Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

カテゴリ:Jazz / FusionのCD > 新譜

Jasper Somsen Trio / A New Episode in Life Pt.1

Jasper Somsen (B)
Jean-Michel Pilc (P)
Andre Ceccarelli (Ds)
Rec. July 11, 2016, Mechelen, Belgium
(Challenge Records Cr73434)

Enrico Pieranunzi / Tales From The Unexpected(15年、別頁あり)」でも非常にいい仕事をしていたイェスパー・サムセン、アンドレ・チェッカレリが、大好きなジャン=ミッシェル・ピルクと共演しているのだから、本作を買わないわけにはいかないだろう。エンリコ・ピエラヌンツィとピルクとではプレイスタイルが異なるので、当然ながらリズム隊のアプローチの仕方も変わってくると思うけど、上記「Tales From The Unexpected」が初聴きだったサムセンはさておき、チェッカレリがピルクと一緒にやっているのも「Andre Ceccarelli/From The Heart(08年、別頁あり)」「Andre Ceccarelli, Jean-Michel Pilc, Thomas Bramerie / Twenty(14年、別頁あり)」ぐらいでしか聴いたことがなかったので、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

全9曲がサムセンのオリジナル。
非4ビートがメイン。同じくピルクとチェッカレリの共演盤の上記「Twenty」と比べると、サムセン色が前面に打ち出されている楽曲も相まって少々面白みに欠けるけど、逆にいつもとは一味違ったピルクの端正かつリリカルなピアノが堪能できるので、これはこれで悪くはない。とはいえピルクの最大の特徴は先が読めない奇想天外さにあると思っているので、このいかにもといった感じのヨーロピアンなプレイにはどうしても物足りなさを感じてしまうけどね。チェッカレリがそんなピルクの引き立て役に回りながら、全然攻撃的ではないドラミングをしている(ドラムソロもなし)ことも要因となっているのだが、サムセンが意図したのがこういう演奏であるならば致し方ないだろう。そんな中、4曲目の「Blue Lady」は、ときたまグワーンとくる場面があったりしていい塩梅だけど、全体的には大人し目の演奏が続いているので、聴き終わった後には「このメンバーだったらもっと生きのいい演奏ができたはずなのになぁ」という変なモヤモヤ感が残ってしまった。肝心のサムセンのベースもいかにもヨーロッパ的で個性は感じられないし、似たような曲調が多いオリジナルの楽曲もまた同様で、サイド参加の上記「Tales From The Unexpected」とは異なり、リーダーとしてやっていくには力不足なのではと思ってしまった。
ということで想像していたのとは違う演奏だし、録音(エンジニアはFloren van Stichel)にもイマイチ生気が感じられないので、これは3つ星止まりにしておこう。パート2が出てもたぶん買わないと思う。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


New Episode In Life Pt. I
Jasper Somsen Trio
Challenge
2017-03-10

  

--EDIT--

Roberto Gatto Quartet / Now!

Roberto Gatto (Ds)
Alessandro Presti (Tp)
Alessandro Lanzoni (P)
Matteo Bortone (B)
Rec. October 1-2, 2016, Milano Italy
(Arbeat Records ABJZ172)

ロベルト・ガットの前作「Roberto Gatto Quartet with Avishai Cohen, Francesco Bearzatti and Doug Weiss / Sixth Sense(15年、別頁あり)」はコードレスだったけど、こちらの方はピアノ入りのワンホーン・カルテットなので、どんなことをやっているのだろうというワクワク感には欠ける代わりに安心感のある演奏が堪能できそうだ。メンバーのアレッサンドロ・ランツォーニはガットお気に入りのピアニスト。1992年生まれ(だと思う)とまだ若いながらも「Roberto Gatto and Lysergic Band / Pure Imagination(11年、別頁あり)」「Roberto Gatto, Alessandro Lanzoni, Gabriele Evangelista / Replay(12年、別頁あり)」では素晴らしいテクニックと音楽性でその上手さを見せつけてくれたのだが、そのランツォーニのリーダー作「Alessandro Lanzoni Trio / Dark Flavour(13年、別頁あり)」に参加していたベーシストがマッテオ・ボルトーネ(?、1982年生まれ)。これが初聴きのトランペットのアレッサンドロ・プレスティはランツォーニと同世代のような感じだけど、3人の若者を相手にベテランのガットがどのようなドラミングをしているのかが楽しみだ。

