Jacky Terrasson / 53

Jacky Terrasson (P, Korg Kronos-Key on track 11, Vocals on track 6)
Ali Jackson (Ds)1, 2, 5, 7, 13,15
Gragory Hutchinson (Ds)3, 4, 8, 9, 12
Lukmil Perez (Ds)6, 10, 13, 14
Thomas Bramerie (B)6, 10, 14
Géraud Portal (B, El-B)1, 2, 5, 7, 13, 15, 16
Sylvain Romano (B)3, 4, 8, 9, 12, 13
Séphane Menut (Vo)14
Philippe Gaillot (Vo)6

All songs recorded, mixed and mastered by Phipippe Gaillot at Recall Studio, Pompignan, France, 12 to 19 of June 2019
Cyril Brendis & Lucas Debieve: Assistant Engineers
Photos: Marc Obin / Slo Slo
Artwork: Raoul Sermeth / Slo Slo
(Blue Note 0808196)

1. The Call 4:03
2. Alma 4:20
3-4. Mirror - Jump! 1:49-3:02
5. Kiss Jannett for Me 7:13
6. Palindrome 3:31
7. La Part des Anges 3:36
8. Babyplum 3:13
9. What Happens au 6ÉME... 1:45
10. My Lys 6:28
11. Lacrimosa - Mozart : Requiem in D Minor 1:24
12. Nausica 3:38
13. This is Mine 4:45
14. La Part des Anges - Reprise 2:04 
15. Blues en Femmies Majeures 2:06
16. Resilience 3:19
All songs composed by Jacky Terrasson
"Lacrimosa - Requiem in D Minor" (Wolfgang Amadeus Mozart) arranged by Jacky Terrasson

近年はレーベルを渡り歩いている感のあるジャッキー・テラソンだが、本作では古巣のBlue Noteに戻っているのが興味深い。アリ・ジャクソン、グレゴリー・ハッチンソンをアメリカから招いての演奏は、前作「Jacky Terrasson / Take This(15年、別頁あり)」ほどではないけれど、キーボードを味付け程度に用いたりヴォーカル入りの曲もあり。またベースもウッドではなくエレべを弾いている曲があるものの、基本的にはアコースティックな純ジャズできちんと勝負しているので、散漫な印象を受けることはない。ジャクソンが参加しているトラックは比較的ゆったりとした曲調で、ハッチンソン参加のトラックは活きのいい演奏がメインとなっているけれど(特にアップテンポの3-4曲目「Mirror - Jump!」のブルース部分では容赦なくガツンとくる)、どちらの曲調であってもテラソンの饒舌ながらも歌心たっぷりのプレイが聴きものだし、いざというときのハンコック的なフレーズやアウトの仕方も相変わらずカッコいい。キューバ出身のルクミル・ペレスの、ジャクソン、ハッチンソンとはスタイルの異なったドラミングも悪くないし、ベーシストも自己のリーダー作「Thomas Bramerie Trio / Side Stories(18年)」でテラソンと共演しているトーマス・ブラメリーはもちろん、これが初聴きのジェロー・ポルタルとシルヴァン・ロマーノも遜色ないテクニックで楽しませてくれる。曲調に合わせてメンバーを代えているので、ただでさえ良い楽曲がますますいい感じに仕上がっているし、全16曲で2~3分の曲が多いながらも、美味しさがギュッと凝縮されているので、1曲1曲が短く感じることもない。欲をいうと3曲目のようなハードな演奏がもっとあってもよかったと思うのだが、その代わりにヴォーカル入りの6曲目「Palindrome」はPMG的に壮大だったりして、他の数曲も含めてこれまでのテラソンとはまた一味違ったアプローチも楽しめるので(バラード系では「Blue in Green」的な7曲目「La Part des Anges」が聴きもの)、これでよしとしよう。
4年ぶりに聴くテラソンだけど、やっぱりいいね。本作は録音も各楽器が非常にリアルながらも温かみのある音で録れているし、ドラムをちょっただけ奥に引っ込ませた音像バランスも演奏によくマッチしていて、オーディオ的な快感も味あわせてくれるので、オマケして5つ星にしておこう。アルバムタイトルの「53」は、テラソンの年齢から来ているようだ。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

53
Jacky Terrasson
Decca
2019-09-27