Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

カテゴリ:Jazz / FusionのCD > 旧譜

Herbie Hancock / Thrust

Herbie Hancock(Rhodes, Hohner D-6, Clavinet, Arp Odyssey Syn, Arp,Soloist Syn, Arp 260 Syn, Arp String Syn)
Bennie Maupin(Ss, Ts, Saxello, B-Cl, Alto-Fl)
Paul Jackson(El-B)
Mike Clark(Ds)
Bill Summers(Per)
Rec. 1974, SF
(Columbia CK64984)

故障してしまったCDプレーヤー、ビクター XL-Z999EXの代わりに、友人N氏から譲り受けたデノン DCD-S10IIを使っていることは「CDプレーヤー(その5)」項でも記したとおりだが、取っ払っていたアナログ・プレーヤー(トーレンス TD126 MKIII+SME3009S2imp.+SHURE V15TipeIII-HE)を12~13年ぶりにオーディオラックに戻したというのに、プリアンプ(アキュフェーズ C2400)にはフォノイコライザーが内蔵されておらず、かといって単体フォノイコライザーも安物でさえなかなか買えなくて、いまだにLPを聴けないでいる。そんな中ここ何年かリバイバル的にマイブームとなっている楽曲「Actual Proof」(「TKY/TKY(05年)」「Conrad Herwig/The Latin Side of Herbie Hancock(10年)」「Scott Henderson, Jeff Berlin, Dennis Chambers / HBC(12年)」(各別頁あり)のどの演奏をとっても滅茶苦茶カッコいい)の原曲と、ついでに同じく大好きだった「Butterfly」も何十年ぶりかに聴いてみたくなり、本作をCDで買い足してしまった。
私がジャズをリアルタイムで聴くようになったのは1973年頃からなので、エレクトリック・マイルスを筆頭に、ウェザー・リポート、チック・コリアのRTF、ハービー・ハンコックのヘッドハンターズ、ジョン・マクラフリンのマハヴィシュヌ・オーケストラ等、特にジャズロック系(今でいうフュージョン)のバンドの影響をもろに受けている。なのでこの「Thrust」も1枚目の「Herbie Hancock/Headhunters(73年録音、別頁あり)」と同様に、当時は狂ったように聴いていたのだが、本作から新加入したマイク・クラークの、ハーヴィー・メイスンよりも軽いタッチながらも細分化されたドラミングが最高にカッコよかったことは、今でも強烈に記憶に焼き付いている。当然ながらライブ盤「Herbie Hancock/Flood(75年録音、別頁あり)」がリリースされた時にも狂喜したのだが、その後の「Herbie Hancock/Secrets(76年)」等でハンコックがヴォコーダーを用いるようになってからは次第に興味を失うようになり、完全シャリコマの「Future Shock(83年)」、あるいは「Dis Is Da Drum(94年)」に至ってはアルバムさえ買わなかったというのが、ハンコックのエレクトリック路線に対する私の反応だった。

「Palm Grease」「Actual Proof」「Butterfly」「Spank-A-Lee」で全4曲。
YAMAHAのDX7以前のシンセは音作りが大変だったはずなのに、Arp製の各種シンセやエレピやクラビネットを駆使しながら、今聴いても古臭さが全く感じられないサウンドに仕上げているのだから、さすがにハンコックは大したもの。そのいかにもブラックファンクといった感じの演奏を聴いていると当時の記憶がまざまざと蘇るのだが、それにしてもこの異様なまでのカッコよさには改めて感心するね。わたし的にはWRもRTFもマハヴィシュヌ・オーケストラもみんな好きだったけど、ノリのいいビートに身を委ねながら単純に楽しめたのがこのヘッドハンターズ。完全にファンクの権化と化しているハンコックを筆頭に、楽器を持ち替えながら曲調にバッチリ嵌ったプレイをしているベニー・モウピンといい、個性的かつ躍動感のあるベースで強力にグルーブしているポール・ジャクソンといい、得てして無機的になりがちなエレクトリックな演奏を小技の効いたドラミングで有機的なものに変えているマイク・クラークといい、控えめながらも効果的なプレイでサウンドをカラフルにしているビル・サマーズといい、各人とも最良のプレイで楽しませてくれる。楽曲の中ではやはり「Actual Proof」がなんといっても最高。部分的に小節を付け足している難易度の高い曲だけど、そのこれでもかというぐらいにテンションが高くてスリリングな演奏は何百回聴いていても興奮する。それとやっぱり「Butterfly」もいいんだなぁ。LPではこの2曲がA面とB面で分かれていたけれど、CDでは思いっきり動的な「Actual Proof」の後にバラード的な「Butterfly」が続いているので、アルバムとしての流れがますますよくなっているね。もちろん他の2曲も捨て曲なしで(ファンキーさでは「Spank-A-Lee」が一番)、1枚目の「Headhunters」と比較しても遜色ない、完成度の高いアルバムに仕上がっている。
そんな演奏には今の耳で聴いても何も文句のつけようがないし、リマスター盤のおかげなのか録音もまたやけによく感じる。純ジャズの場合はオリジナルの音質をあまりいじってほしくないけれど、ワイドレンジやダイナミックレンジが売りでもあるフュージョン系の場合は、このように現代的な音質で蘇らせることは大賛成。こんなに素晴らしいアルバムをわずか793円(Amazon価格)で買えて嬉しく思っている。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
  

