Lauren Sevian / Bliss

Lauren Sevian (Bs)
Alexa Tarantino (As)
Robert Rodriguez (P)
Christian McBride (B)
E.J. Strickland (Ds)

Producer: Marc Free
Engineer: Nick O'Toole
Asst. engineer: Michael Brorby
Recorded: September 19, 2017, Acoustic Recording, Brooklyn, NY
Mixed and Mastered: Woodland Studio, Lake Oswego, OR
Photography: Anna Yatskevich
Package design: Jamie Brunson
(Posi-Tone Records PR8184)

1. Triple Water 5:59
2. Square One 4:39
3. Bliss 4:31
4. Bluesishness 5:35
5. Goldies Chance 5:50
6. Miss Lady 5:45
7. Lamb And Bunny 4:45
8. In The Loop 6:45
9. Evergreen 6:22
10. Minimal Moves 4:52
All compositions by Lauren Sevian exept "Square One" by Alexa Tarantino

バックのメンバー買いした「Lauren Sevian / Blueprint(10年、別頁あり)」が相当良かったローレン・セヴィアンだけど、本作もまたベースが大好きなクリスチャン・マクブライドで、ドラムもEJストリックランドなのだから大いにそそられる。実際の演奏も1曲目「Triple Water」からセヴィアンが女性とは思えないほどパワフルなプレイで攻めているし、「The Rodriguez Brothers / Impromptu(15年、別頁あり)」以来聴くのは久しぶりとなるマイケル・ロドリゲスもコンピング、アドリブ共にテンションの高いプレイで応酬していて、実にいい塩梅。リズム隊が強靭なことも相まって、早くもノリノリで楽しませてくれる。でも2曲目「Square One」は同じ女性サックス奏者(アルト)のアレキサ・タランティーノの音楽性に合わせすぎたのか、1曲目ほどの凄みは感じないけどね。とはいえこの曲が続くバラード曲の3曲目「Bliss」へのいい橋渡しとなっているのでこれでよしとしよう。オーソドックスなブルース曲の4曲目「Bluesishness」も、テーマをあえてバリトンで吹くには大変そうな速いパッセージにしているところにセヴィアンの挑戦心が感じられるし、3拍子の5曲目「Goldies Chance」もリリカルな曲調ながらもアグレッシブに攻めているのが私好み。バリトン奏者の近作としては、ちょっと前に「Ronnie Cuber / Ronnie's Trio(18年、別頁あり)」を聴いたばかりだけど、テクニック的にも音楽的にもセヴィアンの方がはるかによく感じるのは、それだけバリトンの世界も進化しているのだろう。楽曲は4ビートがほとんどではあるも、中には7曲目「Lamb And Bunny」のように超アップテンポの曲まであったり、同じくアップテンポの10曲目「Minimal Moves」はコード進行が「Giant Steps」のもろパクリだったりして、こういうところからも彼女の難曲に挑戦しようとする意気込みがビンビン伝わってくる。もちろんそれだけではなく、数曲入っているバラード曲や8曲目「In The Loop」のような8ビート系の曲でのプレイも素敵だし、ロドリゲス、マクブライド、ストリックランドがいい仕事をしているのは当然として、3曲のみ参加のタランティーノのちょっとした癖が感じられるプレイも魅力的なおかげで、どの曲をとってもルンルン気分で楽しむことができた。
本作は演奏だけではなく、録音も各楽器の質感、バランス共に上々で、音的にも満足させてくれる。内容的には「Lauren Sevian / Blueprint」の方がもっと良かった気もするけれど、セヴィアンのように自分のツボにバッチリ嵌る現役のバリトン奏者はそうそういるものではないので、これはオマケして5つ星にしておこう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Bliss
Lauren Sevian
Posi-tone Records
2018-05-30