Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜を中心に感じたままに書いている個人ブログです

カテゴリ: ジャズ・フュージョンのCD

Gilad Hekselman / Ask for Chaos

+ gHex Trio
Gilad Hekselman (G)
Rick Rosato (B)
Jonathan Pinson (Ds)
* Zuperoctave
Gilad Hekselman (G, B)
Aaron Parks (Syn, Rhodes, P)
Kush Abadey (Ds, Pads)

Produced by Gilad Hekselman
All compositions by Gilad Hekselman
String arrangement Do Re Mi Fa Sol by Petros Klampanis
Strings on Do Re Mi Fa Sol by Duncan Wickel
Mixed and masterd by Michael Perez-Cisneros
Assistant engineer Alex Haley
Graphic Design by Jamie Breiwick, Bside Graphics
Cover photos by Josh Goleman
Disc photo by Caterina Diperri
(Motema Music MTM0284)

1. Prologuoooo 1101 0:22
2. Vblues * 6:48
3. It Will Get Better + 6:51
4. Tokyo Cookie * 8:08
5. Stumble * 7:26
6. Milton + 5:49
7. Home to You * 8:42
8. Little Song for You + 3:41
9. Clap Clap * 5:54
10. Do Re Mi Fa Sol + 5:26

一昨日聴いたばかりの「Ben Wendel / The Seasons(18年、別頁あり)」にも参加していたギラッド・ヘクセルマンのリーダー作を買うのは、「Gilad Hekselman / Homes(15年、別頁あり)」に次いで本作で6枚目だけど、今回はアーロン・パークスを除いて知名度が高くない人達とやっているのが興味深い。自ブログで検索してみたら、リック・ロサトは「Jonathan Kreisberg / Wave Upon Wave(14年、別頁あり)」に、またクッシュ・アバディは「Wallace Roney/If Only For One Night(10年)」「Wallace Roney / Home(12年)」「Frank Lacy / Live at Smalls(14年)」(各別頁あり)に参加しているのが見つかったし、ジョナサン・ピンソンも演奏しているのは聴いたことがないものの、「Ralph Peterson / The Duality Perspective(13年、別頁あり)」では彼の楽曲を取り上げているので、各人ともなかなかのやり手なのは間違いないだろう。gHex Trio、Zuperoctaveという2つのグループによる演奏は、パークス入りのZuperoctaveがエレクトリック色が強く(打ち込みとの同期やベースのオーバーダブもあり)、gHex Trioの方はウッドベースの音色を活かしたアコースティックな演奏となっているのが特徴。どちらも現代感覚に満ち溢れたコンテンポラリーなジャズではあるけれど、その演奏の切り口が異なっているのが面白いし、両方をやってのけているヘクセルマンの音楽性やギターの奏法の多彩さにも改めて感心する。アリ・ホーニグのバンドに参加するときなんかはまた違った一面を見せたりもして、どれだけ多くの引き出しを持っているのか計り知れないものがあるのだが、本演奏ではそんなヘクセルマンのプレイをたっぷりと堪能できると同時に、他のメンバーも非常にセンスのいいプレイをしているおかげで(中でもパークスとアバディにはテクニック面においても惹きつけられる)、ただでさえ良い楽曲をますます良く感じさせてくれる。エレクトリックとアコースティックな演奏が混在していても、ちぐはぐな印象は全く受けないのも流石だし、動と静のバランスも申し分がなく、どの曲も「いいぞ、いいぞ!」と思いながら聴いていたらトータル59分があっという間に終わってしまった。
これまでのような有名どころとの共演ではないので、聴く前は危惧していたけれど、どちらのバンドをとっても非常に魅力的な演奏をしていて大満足。本作は録音も各楽器の音質、バランス共に良好なので、ここは5つ星といきたいところだが、若手ギタリストの中で最も注目しているヘクセルマンだったらもっと凄いことができそうな気がするので、あえて4つ星に抑えておく。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)



  

--EDIT--

Ben Wendel / The Seasons

Ben Wendel (Ts, Ss, Bassoon on #1, 3, 7, 12, EFX)
Aaron Parks (P)
Gilad Hekselman (G)
Matt Brewer (B)
Eric Harland (Ds)