--EDIT--

Jonathan Kreisberg / Trioing

Jonathan Kreisberg(G)
Johannes Weidenmueller(B)
Ari Hoenig(Ds)
Rec. October 25, 2001, NY
(New For Now Music 0001)

2002年リリースの旧盤(再発?)だけど、やはりこのメンバーでやっているのを聴かないわけにはいかないだろうと思ってようやく入手。ジョナサン・クライスバーグの初聴きはCriss Crossからの「Jonathan Kreisberg Trio / Nine Stories Wide(04年)」だったのだが、本作はそれ以前の作品。これが初リーダー作かと思いきや、本人のサイトを見ると「Jonathan Kreisberg Trio(96年)」というのもあるんだね。まあそちらの方は知らないメンバーなので、わざわざ買うまでもないだろう。私としては大好きなクライスバーグが、本レコーディングの2001年の時点でどれだけ弾けているかと同時に、当時ケニー・ワーナーの「Kenny Werner / Form and Fantasy(01年)」に揃って参加していたヨハネス・ヴァイデンミューラーとアリ・ホーニグが、ギタートリオでどのようなプレイをしているのかが興味深い。二人はワーナーの一連のトリオ作品以外では、ホーニグの「Ari Hoenig/Inversations(07年、別頁あり)」でも共演しているけれど、どのアルバムをとっても抜群のコンビネーションで聴かせてくれるので(ホーニグは他にマット・ペンマン、フランソワ・ムタンとの相性も最高だが)、本作でのプレイも楽しみ。またクライスバーグも「Ari Hoenig/Bert's Playground(08年、別頁あり)」や「Ari Hoenig Punkbop / Live at Smalls(10年、別頁あり)」で、ホーニグとはたびたび共演している。

コルトレーンの「Countdown」、ハンコックの「Sorcerer」、サド・ジョーンズの「A Child is Born」、モンクの「Ugly Beauty」、スタンダード系の「All of You」「Sweet and Lovely」「I Fall in Love too Easily」「Old Devil Moon」「Have You Mer Mrs. Jones?」で全9曲。
クライスバーグのギター・スタイルはこの時代(01年)にすでに確立されている。その奏法はギターの音色も含めてオーソドックスな部類に入るのだが、だからといってピーター・バーンスタインのようなもろ王道路線的な感じがしないのがいいところ。といってもバーンスタインも大好きだけどね。クライスバーグはジャズ・ギタリストに転向する前はロックをやっていただけあって、オーソドックスなスタイルの中にもあらゆるギターの奏法を取り入れているので、本作のようなスタンダード曲がメインであっても、そのプレイは新鮮に聴こえる。大きく音色を変えるエフェクターは使っていないが、曲によってはボリューム奏法でエフェクティブな効果を醸し出したりしているのは、いまどきのギタリストなら当たり前の芸当とはいえセンスのよさを感じるし、オーソドックスながらも決して教科書的ではないフレーズを速弾きしている中での瞬時のコードの挟み方なんかも実に上手いね。わたし的にはジム・ホール・トリオのイメージが染みついている楽曲「A Child is Born」(7曲目)にしても、本演奏の方が良いのではと思わせるほどの最高のプレイで聴かせてくれる。そんなクライスバーグに大きくスポットが当たっていて、ヴァイデンミューラーとホーニグの見せ場は思ったほど多くはないのだが、それでもこのトリオがこれだけ魅力的に感じるのは、クライスバーグだけではなく非常に有機的なバッキングをしている二人がいるからこそ。もしこれが違う人だとなかなかこうはいかないだろう。でも同時期の録音の「Kenny Werner / Form and Fantasy」の方がもっと良かったような気もするけどね。特にホーニグは、ワーナー・トリオやジャン=ミシェル・ピルク・トリオから連なっている現在のドラミングの方がはるかに凄いことをやっている。とはいえ選曲からも想像が付くように、対戦型ではなく協調型のギタートリオなので、ドラミングとしてはこれで充分。これ以上叩くとホーニグ・トリオになってしまう。
2001年のレコーディングながら演奏にも録音にも古さは感じられないので、これがクライスバーグの新作だといわれても気づかないかもしれない。でもこの後に各人の現在の演奏を聴くと、その成長ぶりがよく分かるのではと思う。クライスバーグのレギュラートリオのメンバーはマット・ペンマン、マーク・ファーバーだが、できれば本トリオでの最新の演奏も聴いてみたいものだね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
  

