品の「Makoto Ozone The Trio/Alive!!(07年、別頁あり)」以来ということになるのかな。CDとしては「Makoto Ozone The Trio/Real(05年、別頁あり)」以来だと思うけど、初代ベーシストである北川潔の時代も含めて好きなトリオだったので、久しぶりのレコーディングは嬉しい限り。小曽根はThe Trio以降の「Makoto Ozone, Christian McBride, Jeff "Tain" Watts / My Witch's Blue(12年、別頁あり)」や、サイド参加の「The Dave Weckl Acoustic Band / Of the Same Mind(15年、別頁あり)」等でも素晴らしいプレイをしているので、本作にも期待している。

全9曲が小曽根のオリジナル。
The Trioという名前に相応しい、小曽根だけではなくリズム隊の2人にもきちんとスポットを当てた演奏となっているけれど、特に今回はジナスが多くの曲でソロを取っているのが演奏上のいいアクセントにもなっているね。トリオとしては全体的にこじんまりと纏まっているので、ペンの出番は思ったほど多くないけれど、それでも1曲目「Dues」、6曲目「M.C.J.」、8曲目「Tag Me, Tag You」ではいい感じのソロを取っているし、その6曲目ではドラムセットにローチューニングのサイドスネアを追加してみたり、サンバ調の5曲目「Flores Do LiRio」ではパーカッションもオーバーダブで叩いていたりと、曲によっては音的にもカラフルなプレイをしているので、バッキングだけでも十分に楽しむことができる。流石に小曽根だけあって、ピアノの上手さだけではなく楽曲自体もよく練られていて、ファンキー調の1曲目はホレス・シルヴァー的な雰囲気を醸し出していながらも、アドリブに入ってからはモーダルさも感じさせるのが素敵だし、3拍子(6/8拍子)の2曲目「Wishy Washy」には部分的にミュージカル的なものが感じられるし、3曲目「Mirror Circle」ではタンゴ的な要素をうまく取り込んでいたりと、どの曲をとってもセンスのいいアプローチで聴かせてくれる。その中でも特に6曲目は、ただでさえカッコいいドン・グロルニックの「Nothing Personal」を現代的にしたような感じで大いに気に入ったのだが、アルバムとしては落ち着いた感じの曲が多く収録されているし、ラスト曲の9曲目「Time Thread (for Bill Evans)」もバラードで締めているので、こういうバイタリティーのある曲をもっと増やした方が聴き終わった後の満足感がより得られていたのではと思う。
ということで、私好みのハードな演奏がメインといったわけではないけれど、久しぶりにThe Trioとしての演奏を堪能できたのに変わりはないので、これでよしとしよう。本作は録音(エンジニアはAkihiro Nishimura)も、ピアノは少々綺麗すぎるような気がしないでもないものの(もしかするとSHM-CDだからかも)、力感のあるベースや、繊細ながらもダイナミックなドラムスとのバランスは良好だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


ディメンションズ
小曽根真 THE TRIO
ユニバーサル ミュージック
2017-08-02

  

--EDIT--

Alex Sipiagin / New Path 2

Alex Sipiagin (Tp, Flh)
Hiske Oosterwijk (Vo)
Boris Kozlov (B)
Misha Tsiganov (P, Rhodes, Minimoog)
Donald Edwards (Ds)
Rec. 2014?, NJ
(Butman Music IB74002)

アレックス・シピアギンは現在最も好きなトランぺッター。テクニックがどうこう以上に、その音楽性が大好きなんだよね。なので本作にもすぐに飛びついたのだが、よく見たら2015年のリリースだし、シピアギンと同様Opus 5(「Opus 5 / Tickle(15年)」等、別頁あり)のメンバーでもあるボリス・コズロフ、ドナルド・エドワーズや、3人との関わりも深いミシャ・シガノフ(「 Misha Tsiganov / Dedication(12年、別頁あり)」「Misha Tsiganov / The Artistry Of The Standard(14年、別頁あり)」「Misha Tsiganov / Spring Feelings(16年、別頁あり)」)の参加にはそそられるものの、女性ヴォーカリストのイスク・オーステルヴェイク(?、オランダ出身のよう)が全面的にフィーチャーされているので、最新作である「 Alex Sipiagin / Moments Captured(17年、別頁あり)」ほどの期待はしていない。

