Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

カテゴリ: Jazz / FusionのCD

Charnett Moffett / Music From Our Soul

Charnett Moffett (Ac-B, El-B)
Pharoah Sanders (Ts)1, 7, 13
Stanley Jordan (G)1, 2, 4, 5-10, 12, 13 (P on 1, 7, 13)
Cyrus Chestnut (P, Key)2, 3, 5, 8, 9, 10
Jeff "Tain" Watts (Ds)1, 2, 7, 8, 9, 10, 12, 13
Victor Lewis (Ds)3, 5
Mike Clark (Ds)4, 6
Rec. October 16, 2014, NY (4, 6)
       January 25, 2015, Live at Jazz Standard, NY (3, 5)
       February 21-22, 2015, Live at Jazz Alley, WA (1, 7, 12, 13) 
       April 30, 2015, Live at Bern Jazz Festival, Switzerland (2, 8, 9, 10)
(Motema Music MTA-CD227)

チャーネット・モフェットのリーダー作を買うのは「Charnett Moffett/Treasure(10年、別頁あり)」以来。その間にも「Charnett Moffett / The Bridge: Solo Bass Works(13年)」や「Charnett Moffett / Spirit Of Sound(13年)」がリリースされているのだが、ソロ作品だったりメンバーがイマイチだったりでパスしている。その点本作はリーダー・デビュー30周年を記念しているだけあって豪華なメンバーが揃っているので、すぐに飛びついた。その中のスタンリー・ジョーダンは、過去作品にも参加しているモフェットの盟友。ジョーダンの近作「 Stanley Jordan / Friends(11年、別頁あり)」には、逆にモフェットが参加していたね。またヴィクター・ルイスもMJQ(マンハッタン・ジャズ・クインテット)で一緒の時代があったと思うけど、ファラオ・サンダース、サイラス・チェスナット、ジェフ・ワッツ、マイク・クラークがモフェットと共演しているのはこれまで聴いたことがなかったので、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

モフェット曲が12曲と、エリントンの「Mood Indigo」、マイルスの「So What?」で全14曲。
アルバムを印象付ける曲として、1曲目というのはとても重要だと思うのだが、それがこのような即興的な演奏の途中からスタートして、フェードアウトで終わらせるような曲「Music from Our Soul」であってもいいのかどうか。弾まないレゲエといった感じの曲調の中、確かにサンダースはスピリチュアルないい感じで吹いているし、モフェットのフレットレスを用いたジャコパス的なエレべソロも決して悪くはないけれど、想像していたような音楽の方向性(このメンバーなので4ビートがメインだと思っていた)とは大きく異なっていることもあって肩透かしを食らってしまう。それは2曲目「Freedom」も同様で、こちらもレゲエとカントリーを足して2で割ったような曲調となっているし、各人のプレイも、特にチェスナットとワッツに違和感を感じるせいで素直には楽しめない。3曲目「Mood Indigo」もまた然りで、一応ピアノトリオで4ビートジャズはやっているものの、モフェットを引き立たせるためにルイスが抑えめのドラミングをしているせいで、ライブ演奏にもかかわらず躍動感が伝わってこないのが残念。4曲目の「So What?」でようやく望んでいるような演奏になるけれど、モヤモヤした気分で聴いているために、モフェットがテーマをきちんと弾けていないとか、ついつい粗探しに走ってしまう。なので残りの曲は割愛するけれど、4か所でのライブのベストテイクが収録されていると思われる割には、状態が悪くなってからのジャコにも共通する雑な演奏と、録音の悪さのせいで、最後までルンルン気分で楽しむことはできなかった。
本作でモフェットが一番聴いてもらいたいのは自分のベースだと思うけど、そのためには良い音で録音されていることが最低条件だと思うけどね。それとバンドとしての演奏もセッション的な要素が強いので、もっと緻密な曲を書くなりきちんとリハーサルをするなりして(中にはそういう曲もあるけれど)、このメンバーならではのカラーを打ち出す必要があったのではと思う。ベーシストがエレべとウッドの両方を弾くのは基本的に大歓迎なのだが、この演奏に限っては必要性もあまり感じられない。そんな中、曲によってはチェスナットが珍しくもハンコックやマッコイ的なモーダルでカッコいいピアノを弾いていたり(キーボードのときはコリア調になる)、ジョーダンのイケイケなギターがドハマリしている曲があるのには救われるし、3曲だけではあるけれど高齢のサンダースの頑張りも素敵なので、星一つオマケしておこう。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