--EDIT--

Joe Henderson Quartets / Tetragon

Joe Henderson(Ts)
Don Friedman(P)1,2,3,5
Kenny Barron(P)4,6,7
Ron Carter(B)
Jack DeJohnette(Ds)1,2,3,5
Louis Hayes(Ds)4,6,7
Rec. September 27, 1967, NY (4,6,7), May 16, 1968, NY(1,2,3,5)
(Milestone 1868442)

久しぶりの旧盤買い。HMVの3点30%オフ・セールを利用するにあたり欲しい新譜が2枚しかなくて、もう1枚は800円均一セールの中から、まだ聴いたことがなかった本作をオマケ的に選んだ。
ジョー・ヘンダーソンは大好きなテナー奏者。ジャズをリアルタイムで聴くようになった70年代以降のアルバムは大抵のものを所有しているのだが、それ以前の60年代のリーダー作に関しては、「Page One」「Inner Urge」に続きこれでようやく3枚目と、あまり聴けていないのが現状。何せ新譜にばかり追われてしまい、旧譜にはなかなかお金が回らないからね。なので今回わずか800円で入手できたことを嬉しく思っている。本作はなんといってもメンバーが凄いのだが、その中でも特にチャールス・ロイドの「Forest Flower」と同時期のジャック・ディジョネットのドラミングが聴けるだけでもワクワクする。

ジョーヘン曲が2曲、ロン・カーター曲が2曲、「Invitation」他で全7曲。
今の時代でも充分に通用するジョーヘンの現代的な音使いが滅茶苦茶カッコいい。コルトレーンの運指法を理論づけして自分のスタイルに取り込んだテナー奏者としてはマイケル・ブレッカーがすぐに思い浮かぶのだが、この時代にすでにジョーヘンが同じようなことをやっているのが凄いね。その割にはテナーの音色がくすんでいて、パッと聴きには地味に感じてしまうのだが、そこがまた彼のいいところ。場面によってどんなに過激に吹いていたとしても、この音色のおかげで決してヒステリックには聴こえないのが安心感に繋がっている。
本作にはメンバーを替えての2つのセッションが収録されているのだが、私としてはやはりディジョネットが参加しているセッションの方が好き。そのアグレッシブなドラミングのスタイル(トニー・ウィリアムスの発展形といってもいいだろう)がすでにこの時代に確立されているのは、ロイドの「Forest Flower」を聴いてもそう感じるのだが、70年代に入ってからはCTIレーベルでしょっちゅうコンビを組むことになるロン・カーターとの相性も抜群で、2人で強力にプッシュしている様が本作の聴きどころの一つになっている。そのカーターも現在のような音程ずれまくりのベースではなく、しかもマイルスの黄金クインテットのときと同様に非常にスリリングに弾いているのだから、もうこのリズム隊を聴いているだけでも満足する。ただしLP時代ということで収録時間の関係だと思うけど、2人ともソロは全くとっていないけどね。ピアノは硬質なエヴァンスといった感じのドン・フリードマンも、現在のスタイルとそんなに大きくは違っていないケニー・バロンもどちらもいいのだが、特にバロンはこの時代の演奏をこれまで聴いた記憶がないのである種の感動を覚える。ルイ・ヘイズはディジョネットと比べるとオーソドックスなドラミングなのだが、そこがまたリラックス感を醸し出していていい感じだね。
演奏はどの曲もみんな良いのだが、中でも大好きな「Invitation」をミディアム・テンポでやっている1曲目と、それに続く2曲目「R.J.」(マイルスの「E.S.P.」にも収録されているカーター曲)と3曲目「The Bead Game」のアップテンポ曲の2連発の流れが特に気に入った。LPでいうとA面ということになるね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
  

