Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

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Jasper Somsen Trio / A New Episode in Life Pt.II

Jasper Somsen (B)
Jean-Michel Pilc (P)
Andre Ceccarelli (Ds)
Rec. July 12, 2016, Mechelen, Belgium
(Challenge Records CR73437)

Jasper Somsen Trio / A New Episode in Life Pt.1(17年、別頁あり)」の記事の最後に、「パート2が出てもたぶん買わないと思う」と書いたのだが、イェスパー・サムセンのオリジナル曲で統一していたパート1とは違って、本作の方は曲目を見たら「Solar」「Blue Monk」「All The Things You Are」「All Of You」と大好きな曲のオンパレードなので、買わないわけにはいかなかった。はたしてこのトリオで、これらの曲をどのように料理しているのか興味深い。

サムセン曲が7曲(うち4曲はマイルスの「Solar」を組曲仕立てにしたもの)、モンクの「Blue Monk」、エヴァンスの愛奏曲である「いつか王子様」と「My Romance」を合体させた「Someday My Romance Will Come」、ジェローム・カーンの「All The Things You Are」、コール・ポーターの「All Of You」で全11曲。
まずは「Solar」を題材とした4つの組曲でスタートするけれど、よく知っているメロディーは「Solar Suite IV-Solar」に登場するだけで、それまではモチーフを決めただけと思われる半即興的な曲調となっているのが面白い。ただし演奏はパート1とも共通する大人し目な展開となっているので、もっとガツンといってくれと思ってしまうけどね。それでも場面によってはジャン=ミッシェル・ピルクが低音をいきなり「グワーン!」と弾いていたりもするし、「Solar Suite III」や「Solar Suite IV」ではリズミカルな演奏にもなっているので、パート1よりはいい感じで楽しむことができる。特に「Solar Suite IV-Solar」は、ピルクお得意のテーマのメロディをモチーフ的に散りばめながらの4ビート演奏なので、「待ってました!」という気持ちになってしまった。続く5曲目は「Blue Monk」だけど、こちらの方もピルクらしいユニークな手法が施されているのが素敵。ベースソロが終わった後のピルクのアドリブには「サンタが街にやってくる」のフレーズまで引用されていて大笑い。そういうのがサムセンの音楽的なシリアスさを軽減させてくれるし、続くオリジナル曲の6曲目「A New Episode in Life」(アルバムタイトル曲)や7曲目「Someday My Romance Will Come」との繋がりも非常に良くて、4曲目で「Solar」のメロディーが登場してからはユニークさとスリリングさが程よくミックスされた演奏で、グッと引き込ませてくれる。8曲目「All The Things You Are」なんかも、別の曲をぶち込みながら超スローで演奏しているのが意表を突くね。アルバムとしては全体的に大人し目ではあるけれど、ここまで個性的かつセンスのいい演奏をされては、そんなこともどうでもよくなる。
ということで本作は買って大正解。録音(エンジニアはFloren van Stichel)も再生レベルは少々低いけど、各楽器の音質とバランスは上々だね。おそらく前日に録音されたパート1と同じ条件で録っていると思うけど、演奏のマッチングや聴いているときの気分によって音に対する感じ方も変わってくるのだから面白いものだ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

A New Episode in Life Pt II
Jasper -Trio- Somsen
Challenge
2017-11-10


  

--EDIT--

Sherman Irby & Momentum / Cerulean Canvas

Sherman Irby (As)
Vincent Gardner (Tb)1, 2, 7, 9
Eric Read (P)
Gerald Cannon (B)
Willie Jones III (Ds)
Special Guest: Wynton Marsalis (Tp)8, 10, Elliot Mason (Tb)3, 4, 5
Rec. April 11-12, 2017, NY
(Black Warrior Records BW1006)

「Willie Jones III / Vol. 1...Straight Swingin'(01年)」「Ryan Kisor/Conseption - Cool and Hot(08年、別頁あり)」「Ryan Kisor Quintet/Live at Smalls(10年、別頁あり)」や、ボス的存在であるウィントン・マルサリス率いる「Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis feat. Paco De Lusia/Vitoria Suite(10年、別頁あり)」に参加していたシャーマン・アービーのリーダー作を聴くのはこれが初めて。本人のサイトを見ると他にも7枚のリーダー作がリリース(うち2枚はBlue Noteから)されているけれど、名前さえ忘れかけていたところに本作が良かったとコメントをくださった方がいたので、バックのメンバーがいいこともあって興味津々買ってみた。