全7曲がシピアギンのオリジナル。
いかにもシピアギンらしいコンテンポラリーなジャズ(非4ビート)が展開されている。まずは懸念していたオーステルヴェイクのヴォーカルだけど、一応歌詞は付いているものの、他の楽器とユニゾンでスキャット的に歌っている場面がほとんどで、サイド参加のときのグレッチェン・パーラトあたりの歌い方とも変わらないので、こういうのだったら全然オーケー。ただし曲によってはヴォーカルにスポットが当たりすぎているような気がしないでもないけどね。その分シピアギンが活躍する場面が少なくなっているけれど、今回は自分よりもオーステルヴェイクを多くの人に知ってもらうためのアルバム作りだと思うので致し方ないだろう。その代わりに楽曲の方はシピアギン節が満載なので、これまでのリーダー作やメンバーがダブっているOpus 5 と比べて違和感を覚えることもない。似たような曲調が続いてしまっているのは気になる部分ではあるけれど、どの曲をとってもシピアギンの上手さは相変わらずだし、シガノフのエレピやシンセによる曲調にバッチリ嵌ったプレイも素敵だし(アコピを使う場面はもっと増やしてもよかったと思う)、土台をガッチリと支えているコズロフの力強いベースも実にいい。エドワーズだけは、ここ何枚か続けて視聴したルディ・ロイストンやエリック・ハーランドと比較するとテクニック的にもアイデア的にもイマイチだけど、今回はあくまでもヴォーカルがメインなので、これ以上のドラミングを望んでも意味がないだろう。楽曲的には5拍子基調の1曲目「Returning」、7/8拍子の4曲目「Afternoon Dreams」、10/8拍子の7曲目「Videlles Dreams」が特に気に入った。
ということでヴォーカルがフィーチャーされているわりにはいい感じの演奏が堪能できるし、録音(エンジニアはTedesco Recording Studioの人)も各楽器の音質、バランス共に上々で、日本でのリリースは2年遅れではあるけれど、それだけの価値がある作品に出会えて嬉しく思っている。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
  

--EDIT--

JD Allen / Radio Flyer

JD Allen (Ts)
Liberty Ellman (G)
Gregg August (B)
Rudy Royston (Ds)
Rec. January 2, 2017, NJ
(Savant SCD2162)

DJアレンはグレッグ・オーガストとルディ・ロイストンのことをどれだけ好きなのか、共演盤は「J.D. Allen/I Am I Am (08年)」「J.D. Allen Trio/Shine!(09年、別頁あり)」「JD Allen Trio / Victory!(11年、別頁あり)」「JD Allen Trio / The Matador and the Bull(12年、別頁あり)」「JD Allen / Graffiti(15年、別頁あり)」「JD Allen / Americana: Musings on Jazz and Blues(16年、別頁あり)」に次いでこれが7枚目だけれど、これまでのサックストリオ作品とは異なり、本作ではギタリストのリバティ・エルマンが参加しているのが興味深い。これが初聴きのエルマンは、Wikipediaによると1971年ロンドン生まれのアメリカ育ち。90年代にM-Baseシーンに参加してからは尖がり系のミュージシャンとの共演が多いようなので、強者揃いのアレン・トリオとの共演は当然の成り行きだったのかもしれない。

全7曲がアレンのオリジナル。
曲によってはフリーな展開もありの4ビート主体の演奏はアレン・トリオの得意とするところだけど、そこにギターも加わっているし、フリー的な場面も増えているので、これまでとはまた一味違った演奏が堪能できる。エルマンのギターはミック・グッドリックあたりによく似ているといえば分かりやすいかな。思っていたよりも奏法もギターの音色もオーソドックスだけど、場面によってはビルフリ的なエフェクティブなプレイもしているので、いろいろな引き出しを持っている人なのかもしれない。そんなエルマンがトリオにきっちりと溶け込んでいるおかげで、自由度が高いながらも調和のとれた演奏を楽しむことができるし、エルマンの参加によって、特にロイストンがますますアグレッシブなプレイをしていて実にいい塩梅。近年のロイストンはあちこちのバンドから引っ張りだこだけど、制約の少ない本トリオ(今回はカルテットだが)でのドラミングはまた格別で、どのような手順で叩いているのか分析不能なスピーディーかつパワフルなプレイに拍車がかかっていて圧倒させられる。それと比べるとアレンとオーガストは普段と変わらない気がするけれど、全員がブチ切れてしまっては聴く方も疲れてしまうので、これぐらいでちょうどいいだろう。バラード調の曲も含めて聴き応えのあるハードな演奏が続いているのだが、その中でもロイストンがソロを取っている4ビート曲の6曲目「Daedalus」が特に気に入った。
前作「JD Allen / Americana: Musings on Jazz and Blues」では趣向を変えて南部のジャズやブルースをテーマにしていたアレンだけど、マンネリにならないためにはそういう音楽的なことよりも、メンバーを増やした方が手っ取り早いわけで、結果的にエルマンの参加は大成功。本作は録音(エンジニアはTom Tedesco)も、いかにもジャズらしい汗が感じられる音で録れていて、各楽器の音質、バランス共に上々だね。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


