Stefon Harris + Blackout / Sonic Creed

Stefon Harris (Vib, Marimba)
James Francies (P, Key on 1, 3, 7)
Joshua Crumbly (B) Except 9
Terreon Gully (Ds) Except 9
Casey Benjamin (As on 1, 2, 4, 5 Ss on 6, 7 Vocoder on 3, 8)
Mike Moreno (G)1, 4, 5, 7, 8
Felix Peikli (Cl, Bass-Cl)1, 2, 4, 5, 6, 8
Special Guests:
Jean Baylor (Vo, Vo-Arrangements)3, 8
Regina Carter (Vln)8
Joseph Doubleday (Marimba)9
Daniel Frankhuizen (Cello)8
Pedrito Martinez (Per) 1, 2, 4, 6
Elena Pinderhughes (Fl)4, 8

Peoducer & Arranger: Stefon Harris (Arrangement on 4 by Omar Thomas)
Co-Producer: Terreon "Tank" Gully
Executive Producer: Jana Herzen
Recorded, Edited and Mixed by Joe Marciano, Systems Two Studios, Brooklyn, NY
Assistant Engineer: Max Ross
Recorded on April 6-8, 2017
Mastered by Max Ross at Systems Two Studios, Brooklyn, NY
Production Coordinator: Karen Kennedy
Production Assistant: Michele Wright
Project Managers: Robin Tomchin and Rachel Silton
Publicist: Jason Byrne
Photgraphy: Deneka Peniston
Design: Rebecca Meek
(Motema Music MTM0238)

1. Dat Dere (O. Brown, Jr. - B. Timmons) 5:22
2. Chasin' Kendall (S. Harris) 7:50
3. Let's Take a Trip to the Sky (S. Harris) 6:17
4. The Cape Verdean Blues (H. Silver) 5:48
5. Go (W. Shorter) 5:13
6. Song of Samson (L. K. Brown) 5:30
7. Throw it Away (A. Lincoln) 5:45
8. Now (B. Hutcherson - G. D. McDaniels) 6:43
9. Oone too Soon (L. A. Grossman - A. W. Kohan) 5:25

一時期はSF JAZZ Collective(「SF JAZZ Collective / Wonder: The Songs of Stevie Wonder(13年)」別頁あり)にも参加していた(今もかな?)ステフォン・ハリスのリーダー作を買うのは、共同名義の「Stefon Harris, David Sanchez, Christian Scott / Ninety Miles(13年、別頁あり)」を除くと「Stefon Harris & Blackout/Urbanus(09年、別頁あり)」以来9年ぶり。ハリスはボビー・ハッチャーソンの流れを汲みながらも未来志向の強いヴァイブ奏者というのがこれまで聴いてきた印象なのだが、本作でもジャケットからしてそんな感じの演奏(16ビート系が主体)が繰り広げられているのが私好み。1曲目「Dat Dere」はWR的なアレンジでノリノリに聴かせてくれるし、オリジナルの2曲目「Chasin' Kendall」もあえてジャズロック的な雰囲気を醸し出しながら、テーマ部分のサックスはWR的だったりするのが面白い。バラード調の3曲目「Let's Take a Trip to the Sky」には女性ヴォーカルが参加しているけれど、声質も含めてソウルフルな演奏にバッチリ嵌っているので、こういうのだったら全然オーケー。4曲目「The Cape Verdean Blues」ではブラジリアンな楽曲をますますカッコよく聴かせてくれるし(最後の方にはペドリート・マルティネスのコンガとテレオン・ガリーのソロ対決も用意されている)、ショーター曲の5曲目「Go」もテーマ部分のコロコロと変わる拍子が、いい意味で頭をパニック状態にさせてくれたりして、どの曲をとってもセンスのいいアレンジと演奏で楽しませてくれる。参加メンバーが多いし、トータルサウンドを重視しているので、ハリスの上手さをたっぷりと堪能というわけにはいかないけれど、それでも全編に渡って流石のプレイをしているし、ハリスと一緒にテーマをユニゾンで吹いていたりするキャッシー・ベンジャミンも、曲によってはエフェクターやヴォコーダまで用いて大活躍。マイク・モレノは多くの曲に参加しているわりには印象が薄いけど、その代りに場面によってはハンコックのヘッドハンターズを連想させるフェリックス・ペイクリ(?)のクラリネット、バスクラや、エレーナ・ピンダーヒューズのフルートが演奏上のいいアクセントになっているね。ジェイムズ・フランシーズとジョシュア・クランブリーは可もなく不可もなしといった感じではあるけれど、曲調にバッチリ嵌ったプレイに好感が持てるし、数曲でのマルティネスのコンガも素晴らしい。そしてなんといっても多くの過去作品にも参加しているガリー(今回はコ・プロデュースも担当)の、音的にも色彩豊かなドラミングがバンドとしての演奏をますますカッコいいものにしていて(中でもソンゴ調の6曲目「Song of Samson」でのプレイが素敵)、私としてはそれを聴いているだけでも幸せな気分になってしまった。
現代感覚溢れる演奏ではあるけれど、ヒップホップやR&B的な方向には行っていないのがなにより。本作は録音もこの手の音楽にありがちな無機質なものではなく、各楽器がちゃんと血の通った音で録れているし、ヴァイブやマリンバがスピーカーの前にせり出してくるのも快感で、オーディオ的にも満足させてくれる。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


SONIC CREED
STEFON/BLACK HARRIS
PIASU
2018-10-12