Gilad Hekselman / Further Chaos

Gilad Hekselman (G)
Dayna Stephens (EWI)1, 3
Aaron Parks (Key)1, 3, 6
Kush Abadey (Ds)1, 3, 6
Rick Rosato (Ac-B)2, 4, 5
Jonathan Pinson (Ds)2, 4, 5

Front cover Photo: Caterina Di Perri
Mix & Master: Michael Perez-Cinseros
(Hexophonic Music HEX002)

1. Seoul Crushing 7:58
2. Toe Stepping Waltz 6:15
3. The Hunting 5:32
4. Teen Town (Jaco Pastorius) 7:48
5. A Part of the View (Mitti Caspi) 5:51
6. Body and Soul (Johnny Green) 6:18

ギラッド・ヘクセルマンは若手の中で最も好きなギタリスト。なので本作にもすぐに飛びついたのだが、よく見たらメンバーは2バンド体制だった前作「Gilad Hekselman / Ask for Chaos(18年、別頁あり)」と同じなんだね。曲によってはデイナ・スティーヴンスがアーロン・パークス、クッシュ・アバディ組の方(前作でいうところのZuperoctave)にEWIで新たに加わっているけれど、やっていることは前作とも変わりなく、Zuperoctaveではエレクトリックな演奏、またリック・ロサト、ジョナサン・ピンソン組の方(gHex Trio)はアコースティックな演奏と、これ1枚でヘクセルマンの双方の音楽性を堪能できる。Zuperoctaveでの1曲目「Seoul Crushing」では初期のWR的な曲調の中、ヘクセルマンとスティーヴンスがギンギンなプレイで攻めまくっているし(おそらくパークスの手弾きだと思うけど、ベースのラインも目茶苦茶カッコいい)、打って変わってgHex Trioでの2曲目「Toe Stepping Waltz」では正統的なジャズギターでじっくりと聴かせてくれるのだからなんともたまらない。以降の曲もエレクトリックとアコースティックな演奏が交互に収録されているけれど、本来ならばエレクトリックでやるべき「Teen Town」(4曲目)を、あえてアコースティックでやっているのはいいとして、「いったいこれのどこが『Teen Town』なの?」と思うぐらい全く別の曲と化しているのには違和感を感じる。なんて思いながら聴いていたら、5曲目が正真正銘の「Teen Town」じゃないの。これほど大きなクレジットの表記ミスは珍しいのだが、演奏自体は後半にドラムソロもあったりして最高にいい感じで楽しませてくれるし、続く6曲目も大好きな「Body and Soul」を実にいい雰囲気でやっているので、これでよしとしよう。ただしトータルで39分はあまりにも短すぎ。録音年月日が記されていないところをみると、もしかすると「Ask for Chaos」をレコーディングしたときの余り曲なのかもしれないけれど、演奏は甲乙付け難いので、最初から2枚組にしてもよかったのではと思う。
ということで「Ask for Chaos」の兄弟的アルバムの本作は、収録時間は短いながらも演奏、録音共に上々なのだが、ヘクセルマンだったらもっと凄いことができるはずなので、同じ4つ星に抑えておく。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


ファーザー・カオス (Further Chaos / Gilad Hekselman) [CD] [Import] [日本語帯・解説付]
ギラッド・ヘクセルマン
Hexophonic Music / King International
2019-11-09