--EDIT--



Michael Brecker(Ts,Ss)
Randy Brecker(Tp,Flh)
Billy Cobham(Ds,Per)
Jeff Kent(Key,G,Vo)
Doug Lubahn(B,Vo)
Barry Rogers(Tb,Wagner Tuba)
Edward Vernon(Vo)
John Abercrombie(G)
Rec. 1970,Chicago & NY (Sony SICP2114)

マハビシュヌ・オーケストラの「内に秘めた炎」や「火の鳥」、ビリー・コブハムの「スペクトラム」等の当時(70年代前半)のライナーノーツにおいて、コブハムの経歴のところで必ず登場してくる「ドリームス」というバンドは、私にとっては幻のバンドだった。30年以上も前のことなので記憶は定かではないが、バンドの存在を知った時点ですでにレコード(LP)は廃盤になっていたか、あるいは国内盤としては最初からリリースされなかったのかもしれない。当時のコブハム・バンドのメンバーの中で、ブレッカー兄弟とジョン・アバークロンビーがコブハム共々参加している「ドリームス」のことなので、どれだけ凄いバンドだったんだろうと想像を膨らませているうちに年月だけが経過して現在に至っているのだが、2年ぐらい前に輸入盤でリリースされていたファースト(本作)とセカンド(「Dreams/Imagine My Surprise」)をネット上で試聴した時には、自分が長年イメージしてきたものと実際のサウンドがあまりにもかけ離れていたために思いっきりズッコケている。特にセカンドの方がポップス志向が強すぎて(のように感じた)イマイチだったね。そういえば同じく幻のバンドだったマイク・マイニエリ&フレンズの「ホワイト・エレファント」も後年(90年代)になってから入手しているけれど、これもボーカルが主体であまりパッとしなかった記憶がある。1970年前後というのは、おそらく多くの新進気鋭のミュージシャンたちが新しいサウンドを模索している最中だったのだろう。あのウェザー・リポートでさえ実験的な音楽をやっていたからね。
ドリームスは国内盤として今回初CD化されたのだが、「完全生産限定」ということで、このチャンスを逃してしまうともう入手できない可能性もあるので(輸入盤の方もすでに廃盤のようだし)、とりあえずファーストだけを購入してみた。メンバーの中にはバリー・ロジャースの名前もあるが、後にマイケル・ブレッカーがステップス・アヘッド時代に「ソング・フォー・バリー」という追悼曲を発表していたのは、もしかするとドリームス繋がりがそもそものきっかけだったのかもしれないな。

全9曲がメンバーのオリジナル。
念願がかなって初めてドリームスを聴くのだが(試聴は除く)、昔大好きだったブラス・ロック・グループの「シカゴ」にサウンドが非常によく似ている。あるいは「BST」とかね。部分的にはプログレ志向もちょっと入っている。当時の流行りのバンドを追従しているようでオリジナリティはあまり感じられないけれど、サウンド自体は悪くない。40年近くも経っているというのに、そんなに古臭さも感じないしね。
あくまでもボーカルがメインではあるも、私としては当然バックの演奏にばかり耳が向いてしまう。まずはコブハムのドラミングなんだけど、もうこの時点ですでに自分のスタイルを確立しているんだね。6連符主体の高速フィルインが超強力。考えてみると「内に秘めた炎」から急激にドラミングが変わるなんてことはあり得ない話だものね。どの曲でも元気いっぱいに叩きまくっていて、私としてはもうコブハムを聴いているだけでも十分楽しめる内容となっている。8曲目では「火の鳥」中の「御言葉」に匹敵するぐらいのドラムソロも披露しているしね。ランディ・ブレッカーはこの時代の特徴である少し調子っぱずれな吹き方が微笑ましいし(随所で活躍していて、ブラス陣の中では一番目立っている)、マイケルはといえばコブハム・バンドのときと同様に遠慮気味に吹いている。曲によっては軟弱なビブラートを付けてみたりなんかして、彼に関してはまだ奏法的な迷いが見受けられるね。それでも8曲目のアドリブはコルトレーンばりに音符を細分化していてさすがに凄いし、続く9曲目のファンキーさも半端ではなくて、この辺はブレッカー・ブラザーズを彷彿させるものがある。ジョンアバはやっていること自体がコブハム・バンドのときとほとんど変わっていないのが面白い。
このバンドのネックは、やはりボーカルが主体になっていることだろう。これでインスト・バンドだと最高なんだけどなぁ。まあ売るためにはボーカルを前面に打ち出すことが必要だったとは思うけど、結局は自分たちもサウンドに納得がいかないものだからアルバムを2枚作っただけで解散して、改めてコブハム・バンドの方でやりたい音楽をやったってことなんだろうね。
なにはともあれ私としてはホレス・シルバーのバンドからコブハム・バンドまでの間が、ようやくパズル的に埋まったのがなにより。こんなにご機嫌なサウンドなのだったらセカンドも買ってみようかななんて思い始めている。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
  