Recorded March 5-7, 2018 at Bunker Studios, Brooklyn, NY by Aaron Nevezie
Mixed by Todd Burke
Mastered by Nate Wood at Kerseboom Mastering
Piano Tuned by James Carney
Photography: Josh Goleman
Design: Rebecca Meek
Project Manager: Rachel Silton
Publicity: Jason Byrne
Management: Tom Korkidis
Booking: Imn Wrld, Alycia Mack, Holly Brennock
(Motema Music MTM0288)

1. January 6:47
2. February 6:48
3. March 6:15
4. April 6:39
5. May 6:36
6. June 5:00
7. July 6:07
8. August 6:51
9. September 3:59
10. October 6:16
11. November 6:34
12. December 10:47
Produced, composed and arranged by Ben Wendel

ベン・ウェンデルのアルバムを買うのは「Ben Wendel/Simple Song(09年、別頁あり)」「Ben Wendel / Frame(12年、別頁あり)」以来。サイド参加としては他にも「Tigran Hamasyan/Red Hail(09年)」「Austin Peralta / Endless Planets(11年)」「Philip Dizack / Single Soul(13年)」「Matt Brewer / Unspoken(16年)」「Gerald Clayton / Tributary Tales(17年)」(各別頁あり)等で耳にしているのだが、本作の前に「Ben Wendel / What We Bring(16年)」がリリースされているのは、本人のサイトを見るまで気が付かなかった。HMVの解説によると、本演奏は1年=12ヶ月に対応した12の作品集を豪華ミュージシャンたちとのデュオ共演でYouTubeにアップして大きな話題となった「The Seasons Project」をグループ編成として発展させたものだそう。メンバーを見るだけでも非常にそそられるけど、実際の演奏も各人の持ち味を存分に生かしながらのコンテンポラリー・ジャズが展開されていて実にいい。アルバムを通して何らかのストーリー性が感じられる楽曲自体がまずカッコいいのだが、そんな中で全体的にマイケル・ブレッカー的な雰囲気を醸しながら吹いているウェンデルは、流石に大きくスポットが当たっているだけあって、どの曲においても魅力的なプレイで聴かせてくれるし(場面によってはサックスにエコー的なEFXをかましている)、ギラッド・ヘクセルマンも一糸乱れぬテーマユニゾンや、曲調にバッチリ嵌りながらも決して教科書的ではない斬新なフレージングが見事としか言いようがない。またアーロン・パークスもアドリブの場面は少ないものの、いざというときにはリーダー作よりも良いのではと思うほどのプレイをしているし、マット・ブリューワーのこの手のコンテンポラリーな曲への対応力にも改めて感心する。そしてなんといってもエリック・ハーランドが自己のバンドVoyagerや、James Farm、Aziza等と同等か、あるいはそれ以上の高度なテクニックと独創的なアイデアを駆使しながらダイナミックにプッシュしているものだから、私としてはもうそのドラミングを聴いているだけでも嬉しくなってしまう。トータルで約79分とかなり長めではあるけれど、曲構成の良さと素敵な演奏が相まって、どの曲も感動しながら聴いていたらあっという間に終わってしまった。
これだけのメンバーが揃っているので良いことは聴く前から分かっていたけれど、その演奏は想像していたものを遥かに超えていて素晴らしい。本作は録音も、シンバル系の金物だけはもう少し音が大きくてもいいと思うけど、それを除いては各楽器が私好みの温かみのある音色で録れているしバランスも良好で、オーディオ的にも楽しませてくれる。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


SEASONS
BEN WENDEL
PIASU
2018-10-12

  

--EDIT--

John Scofield / Combo 66

John Scofield (G)
Gerald Clayton (P, Or)
Vicente Archer (B)
Bill Stewart (Ds)

Recorded April 9 and 10 2018 at Carriage House Studio
Recorded and mixed by Jay Newland
Masterd by Mark Wilder at Battery Studios
Degital editing by Brian Montgomery
Photos by Nick Suttle
(Verve 678 021 3)

1. Can't Dance 7:32
2. Combo Theme 7:22
3. Icons at the Fair 5:33
4. Willa Jean 7:59
5. Uncle Southern 5:39
6. Dang Swing 6:09
7. New Waltzo 8:52
8. I'm Sleeping In 5:04
9. King of Belgium 6:24
All songs by John Scofield