アービー曲が6曲(かな?)と、ヴィンセント・ガードナー曲が1曲、マルグリュー・ミラーの「From Day to Day」、ウェイン・ショーターの「Contemplation」、スタンダードの「Sweet Georgia Brown」で全10曲。
ハードバピッシュなものに、曲によってはコルトレーン的なモーダルさを加味しながらのストレート・アヘッドな演奏だけど、伝統を踏まえながらも決してオーソドックスなだけではない楽曲自体がよく出来ていることもあって好感が持てる。アービーのアルトは、キャノンボール・アダレイやヴィンセント・ハーリングあたりとも共通する芯の太さや力強さの中に優しさも兼ね備えているとでもいえば分かりやすいかな。楽器が朗々となっている様が気持ちいいし、情感豊かなフレージングで聴かせてくれるのだが、もう一人のフロントであるヴィンセント・ガードナーもそれには負けじと吹いていながらも、テーマのアンサンブルでは息がピタリと合ったコンビネーションを見せつけるのだから、さすがにJLCOでも一緒にやっているだけのことはあるね。この2人だけでも十分に楽しめるというのに、エリック・リードがこれまた自分のリーダー作よりもいいのではと思うほどのフレッシュなプレイをしているし、ソロを取っている場面もけっこう多いジェラルド・キャノンの存在感のあるベースや、この手の演奏にはもってこいのウイリー・ジョーンズIIIのドラミングも冴えわたっているおかげで、どの曲をとってもノリノリで楽しことができる。5曲にはウィントンやエリオット・メイソンがゲスト参加で手抜きなしのプレイをしているので尚更だけど、トータルで76分はいくらなんでも長いかも。一本調子の演奏ではないので、聴いてて飽きてくることはないにしても、2曲ぐらいカットした方がスッキリと纏まってよかったのではと思う。
純粋な4ビートジャズのアルバムとして、本作はかなりの高ポイント。演奏が良いだけではなく、録音(エンジニアはVenus盤でお馴染みだったキャサリン・ミラー)も温かみのある各楽器の音色、バランス共に上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

Cerulean Canvas
Sherman Irby & Momentum
Black Warrior Rec.
2017-10-20


  

--EDIT--

Bob McChesney / Chez Sez

Bob McChesney (Tb)
Larry Goldings (P, B3)
Darek Oles (B)
Bill Stewart (Ds)
Bob Mintzer (Ts)1, 5, 8, 9, 10
Rec. 2014?, CA

ボブ・マッチェスニーは全然知らないトロンボニストだし、リリース年も2015年と少々古いけど、バックにはラリー・ゴールディングス、ダレク・オレス、ビル・スチュワート、ボブ・ミンツァーのそうそうたるメンバーが揃っているのだから、本作を買わないわけにはいかないだろう。マッチェスニーの経歴等は本人のサイトがあるので後で目を通すとして、自ブログで検索したら「Patrick Williams The Big Band / Aurora(11年)」「Donald Vega / Spiritual Nature(12年)」「Bob Mintzer / All L.A. Band(16年)」(各別頁あり)に参加しているのが見つかった。

