Nicholas Payton / Relaxin' with Nick

Nicholas Payton (Tp, P, Rhodes, Vo, Effects & Samples)
Peter Washington (B)
Kenny Washington (Ds)

Recorded Live May 30, 31 & June 1, 2019 at SMOKE Jazz and Supper Club, NYC
Produced by Nicholas Payton & Paul Stache
Associate Producer: Damon Smith
Recorded by Tyler McDiarmid, Geoff Countryman & Teng Chen
Mixed and Mastered by Christopher Allen
Photography by Lily Keber & Kenny Morrison
Design by Damon Smith & Paul Stache
(Smoke Sessions Records SSR-1907)

Disc 1
1. Relaxin' with Nick (Nicholas Payton) 7:39
2. C (Nicholas Payton) 5:00
3. El Guajiro (Nicholas Payton) 7:28
4. Stablemates (Benny Golson) 11:03
5. Eitht (Nicholas Payton) 3:43
6.Jazz is a Four-Letter Word (Nicholas Payton) 9:54
7. Othello (Nicholas Payton) 8:26
8. Tea for Two (Vincent Youmans / Irving Caesar) 6:47

Disc 2
1. 1983 (Nicholas Payton) 7:57
2. F (for Axel Foley) (Nicholas Payton) 7:42
3. A (Nicholas Payton) 7:20
4. I Hear a Phapsody (George Fragos, Jack Baker & Dick Gasparre) 10:52
5. Five (Nicholas Payton) 14:38
6. When I Fall in Love (Victor Young / Edward Heyman) 7:52
7. Praalude (Nicholas Payton) 2:19

一時期はヒップホップ的な方向にも行ったりしていたニコラス・ペイトンだけど、本作では初心に帰ってか、オーソドックスな4ビートの黄金リズム隊であるピーター・ワシントン、ケニー・ワシントンと共演しているのが興味深い。でも2枚組ライブ盤の本作でもクレジットを見ると、ペイトンはトランペットだけではなく、アコピ、エレピ、ヴォーカル、エフェクト等も担当しているんだね。その辺は相変わらずなのだが、近作の「Nicholas Payton / #BAM: Live at Bohemian Caverns(14年、別頁あり)」「Nicholas Payton / Letters(15年、別頁あり)」でもピアニストとしての確かな腕前を披露しているし、本演奏ではますます磨きがかかっていて、端から4人でプレイしているような感覚で楽しませてくれる。その分トランペットの出番は少なくなっているけれど、ピアノトリオとしても聴き応えのある演奏をしているので、これで充分。中には3曲目「El Guajiro」等のようにラップ調で歌ったりしている曲もあるけれど(普通に歌っている曲にはCTI臭がプンプン)、こういうのもまたオーソドックスなリズム隊と絶妙にマッチしているし、そっち系のミュージシャンと共演するよりも、むしろ新鮮に感じられて実にいい塩梅。もちろんトランペットプレイに関しても、デビュー当時の豪快さと図太い音色が戻ってきたような感じで嬉しいのだが、しいていうと1曲の中でのトランペットや、アコピを含めたキーボードでのアドリブは、楽器を頻繁に替えるのではなく(右手でトランペットを吹きながら左手でキーボートでコンピングしている場面もあり)、もう少し長い方がじっくりと楽しめてよかったかもしれない。でもちょっとした不満はそれぐらいのもので、どの曲をとってもノリノリで楽しんでいたら、トータル119分があっという間に終わってしまった。数多くのアルバムで共演している両ワシントンが、ここでも超一流の仕事をしているのは言うまでもない。
本作は演奏が良いだけではなく、ライブの雰囲気がたっぷりの録音も、リアルな音色で録れている各楽器がスピーカーの前面にせり出してきて、音的にも最高の気分を味あわせてくれるので、これは5つ星にしておこう。Smoke Sessions Recordsが自信を持って2枚組でリリースしたことにも納得がいく。ペイトンを初めて聴いたのは「Elvin Jones / Youngblood(92年)」だけど、本作のジャケ写がそのエルヴィンの「Elvin Jones and Richard davis / Heavy Sounds(67年)」を連想するのは私だけではないだろう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Relaxin' With Nick
Nicholas Payton
Smoke Sessions Rec
2019-10-25