大好きなジョン・スコフィールドだけど、本作ではビル・スチュワート以外のメンバーを一新しているのが興味深い。ジェラルド・クレイトンもヴィセンテ・アーチャーもアルバムでジョンスコと共演するのは多分これが初めてだと思うけど、実際の演奏がラリー・ゴールディングスやスティーヴ・スワロウあたりのときと比べても大きくは変わっていないということは、それだけ自己の音楽性が確立されているのに加えて、これまでのバンドがジョンスコとビルスチュの強烈な個性で成り立っていたからなのだろう。そんな二人のプレイが本演奏においても非常に魅力的だし、クレイトンもオルガンを弾いている1曲目「Can't Dance」や7曲目「New Waltzo」ではゴールディングスと差異はないにしても、ピアノのときはバンドとしてのグルーブまで変化したように感じられるほどのスウィング感に満ち溢れたプレイ(ゴールディングスとはノリが異なる)で楽しませてくれるし、アーチャーもビルスチュとは過去にも「Nicholas Payton / Letters(15年)」「Danny Grissett / The In-Between(15年)」「Danny Grissett / Remembrance(17年)」(各別頁あり)で共演している間柄だけあって、力感のある太い音色で土台をガッチリと支えながら、リズム隊として相性バッチリのプレイで聴かせてくれる。楽曲的にも全曲が4ビートのオリジナルはどれもがみんな良いのだが、新曲ながらも過去のアルバムで聴いたことがありそうな曲調がほとんどなので、7曲目のように曲中でロック調に変化させるなりして、アルバムを通してもっとインパクトやメリハリのある演奏をしていれば更によかったと思う。でもこのデジャヴ感が聴いていての安心感に繋がっているわけでもあるので、これでよしとしよう。
ということで期待していたほどではないにしても、これまでのジョンスコ・サウンドに円熟味を加味した演奏が堪能できるし、「John Scofield / Past Present(15年、別頁あり)」「John Scofield / Country for Old Men(16年、別頁あり)」に引き続きのジェイ・ニュージランド(Jay Newland)の録音も、バスドラの音が少々小さく録れている以外は各楽器の音質、バランス共に良好なので(個人的にはジェームス・ファーバー方が好きだけど)、それなりの満足感は得られた。それにしてもアルバムタイトルの「Combo 66」とはどういう意味なのかな。「Live '77」にかけ合わせたのとは違うような感じだし、これは暇なときにでも調べてみるとしよう。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


COMBO 66 [CD]
JOHN SCOFIELD
VERVE
2018-09-28

  

--EDIT--

Thomas Delor / The Swaggerer

Simon Martineau (G)
Georges Correia (B)
Thomas Delor (Ds)
Special guest: The Typewriter on track 1

Recorded at Studio Mesa in Soignolles-en-Brie, France, June 1-3, 2016
Recorded, mixed and mastered by Charles Frossard
Management/Booking: Soprane Productions
Thomas Delor plays Canopus Drums
Photographies by Frederic Chapotat
Translation by Guillaume David
Produced by Thomas Delor and Soprane Productions
Executive producer: Jordi Pujol
(Fresh Sound New Talent FSNT 553)

1. Prelude en Si Majeur (Thomas Delor) 1:36
2. Hidden Meaning (Thomas Delor) 5:17
3. Moonlight (Ludwig van Beethoven) 4:25
4. The Swaggerer (Thomas Delor) 7:46
5. L.N.A. (Thomas Delor) 5:43
6. From the New World (Antonin Dvorak) 5:33
7. Thythm-a-ning (Thelonious Monk) 3:57
8. Blue in Green (Miles Davis) 5:02
9. Tu I'as vu, Monk? (Thomas Delor) 2:58
All songs written by Thomas Delor except tracks 3, 6, 7 & 8