Charnett Moffett
Motema Music
2017-05-19



  

--EDIT--

Chihiro Yamanaka / Monk Studies

Chihiro Yamanaka (P, Syn, Rhodes, Hammond B-3)
Mark Kelley (B)
Deantoni Parks (Ds)
Rec. April 2017, Brooklyn, NY
(Blue Note-Universal Classics & Jazz UCCQ9303)

国内の大手レコード会社からリリースされるCDは高くてなかなか買えないでいるのだが、本作は大好きなセロニアス・モンク集なのに加えて、従来のHQCDよりも更に高音質なUHQCD(Ultimete Hi Quality CD)という初めて耳にする製法となっているので、個人的には普通のCDの方が音楽的に良い音がすると思っていながら、オーディオ的にも興味津々買ってみた。山中千尋がマーク・ケリー、ディーントニ・パークスと共演するのはこれが初めてかな。ケリーは「Russell Gunn/Plays Miles(07年、別頁あり)」で、またパークスも「Tony Grey / Unknown Angels(10年、別頁あり)」でしか聴いたことがなく、2人がどういうプレイをしていたのかは全く記憶に残っていないので、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

山中の「Heartbreak Hill」「New Days, New Ways」、モンクの「Pannonica」「In Walked Bud」「Rhythm-a-ning」「Rudy, My Dear」「Criss Cross」「Hackensack」、山中とモンク曲のメドレー「Nobody Kows~Misterioso」、「Thelonious Monk / Monk's Music(57年)」に収録されているウィリアム・ヘンリー・モンクの「Abide With Me」で全10曲。
山中がピアノの他にシンセ等のキーボードも多用しているのと、ケリーがエレべを弾いていることもあって、上原ひろみとPMGを足して2で割ったような感じのオリジナルの1曲目「Heartbreak Hill」はかなりフュージョン的ではあるけれど、これはこれで悪くない。また2曲目「Pannonica」のようなモンクの楽曲もエレクトリックなサウンドにバッチリ嵌っているね。近作では「Steve Khan / Backlog(17年、別頁あり)」での「Criss Cross」なんかもそうだったけど、モンクの曲作りは当時としてはかなり斬新で、テーマのメロディーはそのままで現代的なビートに変えただけでも違和感なくナウい曲へと進化するので、どれだけ時代を先取りしていたのかということになる。曲によってのトリッキーなテーマや部分的に拍子を変える(4拍子の曲に2拍子を挟み込むとか)ことも、コンテンポラリージャズ的な要素の源流といえるのだが、その辺は5曲目「In Walked Bud」~9曲目「Hackensack」までのモンク曲のオンパレードを聴いても一目瞭然だろう。ただし山中の場合はトリオとしての演奏自体がイマイチ面白くないのが残念。ベースのケリーはまあまあとして、リムショットを多用しているパークスのドラミングがアイデア不足な気がするんだよね。そのせいでどの曲も同じ調子に聴こえてしまうのだが、それには山中がワンマンに弾き倒していることも関係していて、スリリングなインタープレイの応酬とは程遠い演奏になってしまっているので、最低限ケリーとパークスのソロの見せ場も用意するなりして、曲中にメリハリをつけて欲しかった。
ということで演奏は期待していたほどではないし、録音(エンジニアはEric Elterman)も各楽器が必要以上に柔らかい音で録れているのが、UHQCDの特徴なのかは分からないけれど、本来は柔らかい音の方が好きな私ではあるけど気に入らない。オマケのDVD(「Hackensack」「Criss Cross」「Rhythm-a-ning」を収録)はまだ観ていないけど、これで定価が3,700円(税抜き)はやっぱり高いと思う。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


山中千尋
ユニバーサル ミュージック
2017-06-21

  

--EDIT--

Dayna Stephens / Gratitude

Dayna Stephens (Ts, Bs, EWI, Syn, B on 9)
Julian Lage (G)
Brad Mehldau (P, Tack-P on 4)
Larry Grenadier (B)
Eric Harland (Ds)
Rec. 2014?, NY
(Contagious Music CGM002)