ALLEN, JD
JD ALLEN
RADIO FLYER
2017-07-07

  

--EDIT--

Ambrose Akinmusire / A Rift in Decorum

Ambrose Akinmusire (Tp)
Sam Harris (P)
Harish Raghavan (B)
Justin Brown (Ds)
Rec. 2016?, at The Village Vanguard, NY
(Blue Note 00602557649703)

Blue Noteからの2作品(「Ambrose Akinmusire / When the Heart Emerges Glistening(11年、別頁あり)」「Ambrose Akinmusire / The Imagined Savior Is Far Easier to Paint(14年、別頁あり)」がなかなかよかったアンブローズ・アキンムシーレだけど(リーダー作は他にもFSNTからの「Ambrose Akinmusire/Prelude(08年)」があり)、本作は上記2枚にも参加しているハリッシュ・ラグハヴァンとジャスティン・ブラウン、「The Imagined Savior Is Far Easier to Paint」から参加のサム・ハリスとの2枚組ライブ盤。アキンムシーレはサイド参加の「Walter Smith III / Still Casual(14年)」「 Tom Harrell / Something Gold, Something Blue(16年)」「Wolfgang Muthspiel / Rising Grace(16年)」(各別頁あり)でも非常にいい仕事をしているので、これは相当期待できそうだ。

全16曲(CD1が7曲、CD2が9曲)がアキンムシーレのオリジナル。
非4ビートが中心の典型的なコンテンポラリー・ジャズではあるけれど、場面によってはフリー方向に行っている部分もあり。レギュラーメンバーでのライブなので、本当にやりたいことがやれているのだとは思うけど、そのわりには演奏の面白さがあまり伝わってこないのは、楽曲自体がパッとしないから。CD1の1曲目「Maurice & Michael」と2曲目「Response」は4小節や8小節単位でのコード進行の反復が、その中で演奏が変化しているとはいえくどく感じるし(盛り上がりにも欠けている)、バラード調の3曲目「Moment in Between the Rest」もアキンムシーレのブヒブヒいわせたりしながらの型に嵌らないプレイは聴きものではあるけれど、ただそれだけに終わってしまっている感があるし、ソロピアノからスタートする4曲目「Brooklyn」は途中でフリー調にもなったりして、なかなか意欲的な演奏ではあるけれど、続く5曲目「A Song to Exale To」と6曲目「Purple」(わずか2分の小品)が3曲目と同様バラード調なのは、これがライブのセットリストどおりの収録なのかは分からなけど、曲の進行としてはちぐはぐしたものを感じるしで、フリー調の4ビートの7曲目「Trumpet Sketch」は私好みのアグレッシブな演奏(ブラウンもアキンムシーレとのデュオ部分で大炸裂)なのでいいとしても、聴き終わった後には変なモヤモヤ感が残ってしまった。それはCD2も同様なので、なおさらそのように感じるのだが、それには楽曲的なことだけではなく、ハリスとラグハヴァンのプレイが一本調子になってしまっている(アイデア不足)ことも関係しているね。二人とも曲調の範囲内ではいいことをやっているけれど、特にハリスはCD2では部分的にキーボードも用いているのだから、もっと活用するなりしてアプローチの仕方を変えていれば、必然的に他のメンバーの反応も変わってきて、また一味違った演奏になっていたかもしれない。いずれにしてもトランぺッターのライブ盤としては、同じく2枚組で先日聴いたばかりの「 Fabrizio Bosso Quartet / State of the Art: Live!(17年、別頁あり)」や「Dave Douglas Quintet 2015 / Brazen Heart Live at Jazz Standard(17年、別頁あり)」が素晴らしかっただけに、それらと比べると聴き劣りしてしまう。
ということで期待していたほどではないのだが(CD1の7曲目や、CD2の9曲目「Umteyo」のようなガツンとくる曲がもっと欲しかった)、ジャズを演奏する場合の重要な要素であるバンドとしてのオリジナリティーはちゃんと感じられるので、これでよしとしよう。本作は録音(エンジニアはGeoffrey CountrymanとTyler McDiarmid)も、各楽器が丸みを帯びた音で録れてはいるものの、バランス的には良好だ。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

A Rift in Decorum: Live at the
Ambrose Akinmusire
Blue Note Records
2017-06-09


  

--EDIT--

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