ガット曲が3曲、ランツォーニ曲が2曲、ボルトーネ曲が2曲、プレスティ曲が1曲、4人の共作が1曲、コール・ポーターの「I've Got You Under My Skin」、クリス・ポッターの「Tick Tock」、モンクの「Thelonious」で全12曲。
4ビートが中心。全体的にダークな雰囲気を醸し出しながらの演奏は、ある意味初期の頃のウィントンのカルテットにも通じるものがある。ファブリツィオ・ボッソを聴いたすぐ後なので、彼と比べるとプレスティのトランペットはテクニック的にもアイデア的にもイマイチではあるけれど、それなりのオリジナリティーがあるし、フレディ・ハバード的な華も持ち合わせていて実にいい塩梅。これでもっと細かいフレーズで攻めれるようになれば、かなりのところまで(アレックス・シピアギンぐらいまでは)行きそうな感じがするね。またそれ以上に素晴らしいのがランツォーニで、彼がアドリブを弾いた途端に演奏がますますカッコよくなるのだから大したもの。7曲目「Thelonious」での、モンクをリスペクトしながらのアドリブなんかも絶品だね。それに加えて、単にウォーキングだけには終わっていないボルトーネのベース(ソロの場面もけっこう多い)にも好感が持てる。肝心のガットはそんな3人を温かく見守りながらドラムを叩いている感があるけれど、それでもやるべきことはきちんとやっているので、物足りなく感じるようなことはない。ドラムソロがないのは少々残念だけどね。楽曲はどれもがみんないいのだが、その中でもモーダル臭がプンプンする2曲目「Lost」(ボルトーネ曲)、モンク的な曲調の5曲目「Moom」(ガット曲)、モンク曲の7曲目「Thelonious」、非4ビートの8曲目「May」(ボルトーネ曲)、3拍子の10曲目「Brendy」(ランツォーニ曲)が特に気に入った。
本作は演奏だけではなく、録音(エンジニアはGabriele Simoni)も各楽器が過不足なく良い音(音楽的な)で録れていて、それがまたやっている音楽にもよくマッチしていて上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Now!
Roberto Gatto
Abeat For Jazz
2017-06-29

  

--EDIT--

Fabrizio Bosso Quartet / State of the Art Live!

Fabrizio Bosso (Tp)
Julian Oliver Mazzariello (P)
Jacopo Ferrazza (B)Except for Tracks 3 and 5 on CD2
Luca Alemanno (B)
Nicola Angelucci (Ds)
Rec. November 22, 2016, Teatro Ristori, Verona: CD1 Tracks 1,2,3,4, CD2 Tracks1,2
Octber 18-19, 2016, Blue Note, Tokyo: CD1 Track 5, CD2 Track 4
June 25, 2016, Palazzo Venazia, Roma: CD2 Tracks 3,5
(Warner Music 5054197663529)

前作「Fabrizio Bosso / Duke(15年、別頁あり)」も素晴らしかったファブリツィオ・ボッソのライブ盤が登場。本作は2枚組なので2,492円(HMVのセール価格)と少々値段は高いけど、ライブだとますますいい感じで楽しませてくれるボッソなのですぐに飛びついた。メンバーのジュリアン・マッザリエロ(?)、ルカ・アレマンノ(?)、ニコラ・アンジェルッチは上記「Duke」から引き続き。もう一人のベーシストのヤコポ・フェラッツァ(?、1989年生まれ、本人のサイトあり)はこれが初聴きだけど、ボッソと共演するぐらいなのだから、それ相応のテクニックを持っているのは間違いないだろう。