録音年月が記されていないけど、Sunnysideからの「Dayna Stephens / Peace(14年、別頁あり)」とメンバーもプロデューサー(マット・ピアソン)もレコーディング・エンジニアも同じなので、もしかすると同時期に録音されたものかもしれない。「Peace」は私が好んでは聴かないバラード集ながらも、流石にこれだけのメンバーが揃っているだけのことはある素晴らしい作品だったので、本作にも期待している。

Olivier Manchonの「Emilie」、アーロン・パークスの「In a Garden」、Michelle Amadorの「Amber is Falling (Red and Yellow)」、ジュリアン・レイジの「Woodside Waltz」、パット・メセニーの「We Had a Sister」、デイナ・スティーヴンスの「The Timbre of Gratitude」、ビリー・ストレイホーンの「Isfahan」、Rebecca Martinの「Don't Mean a Thing at All」、Massimo Biolcati / Louis Coleの「Clouds & Clouds」で全9曲。
非4ビートが主体。「Peace」と同様のバラード集ではあるけれど、こちらの方も曲中に盛り上がる部分が用意されていて実にいい塩梅。腹八分目ながらもどの曲においてもエモーショナルに聴かせてくれるスティーヴンスのテナーのカッコよさは当然として、ブラッド・メルドーも参加曲ではそれに輪をかけて素晴らしいアドリブを取っているし、メルドーが休んでいる曲に参加しているジュリアン・レイジも曲調にバッチリ嵌ったバッキングとアドリブで楽しませてくれるし、ソロは2曲目「In a Garden」でしか取っていないものの、ラリー・グレナディアの端正ながらも人間味が感じられるベースにも非常に好感が持てるし、演奏を盛り上げる機動力となっているエリック・ハーランドのプレイも、大人しく叩いている場面も含めて非の打ちどころがなくて(特に3曲目「Amber is Falling (Red and Yellow)」のメルドーのアドリブ部分でのアグレッシブなドラミングは絶品)、各人ともバンドとしての調和を取りながらも自分の持ち味をフルに発揮しているおかげで、アルバムの後半は大人しい演奏が続いているような気がしないでもないけれど、どの曲をとっても最高に良い感じで楽しませてくれる。今回は知らない曲が多いけど、そんな中での7曲目「Isfahan」や、曲によってのEWI、バリトンサックス、シンセの使用もいいアクセントとなっているね。
「Dayna Stephens / Peace」も相当良かったけれど(その後にリリースされたCriss Crossからの「Dayna Stephens / Reminiscent(15年、別頁あり)」はイマイチだったけど)、馴染みのない曲(ある意味マニアックな)を多く取り上げている本作もまた申し分のない素晴らしさ。テナーが温かい音色で録れている録音(エンジニアはChris Allen)も極上で、これは文句なしの5つ星だね。今年の私的ベストアルバムの10枚に入れるのも確実だと思う。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Gratitude
Dayna Stephens
CD Baby
2017-04-07

  

--EDIT--

Oregon / Lantern

Paul McCandless (Oboe, English Horn, Ss, B-Cl)
Ralph Towner (Classical-G, P, Syn)
Paolino Dalla Porta (Ac-B)
Mark Walker (Ds, Hand-Per, Drum-Syn)
Rec. November 28-30, 2016, Ludwigsburg
(Cam Jazz CAMJ7916)

前作「Oregon / Family Tree(12年、別頁あり)」が素晴らしかったオレゴンだが、本作では老齢のためかグレン・ムーアが抜けてしまっているのが寂しいところ。これで結成当時からのメンバーはポール・マッキャンドレス、ラルフ・タウナーの2人だけになってしまったけど、これだけの長寿バンドは他にはないし、マーク・ウォーカーが参加してからはサウンドも若返っているので、できることなら長く続いて欲しいと願っている。新加入のパオリーノ・ダッラ・ポルタは自己のリーダー作「Paolino Dalla Porta Quintet / Urban Raga(09年、別頁あり)」やサイド参加の「Francesco Cafiso / 4 Out(11年、別頁あり)」で聴いたことがあるけれど、オレゴンに通じる音楽性にも普通の4ビートジャズにも長けているので、ムーアの代役だけに留まらないプレイが期待できそうだ。

