Alex Sipiagin / NoFo Skies

Alex Sipiagin (Tp)
Chris Potter (Ts)
Will Vinson (As)
John Escreet (P, Key)
Matt Brewer (Ac-B, El-B)
Eric Harland (Ds)
Alina Engibaryan (Vo)

Procuced by Alex Sipiagin and Chan Jung
Recorded by Mike Marciano of Systems Two at Samurai Hotel Studio, Astoria, New York on September 5-6, 2018
Mixed and mastered by Mike Marciano at Systems Two, Long Island, New York on October 2-9, 2018
Album Design & Photos: Bill Bramble
Band Member Photos: Teresa Lee
(Blue Room Music BRM 1005)

1. Rush 9:23
2. NoFo Skies 8:59
3. Recovery 8:53
4. Savoir 9:11
5. Sky 1 5:28
6. Shadows 10:28
7. Start Of... 7:06
8. Sky 2 4:00
9. Between AM's 8:41
10. For You 4:40
All compositions and arrangements by Alex Sipiagin
except "Between AM's" by Alina Engibaryan
All lyrics by Aline Engibaryan

アレックス・シピアギンの近作は、「Alex Sipiagin / Destinations Unknown(11年)」「Alex Sipiagin / Overlooking Moments(13年)」「Alex Sipiagin / Live at Smalls(13年)」「Alex Sipiagin / From Reality and Back(13年)」「Alex Sipiagin / Balance 38-58(15年)」「Alex Sipiagin / Moments Captured(17年)」「Alex Sipiagin / New Path 2(17年)」(各別頁あり)中の4作品が5つ星なのだが、「Moments Captured」と同じメンバー(クリス・ポッター、ウィル・ヴィンソン、ジョン・エスクリート、マット・ブルーワー、エリック・ハーランド、アリーナ・エンギバーヤン)でやっている本作もまた、ブレッカー・ブラザーズ的なテーマが目茶苦茶カッコいい1曲目「Rush」からして、早くも期待どおりのアグレッシブな展開となっていて実にいい塩梅。特にハーランドの高度なテクニックと斬新なアイデアを駆使しながらのスピーディなドラミングにはノックアウトされる。それは2曲目「NoFo Skies」以降も同様で、各人が本領を発揮しているのだからなんともたまらない。ゆったり目の3曲目「Recovery」、6曲目「Shadows」、9曲目「Between AM's」、10曲目「For You」にエンギバーヤンが参加しているのもいいアクセントとなっているし、エスクリートがアコピよりもエレピやシンセの方を多用しているのと、ブルーワーが半分ぐらいの曲でエレべを弾いているのも、非4ビートがメインのコンテンポラリーな演奏にはバッチリ嵌っている。演奏時間が長めの曲が続いているけれど、単にアグレッシブなだけではなく、動と静のバランスもきちんと考慮されているので、聴き疲れするようなことは全くなし。バンドとしてはもちろん、楽曲自体も優秀なおかげで、どの曲も「いいぞ、いいぞ」と思いながら聴いていたら、トータル77分があっという間に終わってしまった。トータルサウンド重視なので、シピアギン以外のメンバーのアドリブやソロを存分に堪能というわけにはいかないけれど、プレイ自体にカッコよさが濃縮されているので、これ以上は必要ないだろう。
過去のリーダー作を凌ぐほどの素晴らしい演奏には大満足だし、録音もマイク・マルシアーノらしい各楽器(ヴォーカル含む)の温かみのある音色が現代的な演奏に絶妙にマッチしていて、本作は当然ながらの5つ星。ここまで良いとなると、今年の私的ベストアルバムの上位は確実かもしれない。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Nofo Skies
Alex Sipiagin
CD Baby
2019-04-22