マッチェスニー曲が3曲、ゴールディングスとの共作が2曲、ゴールディングス曲が1曲、ナット・アダレイの「Naturally」、ジェローム・カーンの「Yesterdays」、デイヴ・ブルーベックの「In Your Own Sweet Way」、アクセル・ストーダールの「I Should Care」、コール・ポーターの「Love For Sale」で全11曲。
1曲目「You May Have It Wrong」(マッチェスニー曲)はアップテンポの4ビート。マッチェスニーとミンツァーのビシッと決まっているテーマ・ユニゾンからして既にカッコいいのだが、アドリブに入ってからもマッチェスニーはスライド・トロンボーンとは思えないような速いパッセージを正確な音程とタンギングで吹いているのだから、これはかなりのテクニシャンだね。またミンツァーがこういう純ジャズをやっているのも近年では聴いた記憶がないだけに、もうそれだけでも嬉しくなってしまう。2人がこれだけいい感じで吹けているのは、おそらくピーター・アースキンあたりとはタイプが異なるビルスチュのおかげだと思うけど、後半にはそんなに長くはないけれどドラムソロも用意されていて、この1曲で早くも買ってよかったという気分にさせてくれる。それと比べると続く2曲目「Naturally」ではごく普通のジャズをやっているし、ゴールディングスがハモンドを弾いている3曲目「The Preakness」(マッチェスニーとゴールディングスの共作)もよくあるタイプのファンキーな感じの8ビートではあるけれど、それでいながらノリノリにさせてくれるのは、各人のプレイが魅力的なのに他ならない。バンドとしても西海岸と東海岸の特性的なものが上手くミックスされていて実にいいね。知っている既成曲が多く収録されているし、演奏的にも分かりやすいので、これは特にアマチュアのトロンボニストの良いお手本になりそう。普段はもっと難しいコンテンポラリーなジャズを好んで聴いている私も、基本はこういうオーソドックスな演奏なのでホッとした気分を味わえるのだが、それでいながら1曲目と同様アップテンポの5曲目「Chez Sez」や8曲目「This Thing」(どちらもマッチェスニー曲)では気持ちをピリリと引き締めてくる匙加減が何ともたまらない。
ということで本作は買って大正解。お目当てだったビルスチュが多くの曲でドラムソロを取っているのも嬉しい誤算だし、アコピのときのゴールディングスのアドリブもやけによく感じる。録音(エンジニアはMichael Aarvold)も各楽器がバランスよく録れていて、その温かみのある音質共々上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

Chez Sez
Bob Mcchesney
Moco Records
2015-06-09


  

--EDIT--

Brian Blade & The Fellowship Band / Body and Shadow

Brian Blade (Ds)
Jon Cowherd (P, Harmonium, Mellotron)
Chris Thomas (B)
Melvin Butler (Ts)
Myron Walden (As, B-Cl)
Dave Denine (G)
Rec. 2017?, Providence, RI
(Blue Note Records 00602557921717)

ブライアン・ブレイドのフェロウシップ・バンド名義のアルバムは、「Brian Blade Fellowship(98年)」「Perceptual(00年)」「Brian Blade & The Fellowship Band/Season of Changes(08年、別頁あり)」「Brian Blade & The Fellowship Band / Landmarks(14年、別頁あり)」に次いで、本作で5枚目ということになるのかな。メンバー固定でやっているバンドだけど、ギタリストだけは定着しないようで、今回は初聴きのデイヴ・デニーン(?)という人に代わっているのが興味深いところ。その辺で音楽的な変化があるのかないのか、これまでのフェロウシップ・バンドは比較的大人しい演奏のイメージだったので(それがこのバンドのカッコよさではあるのだが)、私好みのもっとガツンとくる曲が増えていることに期待している。

ブレイド曲が4曲、ジョン・カワード曲が3曲、George C. Stebbinsの「Have Thine Own Way, Lord」のソロとバンド演奏が各1曲で全9曲。
まずは初聴きのデニーンだけど、ビルフリとマイク・モレノあたりを足して二で割ったような感じとでも分かりやすいかな。エフェクティブなギタートーンがなかなかいい感じではあるのだが、それにマッチした感じのゆったりめの曲調が続いているのは私好みとは言い難い。3曲目「Traveling Mercies」(カワード曲)の中盤なんかはダイナミックに盛り上がっているにしても、全体的にトータルサウンド重視の演奏となっていて、中には1分ちょっとの短い曲もあったりするので、楽曲ではなく各人の素敵なプレイを存分に堪能したい身としては肩透かしを食らってしまう。7曲目「Duality」(カワード曲)でようやく望んでいるような演奏が登場するけれど、これまで以上に穏やかな演奏が増えているのにはがっかり。楽曲自体も以前のフェロウシップや誰かのアルバムで聴いたことがあるような感じの、新鮮味のないものが多いしね。ブレイドがやりたくてやったものにとやかく言っても始まらないけれど、本当に良いと思う曲は7曲目の他には9曲目「Broken Leg Day」(カワード曲)しかないのだから、やっぱりこのバンドは私には合わないということになる。LPでもリリースするからといって、トータルで約32分というのも、いくらなんでも短すぎ。きっと次の曲が私好みのやつなのではと思いながら聴いていたら、あっけなく終わってしまった。
ということで本作は期待外れ。ブレイドはフェロウシップ・バンドでは総じて控えめなプレイをしているけれど、楽曲的なこともあって今回はこれまで以上に大人しい感があるので、聴き終わった後には欲求不満に陥ってしまった。それは他のメンバーにもいえることだけど、録音(エンジニアはブリアンWebb、Jeff Prystowsky)に関しては、この手のコンテンポラリー・ジャズの平均的な音で録れているし、やっている音楽にもよくマッチしていると思う。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Body & Shadow
Brian Blade
Blue Note Records
2017-11-10

