Tia Fuller / Diamond Cut

Tia Fuller (As, Ss)
Adam Rogers (G)
Sam Yahel (Or) 2, 7
James Genus (B) 1-3, 6, 10, 12
Dave Holland (B) 4, 5, 7-9, 11
Bill Stewart (Ds) 1-3, 6, 10, 12
Jack Dejohnette (Ds) 4, 5, 7-9
Terri Lyne Carrington (Per) 7, 8

Producer: Terri Lyne Carrington
Executive Producer: Gretchen Valade
EVP of A&R: Al Pryor
Production Manager: Will Wakefield
Production Manager for EP/LPG: Margo M. Davis
Recorded at: The Clubhouse, Rhinebeck, NY
Recording Engineer: Paul Antonell
Assistant Recording Engineer: Ru
Mixed at: Sear Sound, New York, NY
Mixing Engineer: Jeremy Loucas
Mastered by: Paul Blakemore
Photography/Wardrove Stylist: Jerris Madison
Photography Assistant/Set Design: Steven Blank
Makeup: Samantha Reese
Art Direction + Design: Raj Naik
Creative Services + Production: Maria Ehrenreich
Rrosuct Manager: Sharon Green
(Mack Avenue Records MAC1127)

1. In The Trenches 6:17
2. Save Your Love for Me 5:37
3. I Love You 6:21
4. Queen Intuition 5:58
5. Joe'n Around 4:13
6. Crowns of Grey 5:53
7. The Coming 6:56
8. Soul Eyes 5:39
9. Delight 5:00
10. Fury of Da'Mond 3:58
11. Tears of Santa Barbara 4:22
12. Joe'n Around (altarnate take) 3:07
All songs written and arranged by Tia Fuller
except "Save Your Love for Me" witten by Buddy Johnson, arranged by Warren Wolf
"I Love You" written by Cole Poter, arranged by Tia Fuller
"Soul Eyes" written by Mal Waldron, arranged by Tia Fuller

Tia Fuller / Angelic Warrior(12年、別頁あり)」に次ぐ、ティア・フラーの5枚目のリーダー作。今回はボス的存在であるテリ・リン・キャリントンのプロデュースの元、これまでとはメンバーを一新しているのが興味深いのだが、アダム・ロジャース、サム・ヤエル、ジェームズ・ジナス、デイヴ・ホランド、ビル・スチュワート、ジャック・ディジョネットの、そうそうたる面々によるレコーディングだけあって、実際の演奏も1曲目「In The Trenches」からアップテンポな4ビートでガツンといっているのがいい塩梅。メンバー各人の個性的なプレイに埋もれることなく、フラーがきちんと自己表現ができているのには、ここ5~6年の成長ぶりが感じられるし、オリジナルをメインとしながらの動と静のバランスもビート的なことを含めて悪くないのだが、しいていうならブチ切れている場面がもっと多い方が、バンドとしてもより熱い演奏が楽しめていたかもしれない。楽曲としては1曲目の他に、最初の部分がディジョネットとの対話的なデュオとなっていて、途中からはホランドも入ってくる5曲目「Joe'n Around」、スタンダードナンバーと勘違いしてしまうほどに上質な曲作りとなっているバラード曲の6曲目「Crowns of Grey」、いかにもコンテンポラリージャズといった感じのカッコいい曲調の中、ロジャースがジョンスコ的なアプローチを見せている10曲目「Fury of Da'Mond」、5曲目「Joe'n Around」の別バージョンをジナス、ビルスチュ組とやっている12曲目「Joe'n Around (altarnate take)」が特に気に入った。7曲目「The Coming」の出だしと終わりの部分や、続く8曲目「Soul Eyes」にはキャリントンがパーカッション(皮もの)で参加しているけれど、それもまたサウンド上のいいアクセント。他の曲も概ねいい感じで楽しめるのだが、2曲目「Save Your Love for Me」だけは、確かにケニー・ギャレットあたりもこのような大衆受けしそうなソウルフルな演奏をしていることがあるし、純ジャズ一辺倒ではないフラーがそういうのをやりたい気持ちも分かるけど、この曲だけ雰囲気が異なっているので、カットした方がアルバムとしての統一感が取れてよかったのではと思う。
フラーのプレイは「Angelic Warrior」以降も、「Terri Lyne Carrington / Money Jungle: Provocative In Blue(13年)」「Dianne Reeves / Beautiful Life(13年)」「Ralph Peterson / The Duality Perspective(13年)」「Terri Lyne Carrington / The Mosaic Project: Love and Soul(15年)」「Mack Avenue SuperBand / Live From The Detroit Jazz Festival 2014(15年)」「Lewis Porter / Beauty & Mystery(18年)」(各別頁あり)で聴いているけれど、全曲に参加しているアルバムはそんなに多くはなかったので、本作では久しぶりに彼女の魅力をたっぷりと堪能できた。流石にこれだけのメンバーだけあって演奏が良いのに加えて、録音も各楽器がやっている音楽によくマッチした骨太な音で録れていて、オーディオ的にも満足させてくれる。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


DIAMOND CUT
TIA FULLER
MACAV
2018-05-25