David Gilmore / From Here to Here

David Gilmore (G)
Luis Perdomo (P)
Brad Jones (B)
E.J. Strickland (Ds)

Produced by Gerry Teekens
Recording Engineer: Michael Marciano
Mixing: Michael Marciano
Mastering: Michael Marciano
Recorded: September 12, 2018
Recorded, mixed and mastered at Systems Two Recording Studios, Long Island, N.Y.
Photography: Fafa Moments
Cover Design: Gerry Teekens / Bloemendaal in Vorm
This release is a tribute to my father and our grandpa
Gerry Teekens Sr, founder of Criss Cross Jazz who passed away October 31, 2019.
Jerry Teekens Jr, Bo Teekens, Amber Teekens
(Criss Cross Jazz 1405)

1. Focus Pocus (David Gilmore) 6:36
2. Cyclic Episode (Sam Rivers) 5:25
3. Metaverse (David Gilmore) 5:05
4. Child of Time (David Gilmore) 7:21
5. When and Then (David Gilmore) 7:51
6. Innerlude (David Gilmore) 4:27
7. Interplay (Bill Evans) 4:48
8. The Long Game (David Gilmore) 7:21
9. Free Radicals (David Gilmore) 10:08
10. Libation (David Gilmore) 7:01

昨年10月にオーナーでプロデューサーのジェリー・ティーケンスが亡くなったCriss Crossレーベルの、現時点での最終作品。時系列では「Matt Brewer / Ganymede(別頁あり)」と「Noah Preminger / After Life(別頁あり)」の間にレコーディングされた、「David Gilmore / Transitions(17年、別頁あり)」に次ぐデヴィッド・ギルモアのCriss Crossからの2枚目のリーダー作なのだが、E.J.ストリックランド以外はメンバーを一新しての本作もまた、1曲目「Focus Pocus」からアップテンポの4ビートでガツンといっていて実にいい塩梅。モーダルな曲調の中、ギルモアとルイス・ペルドモのイケイケなプレイが堪能できるし、ストリックランドのソロも用意されていて、早くもノリノリで楽しませてくれる。それはサム・リヴァース曲の2曲目「Cyclic Episode」も同様で、モーダルな雰囲気を漂わせながらの演奏が私好み。ブラッド・ジョーンズがエレべを弾いている3曲目「Metaverse」は、5/4拍子×3小節+6/4拍子(かな?)のエレクトリックな演奏。ブルースのコード進行なので曲調的には分かりやすいけど、一拍半ノリになったりしながらの、これでもかというぐらいにリズムがトリッキーな演奏を、メンバー全員が難なくやってのけているのが流石だね。オーバーダブなのかエフェクターなのかは定かでないけど、二人で弾いているように聴こえるギルモアのギターとペルドモのメカニカルな高速テーマのユニゾンが目茶苦茶カッコいいし、アドリブに入ってから各人のプレイも聴き応えがたっぷり。4曲目「Child of Time」はギルモアがアコギに持ち替えてのゆったり目の演奏(7/8と4/4拍子の複合かな?)、エレクトリックな5曲目「Innerlude」はフュージョン的な曲調、6曲目「Innerlude」はリフレインしながら盛り上がっていくバラード調の曲、ビル・エヴァンス曲の7曲目「Interplay」は純粋な4ビートのブルース、8曲目「The Long Game」は変拍子的な部分もありの4ビート、9曲目「Free Radicals 」はラテンタッチな変拍子(ドラムソロもあり)、4ビートの10曲目「Libation」は3/4×3小節の進行がユニークといった感じでけっこういろんなことをやっているけれど、アルバムとしての統一感はきちんと取れているし、バンドとしての調和を取りながらも持ち味を存分に発揮している各人のプレイも見事で、素敵な演奏にどっぷり浸かりながら聴いていたら、トータル66分があっという間に終わってしまった。
Criss Crossは一時期全部買いしていたほどに大好きなレーベルなので、もう新録を聴けないと思うと寂しいものがあるのだが、リーダー作以外は「Donald Edwards / Evolution Of An Influenced Mind(14年)」「Donald Edwards / Prelude To Real Life(16年)」「Boris Kozlov / Conversations At The Well(16年)」(各別頁あり)ぐらいにしか参加していないギルモアの本作にはCriss Crossの美味しさが満載なので、これが最終作品となったことには満足している。録音もベースが弱く感じる場面はあるものの、いかにもマイク・マルシアーノらしい血の通った温かい音で録れていて、オーディオ的にも上機嫌で楽しむことができた。

Evaluation ★★★★☆


From Here to Here
Gilmore, David
Criss Cross
2020-06-12