  

--EDIT--

Antonio Sanchez / Bad Hombre

Antonio Sanchez (Ds, Key, Electronics, Voice)
Rec. October 20-21, 2016, NY
(Cam Jazz CAMJ7919)

ソロドラム系のアルバムを買うのはマックス・ローチの「Max Roach / Drums Unlimited(66年)」(限りなきドラム)や、「森山威男パーカッション・アンサンブル(76年?)」以来ということになるのかな。どれだけドラム好きであっても、ソロ作品にはなかなか手を出せないでいる。なのでアントニオ・サンチェスのサントラ盤「Antonio Sanchez / Birdman(15年)」も買わず仕舞いだったのだが、本作はCam Jazzからのリリースだし、サンチェスのFacebookを見ているとある人に対する怒りを表現しているような感じなので(それだけではないと思うけど)、興味津々買ってみた。

全10曲がサンチェスのオリジナル。
ドラムスの他にオーバーダブでキーボード等も入っているので(打ち込みを先に録音しているような感じ)、ソロドラムという印象はそんなには受けないのだが、そんな中でのロック調のビートを刻みながらのドラミングにはサンチェスの技がふんだんに盛り込まれていて、ドラム好きにとってはたまらないものがある。逆に言うと、そんなにドラムに興味がない人にとっては、全部の曲が終わるまでは苦痛の時間となってしまいそうだけど、そんなこともお構いなしにこのような作品を作ったということは、それだけ世の中に対して不満を抱いているからなのだろう。ミュージシャンが不満や怒りを表現する場は音楽しかないのでこんなのもありだとは思うけど、雑念が入ってしまったのか、音楽的に綺麗に纏めようとしている傾向も見受けられるので、どうせやるのなら長尺ドラムソロの曲も取り入れるなりして、もっとガツンとやって欲しかった。その方がサンチェスらしくていいと思うのだが、同じくソロアルバムを作っているマーク・ジュリアナのことも意識してしまったようで、結果的には中途半端に終わってしまったような印象を受けるのが残念。でも本人にしてみれば本作をレコーディングしたことによって日頃のうっぷんはだいぶ晴らせたと思うので、これでよしとしておこう。楽曲的には本格的なソロ仕立て(バックにシンセの持続音が流れてはいるけれど)となっている6曲目「Momentum」が大いに気に入った。ある意味テリー・ボジオのソロ演奏にも通じるストーリー性が感じられるソロの構築が実にカッコいいね。それと完全ドラムソロ(シンセの効果音や、後半にはヴォイスも入っているが)の10曲目「Amtisocial」も唯一の4ビート演奏で、そのドラミングの凄まじさを見せつけてくれる。
以前よりは参加アルバムが減っている感のあるサンチェスだけど、他の人が叩いているアルバムの中には、「これでドラムがサンチェスだったらもっと良かっただろうなぁ」と思うのがいっぱいあるので、これまでのようにジャズのトップドラマーとして精力的に活動することを願っている。その転機となるであろう本作は演奏のみならず、録音(エンジニアはサンチェス本人)もまたドラムスという楽器の魅力を十分に捉えていて上々。何曲目だかでスネアをパンポット(もしくは数台のスネアを用いながらの人力音移動)させているあたりも、「Billy Cobham/Crosswinds(74年、別頁あり)」でのコブハムのジェットマシーンを用いながらのソロを源流とするような、いかにもドラマーらしい発想でニヤリとしてしまう。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Bad Hombre
Antonio Sanchez
Imports
2017-11-24

  

--EDIT--

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