トーマス・デロー(トーマ・ドゥロール?、1987年フランス生まれ、本人のサイトあり)を聴くのはこれが初めて。またメンバーのサイモン・マルティヌー(?)とジョージス・コレイア(?)も知らない人なのだが、YouTubeで試聴したらなかなか面白い演奏をしているので、全曲聴いてみたくなって購入した次第。動画を見るとデローは左利き左セッティングで叩いているけれど、そのドラミングのアプローチやフレージングが全体的にアリ・ホーニグに似ている(メロディー奏法も取り入れている)のが私好み。また6曲目「From the New World」なんかはアントニオ・サンチェスを連想する。トリオとしての演奏もギラッド・ヘクセルマン入のホーニグのトリオに近いものがあるけれど、そこにギターのマルティヌーの持ち味なのか、曲によってはフランス的な叙情性も感じられたりするのが本トリオの特徴といってよさそう。楽曲は非4ビートと4ビート曲をバランスよく配列。オリジナルだけではなく、既成曲も面白いアレンジで聴かせてくれる。流石にドラマーがリーダーだけあって、バラード曲も含めてリズムが非常に生き生きとしているし、マルティヌーが比較的オーソドックスなトーンで弾いていながらも、場面によってはエフェクターでギンギンな音を出しているのが、今どきのコンテンポラリーなギタリストの常套手段ではあるけれど、いいアクセントとなっているね。ベースのコレイアだけは可もなく不可もなしといった感じだけど、トリオとしては調和の中にもそれぞれの個性が感じられる演奏を楽しむことができた。
本作は演奏が良いのに加えて、録音も温かみを伴った各楽器の音像が立体感のあるバランスのいい音で録れていて、オーディオ的にも満足させてくれる。近年のFSNTは新人発掘だけではなく、Criss Crossと同様に録音にも力を注いでいるので、演奏により魅力を感じるようになった。ちなみにデローはカノウプスのドラムを使用。本作やホーニグがよくライブをやっているSmallsのドラムの音を聴くと、自分もカノウプスが欲しくなってしまう。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


THE SWAGGERER
THOMAS DELOR
FRESH SOUND
2018-07-09

  

--EDIT--

Shamie Royston / Beautiful Liar

Jaleel Shaw (As, Ss)
Josh Evans (Tp)
Shamie Royston (P)
Yasushi Nakamura (B)
Rudy Royston (Ds)

Produced by Shamie Royston
Recording: Trading & Recording Studio October 7, 2016
Engineered and Mixied by Chris Sulit
Mastered by Kevin Blackler
Photography: Nick Carter
Graphic Design: Christpher Drukker
(Sunnyside SSC 1510)

1. Sunday Nostalgia 5:55
2. Push 4:16
3. Beautiful Liar 7:20
4. Precious Lullaby 4:31
5. Dissimulate 5:40
6. Lovely Day 5:40
7. Circulo Vicioso 5:41
8. Uplifted Heart 4:55
9. A Tangled Web We Weave 5:42
10. Precious Lullaby (Outro) 2:41
All songs witten by Shamie Royston, except Lovely Day by Bill Whthers arranged by Shamie Royston

大好きなルディ・ロイストン買い。リーダーのシェイミー・ロイストンを聴くのはこれが初めてと思っていたけれど、自ブログで検索したら「Tia Fuller / Angelic Warrior(12年、別頁あり)」に参加しているのが見つかった。調べてみたらシェイミーとルディは夫婦で、実妹がティア・フラーのような感じだけど、「Angelic Warrior」と同様に本作でもルディのドラミングを活かしたダイナミックな演奏が展開されていて実にいい塩梅。シェイミーのピアノはリズムに若干の甘さは感じられるものの、コンピングも含めてモーダルなフレージング自体がカッコいいし、ハードバップの伝統を踏まえながらのNY的なコンテンポラリーさが感じられるオリジナルの楽曲も私好みのものばかりなので、そんなことはどうでもよくなる。またフロントを受け持っているジャリール・ショウとジョシュ・エヴァンスの、曲調によくマッチしたバイタリティーに富んだプレイもなかなかの聴きものだし、中村泰士の日本人離れした、どことなく黒っぽさが感じられるベースにも好感が持てる。でもワタシ的にはなんといってもルディのドラミングが一番。相変わらずのスピーディーなプレイ(ソロも結構多い)を聴いているだけでも買ってよかったという気にさせてくれるし、4ビートをメインに数曲入っている16ビート系なんかも、自分がジャズ用のセットでこういうビートを叩くときの参考にもなって、どの曲も「いいぞ、いいぞ」と思いながら聴いていたらトータル52分があっという間に終わってしまった。
本作は単に演奏が良いだけではなく、曲ごとにテンポやリズムを変えながらの動と静のバランスも良好だし(楽曲の統一感もきちんと取れている)、録音も各楽器が音痩せすることのないガッチリとした音像で録れていて、想像していた以上の満足感を味わうことができた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

BEAUTIFUL LIAR
SHAMIE ROYSTON
SUNNY
2018-06-15

  

--EDIT--

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