Edward Simon, Scott Colley, Brian Blade / Steel House

Edward Simon (P, Key)
Scott Colley (B)
Brian Blade (Ds, Pump-Or)
Rec. December 10-12, 2014, Sonoma County, CA
(Artist Share AS0156)

エドワード・サイモンのジョン・パティトゥッチ、ブライアン・ブレイドとのトリオ作品(「Edward Simon / