Victor Gould / Thoughts Become Things

Victor Gould (P, Composer)
Jeremy Pelt (Tp)
Godwin Louis (As, Ss)
Dayna Stephens (Ts)
Anne Drummond (Fl, Alto-Fl)
Vicente Archer (B)
Rodney Green (Ds)
Lucas Pino (Bass-Cl), Aaron Johnson (Bass-Tb)
Yoojin Park (Vln), Jim Tsao (Vln), Jocelin Pan (Viola), Susan Mandel (Cello)
Ismel Wignall (Per)

Sound Engineer: Chris Allen
Mixed and mastered by Dave Darlington
Victor Gould: Co-producer
Chan Jung: Co-producer
Jeremy Pelt: Co-producer
Recorded at Sear Sound Studio on December 10 & 11, 2018
Cover Art: Martel Chapman
Graphic Design: Irem Ela Yildizeli
(Blue Room Music 1006)

1. Thoughts Become Things 3:54
2. October 6:20
3. Brand New 4:19
4. Karma 5:49
5. Let Go 7:31
6. Inheritance 8:08
7. Palka Dots and Moonbeams 7:56
8. What Do We Need? 5:47
All songs composed by Victor Gould
except "Polka Dots and Moonberms" composed by Jimmy Van-Heusen

Jonathan Greenstein / Thinking(11年)」「David Gilmore / Transitions(17年)」「Jeremy Pelt / Make Noise!(17年)」「Jeremy Pelt / Noir En Rouge: Live in Paris(18年)」(各別頁あり)や、「Ralph Peterson / The Duality Perspective(13年、別頁あり)」の2曲に参加していたヴィクター・グールドの、「Victor Gould / Clockwork(16年)」「Victor Gould / Earthlings(18年、別頁あり)」に次ぐ3枚目のリーダー作。本作にもジェレミー・ペルト(コ・プロデュースも担当)、ゴードン・ルイス、デイナ・スティーヴンス、アン・ドラモンド、ヴィセンテ・アーチャー、ロドニー・グリーンの美味しいどころが参加しているので、もうそれだけでもそそられるし、実際の演奏もストリング・カルテット等が加わった室内楽的な場面はあるものの、そういうアンサンブルを過度に重視することなく、核となっているピアノトリオに焦点を当ててきちんと聴かせてくれるのがいい塩梅。この辺はピアニストのストリングス入りのアルバムの代表的な「McCoy Tyner / Fly With the Wind(76年)」にも通じるものがある。グールドのフレージングにはメロディアスな中にもモーダル感が満ち溢れているし、土台をガッチリと支えているアーチャーのベースもランニングだけで存在感がたっぷりだし、中堅どころのグリーンも若手の凄腕ドラマーに負けじと活力のあるドラミングをしているのが素敵。フロント陣が入れ代わり立ち代わりでアドリブを取っていのもいいアクセントとなっているし、8ビート系、4ビート、ラテンタッチな曲をテンポを変えながらバランスよく配しているのでリズム的にも退屈しないし、唯一のスタンダードナンバー「Palka Dots and Moonbeams」(7曲目)におけるグールドとペルトのデュオによるバラード演奏も心に染みわたるし、トータル約50分という長さもちょうどよくて(これ以上長いとくどく感じてしまうかも)、終始ノリノリで楽しむことができた。
バンドとしての演奏が良いのはもちろん、センスのいい作編曲にもオリジナリティが感じられるし、各楽器が温かみのある音で録れている録音もやっている音楽にもよくマッチしていて、本作は買って大正解。これを聴いてグールドのことがますます好きになった。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Thoughts Become Things
Victor Gould
CD Baby
2019-07-12