ボッソ曲が5曲、マッザリエロ曲が1曲、アンソニー・ニューリーの「Pure Imagination」、ホーギー・カーマイケルの「The Nearness of you」、アイシャム・ジョーンズの「There is no Greater Love」、エロール・ガーナーの「Misty」で全10曲(CD1が5曲、CD2が5曲)。
予想に反して優しい曲調の「Pure Imagination」(「Some Day My Prince Will Come」に似た感じの3拍子)でスタートするけれど、演奏自体は過度に甘口にはなっていないのがいかにもボッソらしい。素晴らしいテクニックを駆使しながら曲途中からは豪快に吹きまくっているボッソに煽られて、バックのメンバーもダイナミックに盛り上がっていて実にいいね。アドリブ二番手のマッザリエロのピアノもなかなかの聴きもので、もうこの1曲だけでも買ってよかったという気分になってしまうのに、繋げて演奏されている2曲目「Minor Mood」(ボッソ曲)がまた私好みのモーダルな曲調なのだからなんともたまらない。初期のころのウィントンのカルテットを連想させるような、曲中に仕掛けを用意したりテンポも自在に変えながらのブルース演奏だけど、後半にはアンジェルッチのドラムソロも用意されていたりして、最高にいい感じで楽しませてくれる。3曲目「Rumba for Kampei」(ボッソ曲)は哀愁を誘うような感じのルンバ調の曲。ただ上手いだけではなく歌心も兼ね備えているボッソなので、こういう曲もお手のもの。アドリブの途中からは高度なテクニックの連発で、バックの演奏も必然的に盛り上がっているけれど、それに続くマッザリエロのアドリブもまた曲調にバッチリ嵌っていて、さすがにここ何年かずっと一緒にやっているだけのことはあるなあと感心するし、この曲で初めてソロを取っているフェラッツァの堅実なベースにも好感が持てる。4曲目はスタンダードの「The Nearness of you」。ソロピアノでスタートして、サビの前まではボッソとのデュオとなっているけれど、こういう典型的なバラード演奏であっても各人が非常に魅力的に聴かせてくれるのだから、これまたなんともたまらない。5曲目は「There is no Greater Love」。4曲目と同様ジャズの定番曲だけど、アンジェルッチがボッソのフレーズやマッザリエロのコンピングに敏感に反応しながらのドラミングが、オーソドックスではあるけれど目茶苦茶カッコよくて、後半には8バースのドラムソロも用意されていることも相まって、この曲もまたノリノリで楽しませてくれる。
長くなるので2枚目の感想は割愛するけれど(超アップテンポのボッソ曲の1曲目「Black Spirit」に長めのドラムソロが入っていることだけは記しておく)、どの曲をとってもライブならではのホットな演奏が堪能できて大満足。本作は録音(エンジニアはStefano Del Vecchio)も3つの会場で収録されているわりには、各楽器の音色、音像、バランスがきちんと統一されていて、その音質共々上々だね。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


State of the Art: Live
Fabrizio Bosso
Imports
2017-04-14

  

--EDIT--

Sean Jones / Live from Jazz at the Bistro

Sean Jones (Tp, Flh)
Obed Calvaire (Ds)2, 3, 6
Luques Curtis (B)
Orrin Evans (P)
Brian Hogans (As, Ss)2, 3, 4, 6
Mark Whitfield Jr. (Ds)1, 4, 5, 7
Rec. December 3-5, 2015, Jazz at the Bistro, St. Louis
(Mack Avenue Records MAC1111)

ショーン・ジョーンズのライブ盤はこれが初ということになるのかな。本作のメンバーは「Sean Jones / No Need for Words(11年、別頁あり)」「Sean Jones Quartet / Im・pro・vise: Never Before Seen(14年、別頁あり)」等に参加しているオリン・エヴァンス、ルケス・カーティス、オベッド・カルヴェールに加えて、曲によってはドラムスがマーク・ホイットフィールドJrに交代、また上記「No Need for Words」にも参加しているブライアン・ホーガンスが加わったクインテット編成にもなっているのだが、ただでさえ威勢のいいバンドのライブなだけに、これは相当熱い演奏が期待できそうだ。

ジョーンズ曲が4曲、ホーガンズ曲が1曲、エヴァンス曲が1曲、トラディショナルの「Amazing Grace」で全7曲。
4ビートが中心。思ったとおりの熱い演奏ではあるけれど、録音(エンジニアはTodd Whitelock)がイマイチで、ピアノ以外の各楽器の音質が少々チープな感じがするのは仕方がないとして、ドラムスがバランス的に奥に引っ込んでいるのと音量も小さめなせいで、その熱気が十分に伝わってこないのが残念。このバランスの悪さが気になって、私としては素直に演奏を楽しめないほどなのだが、それには録音的なことばかりではなく、ホイットフィールドJr.が頑張って叩いているわりには、カルヴェールと比べるとアイデア的に聴き劣りがすることも関係している。確かにここ何年かで登場してきた若手ドラマーの中ではけっこうなやり手だし、実際に2011年南郷ジャズフェス(別頁あり)で生で観たときにもそう感じたのだが、カルヴェールほどの境地には至っていないので、彼が参加している曲はそれなりのインタープレイをしていながらも、なんとなくつまらなく感じてしまう。それらの点を除いては各人とも流石にライブだけのことはある生きのいい演奏をしているのでこれでよしとしておくけれど、3日間のライブをレコーディングしているということは他にもいい演奏がいっぱいあったと思うので、できることならカルヴェール参加の曲の方を多くしてほしかった。
ということで想像していたほどの演奏ではないけれど、このバンドが私好みであることに変わりはない。アメリカでは当然のことではあるけれど、オリジナルできちんと勝負をかけているのにも好感が持てる。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Live from Jazz at the Bistro
Sean Jones
Mack Avenue
2017-05-26