--EDIT--



Sylvain Luc(G)
Jean-Marc Jafet(Ac-B)
Andre Ceccarelli(Ds)
Rec. August 18-20,1999,France (Dreyfus FDM36612)

Trio Sudのファースト・アルバム(2000年リリース)を入手。本作が「Sud」で、2枚目が「Sylvain Luc/Trio Sud(02年)」、3枚目が「Trio Sud/Young and Fine(08年、別頁あり)」と、バンド名儀だったり個人名義だったりしてなんだかややこしい状態になっているが、メンバー自体は不動である。ちなみにSudとはフランス語で「南」という意味で、3人とも南仏出身らしい旨のコメントを「Young and Fine」頁でアーティチョークさんから頂いている。
実質的なリーダーのシルヴァン・リュックはアコギ(エレアコ)でモダンな4ビートまでもやってしまうという、マヌーシュ・スウィング(ジプシー)系のギタリストが多いフランスでの中でも珍しい存在。ベースのジャン・マルク・ジャフェットはウッドとエレベの両刀使いのようで、私が初体験だった3枚目ではエレベを弾いていたのだが、本作と2枚目ではウッドに専念している。ドラマーのアンドレ・チェカレリについてはもはや説明不要だよね。このトリオが素晴らしいのは、彼のおかげだといっても過言ではないだろう。

各人のオリジナルと、ガレスピーの「Night in Tunisia」、バカラックの「This Guy's in Love With You」、マンシーニの「Moon River」等で全13曲。
1曲目の5拍子アレンジの「Night in Tunisia」からしてカッコいいねぇ。アコースティックな編成上、バッキングでは普段よりもパワーを抑え気味ではありながらも躍動的なチェカレリのドラムと(もちろんドラムソロではガンガンいっているが)、ボトムをがっちりとキープしているジャフェットのベースに乗っかって、リュックが楽曲の範囲内で縦横無尽のアドリブをとっているのだが、そのアコギの音質が演奏共々ホットだし、サウンドがジメジメしていないのが実にいい。それとアコギを弾くときにありがちなフレット上で指をスライドさせるときの「キュッ」という耳障りな音が皆無なのも素敵だね。写真を見る限りではエレアコに見えるけど、ナイロン弦でも張っているのか(その辺の専門的なことは門外漢なので分からないが)、きっと出の音に対してかなり気を遣っているのだろう。リュックのギターにマヌーシュ・スウィング的な要素をほどんど感じないのは3枚目を聴いたときと同じ印象。いまどきのエレギの人たちとなんら変わらないフレーズを弾いているが、それをアコギでやるのが彼の最大の特徴となっている。また本作でも曲によってはオーバーダブによってギター・カッティングとアドリブの一人二役を演じているので、アコギ・トリオでありながらも音が薄くならないのがいい半面、録音上の制約の関係でどうしてもギターが中心となってしまうのが欠点といえば欠点かもしれない。事実オーバーダブしていない曲の方が、ジャフェットとチェカレリの自由度が高くなっているね。1曲の演奏時間が短めなのは3枚目と変わらないのだが、できるだけ無駄を省いてその分曲数を多くするという考え方も、こうして聴いてみるとまんざらでもない。
全体的にはくつろいだような演奏が中心ではあるが、その中にもピリッとスパイスの効いたアグレッシブな演奏が何曲か混じっていて、BGM的代わりに聴くもよし、集中して聴くもよしといった、いかようにも楽しめる作品に仕上がっているのがいいね。無駄な高域成分をバッサリとカットした、温かくてまろやかな録音にも好感を持てる。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
  

--EDIT--

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