タウナー曲が6曲、ウォーカー曲が1曲、ポルタ曲が1曲、4人の共作が1曲、トラディショナルの「The Water Is Wide」(アレンジはマッキャンドレスが担当)で全10曲。
元来が室内楽的なオレゴンだけど、1曲目「Dolomiti Dance」や2曲目「Duende」でますますその傾向が強くなっているように感じられるのは、やはり年齢的なものが関係しているのかもしれない。これはこれで悪くはないのだが、もっとガツンとしたものが欲しくなってしまう。そう思いながら聴いていると、タウナーがピアノを弾いている3曲目「Walk The Walk」では、ここまでハンドドラムやブラシを使って大人し目に叩いていたウォーカーが普通にスティックを使いながらダイナミックなドラミングをしていて実にいい塩梅。曲調も非常にリズミカルで、それこそが近年のオレゴンの特徴でもあるのだが、モーダルな味付けを加味しながらのピアノのアドリブの後には目茶苦茶カッコいいドラムソロまで用意されていて、もうこの1曲だけでも買ってよかったという気分にさせてくれる。続く4曲目「Not Forgotten」はまた大人し目の曲ではあるけれど、こういう曲調ではマッキャンドレスとタウナーは当然のことながら、ポルタもいい感じのバッキングとソロで聴かせてくれるのだから、彼の加入も大正解。ムーアよりも温度感の高いプレイが、バンドとしてのサウンドの温かさにも繋がっているね。5曲目「Hop, Skip And A Thump」は軽い感じの4ビート、6曲目「Figurine」はオーボエとピアノのデュオ、そして同じくタウナーがピアノを弾いている4ビート曲の7曲目「The Glide」は2曲目以上にホットな演奏が展開されていて(後半の4バースも聴き応えがある)、残りの曲も含めてメロディーで聴かせる曲とノリのよさで聴かせる曲がバランスよく配分されているおかげで、最後までいい感じで楽しむことができる。それにしてもマッキャンドレスもタウナーも、高齢にもかからわずテクニックは全く衰えていないどころか、凄みさえ感じさせるのだから大したもの。特にタウナーは作曲面においても非常に意欲的なのだから恐れ入る。
いかにもオレゴンらしいシンセも加えながらの即興的な9曲目「Lantern」(ミステリアスな演奏がジャングル的なものに徐々に変化)の後には、涙が出るほどに感動する曲(10曲目の「The Water Is Wide」)を用意していたりして、リスナーの心理をきちんと読んでいるアルバム作りは、さすがにベテランならではといった感じだね。本作は録音(エンジニアはJohannes Wohlleben)も各楽器が非の打ちどころのない音で録れていて極上だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Lantern
Oregon
Camjazz
2017-06-30

  

--EDIT--

DeJohnette, Grenadier, Medeski, Scofield / Hudson

Jack DeJohnette (Ds, Tom-Tom, Wooden-Fl, Vo)
Larry Grenadier (B, Vo)
John Medeski (P, Rhodes, B-3, Wooden-Fl, Vo)
John Scofield (G, Wooden-Fl)
Rec. January, 2017, NY
(Motema Music MTA-CD-228)

ジャック・ディジョネットとジョン・スコフィールドの共演といえば、トニー・ウイリアムスや60年代後半の彼のバンド「ライフタイム」に捧げたライブ盤「Trio Beyond/Saudades(06年、別頁あり)」での熱演が真っ先に思い浮かぶ。おそらく本作もそれと同傾向の作品だと思うけど、ジョンスコ繋がりのジョン・メデスキ(「 Medeski Scofield Martin & Wood/Out Louder(06年、別頁あり)」「MSMW / Live: In Case The World Changes Its Mind(11年、別頁あり)」「 John Scofield / Uberjam Deux(13年、別頁あり)」で共演)やラリー・グレナディア(ジョンスコとは「John Scofield / Past Present(15年、別頁あり)」で、ディジョネットとは「George Colligan / The Endless Mysteries(14年、別頁あり)」で共演)とで、はたしてどういう演奏が繰り広げられているのか楽しみ。ちなみにこのバンド(8月に75歳を迎えるディジョネットの特別プロジェクトのよう)ではツアーも組まれているようだ。