  

--EDIT--

Bungalow / You Already Know

Mike Rivett (Ts, Electronics)
Koichi Sato (P, Rhodes)
Hiroshi Ikejiri (Ac-B, Ukulele-B)
Ko Omura (Ds, Tabla)
Rec. June 3 and September 28, 2016, Tokyo
(Studio Songs YZSO-10075)

小沼ようすけのスペシャルトリオとして、去年と今年の2年連続で十和田湖畔のジャズフェスティバルに出演した池尻洋史(ベース、ウクレレベース)と大村亘(ドラムス、タブラ)が、ピアノの佐藤浩一と結成したバンドBungalowの「Metropolitan Oasis(11年)」「Past Life(13年)」「Unseen Scenes(15年)」に次ぐ4枚目。今回は前作「Unseen Scenes」に引き続き、大村と同様マイク・ノックに師事したことがあるオーストラリア人のサックス奏者マイク・リヴェット(マンハッタン音楽院時代はデイヴ・リーブマンに師事したよう)が加わったカルテット編成となっているのだが、前3作は聴いたことがなかったし、池尻は小沼トリオのみ、また大村も小沼トリオの他には中村真トリオでしか観たことがなかったので、Bungalowではどういうプレイをしているのか興味深いものがある。

リヴェット曲が1曲、佐藤曲が4曲、池尻曲が2曲、大村曲が4曲、4人の共作が2曲で全13曲。
マイルスの黄金クインテット的なモーダルさやダークさに、ECM的な風景描写を加味した感じの演奏といえば分かりやすいかな。曲によりそれぞれの曲調は異なるけれど、サウンドカラーはきちんと統一されているし、各人の演奏スタイルがバンドとしてのオリジナリティーにも繋がっていて実にいい塩梅。聴く前はもっと静的な演奏を想像していたのだが、1曲目「Santa Crus」(大村曲)から私好みのアップテンポの4ビートで攻めているし、同じくアップテンポ基調の2曲目「Gravity Snap」(リヴェット曲)では池尻と大村が息をピタリと合わせながらテンポを自在に伸び縮みさせている様が目茶苦茶カッコよくて、もうこの2曲だけでも充実感が味わえるというのに、続く3曲目「Bombori」(佐藤曲)や即興的な4曲目「Led Astray」(4人の共作)ではバンドの特徴であるタブラを用いた演奏が登場するのだから嬉しくなってしまう。9拍子の5曲目「Ephemeral」(大村曲)では、同じフレーズを延々と繰り返している池尻のウクレレベースがこれまた特徴的だし、ミディアムテンポの4ビートの6曲目「TOAD」(佐藤曲)では、全く教科書的ではない佐藤の先の読めないアドリブが聴きものだし、4曲目と同様即興的な7曲目「You Already Know」(4人の共曲)では、タブラの響きを活かしながらの、ピアノとベースも打楽器的なプレイが何かの物語に聴こえるし、8曲目「Day29」(曲)での佐藤のエレピ(この曲でのみ使用)もいいアクセントとなっていたりして、残りの曲は割愛するけれど、どの曲をとってもいい感じで楽しませてくれる。全面参加しているリヴェットもこのバンドにきっちり溶け込んでいて、そのテクニックもリーブマンに習っただけあって申し分がないね。幾分ソフトな感じのテナーの音色も、やっている音楽によくマッチしていて非常に好感が持てる。
ストレートヘッドなジャズではないので万人受けはしないと思うけど、アメリカあたりで流行っているコンテンポラリーなジャズとはまた一味違った現代的かつ独自な演奏には大満足。曲によっては各人が会話しているようなインタープレイがあったりするのもグッドだね。本作は録音(エンジニアは松下真也)も各楽器がナチュラルな音で録れていて、そのバランス共々上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Bungalow
スタジオソングス
2017-04-05

  

--EDIT--

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