ディジョネット曲が3曲(ブルース・ホーンズビーとの共作含む)、ジョンスコ曲が2曲、4人の共作が1曲、ボブ・ディランの「Lay Lady Lay」「A Hard Rain's A-Gonna Fall」、ジョニ・ミッチェルの「Woodstock」、ジミヘンの「Wait Until Tomorrow」、ロビー・ロバートソンの「Up On Cripple Creek」で全11曲。
1曲目「Hudson」は私たちアマチュアも昔からセッションでよくやっている、テーマを決めずにおもむろにスタートさせるワンコードものの即興演奏(電化マイルス的な16ビート)だけど、この4人でやるともうそれだけでもカッコいい曲になってしまうのだから流石だね。イマイチ盛り上がりには欠けるものの、ジョンスコとメデスキの掛け合いがなかなかの聴きもの。ジョンスコ曲の2曲目「El Swing」は、「Miles Espanol / New Sketches of Spain(11年、別頁あり)」(ディジョネットとジョンスコが共演)にも収録されていた4ビート曲。いかにもジョンスコらしいメロディラインが印象的だけど、アドリブは意外とさっぱりしていて、むしろ2番手のメデスキの方が普段こういう曲調をアコピでアドリブを取っているのはあまり聴いたことがないこともあって、いい感じで楽しませてくれる。3曲目「Lay Lady Lay」は弾まないレゲエ調の16ビート。きっとディランを好きな人にとってはこの曲をやっているだけでもたまらないと思うけど、演奏的には2曲目同様にさっぱりとしているので、ジョンスコにしてもディジョネットにしてももっとブチ切れてもいいのではと思ってしまう。それは穏やかな演奏となっているジョニ・ミッチェル曲の4曲目「Woodstock」にもいえることだが、考えてみると「Trio Beyond/Saudades」から既に11年が経過していて、その分2人とも年を取っているわけだし、「Saudades」が70年前後のジャズロック調だったのに対し、こちらの方は選曲からもロックの他にフォークもテーマとなっているようなので、同じような演奏を期待するのはお門違いなのかもしれない。なんて思いながら聴いていると、ディラン曲の5曲目「A Hard Rain's A-Gonna Fall」では6/8拍子の4ビートの中、ディジョネットが次第にフリー調となっていき、他のメンバーもそれに同調する手法を取っていて、「そうそうこれこれ」と納得させてくれる。やはりディジョネットはこの手のフリーがかったドラミングをやらせると絶品だね。ジミヘン曲の6曲目「Wait Until Tomorrow」は当然ながらのロック調。ジョンスコがギンギンに弾きまくっているけれど、盛り上がっている途中でフェードアウトしているのは残念なところ。たぶんこの後演奏が収拾つかなくなったからだと思うけど、出来ればそういう部分こそ聴いてみたかった。ディジョネット曲の7曲目「song for World Forgiveness」は穏やかな感じの16ビート曲。この曲に限らず、本作でのディジョネットはロックを意識するあまり、スネアの2、4拍(バックビート)を強調しながら叩いているけれど、それによりドラミングの幅が狭まっているので、もう少し開放感のあるプレイをしてもよかったのではと思う。8曲目「Dirty Ground」はヴォーカルやコーラス入り。メインヴォーカルはおそらくディジョネットだと思うけど、渋い歌声がなかなか魅力的。9曲目は「Tony Then Jack」と題したジョンスコ曲。ミディアムファーストの4ビートのブルースだけど、オーソドックスな曲調の中での各人のプレイが素晴らしい。
残りの曲は割愛するが(11曲目「Great Spirit Peace Chant」が、ディジョネットのルーツであるアメリカ・インディアンへのオマージュとなっていることだけは記しておこう)、想像していたようなアグレッシブでガツンとくるような演奏ではないものの(肌触りとしてはここ何年かのジョンスコのリーダー作に近いものがある)、これはこれでいい感じで楽しむことができた。本作は録音(エンジニアはScott Petito)も各楽器が過不足なく良い音で録れているし、やっている音楽にもよくマッチしていて上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Jack Dejohnette
Motema Music
2017-06-09

  

--EDIT--

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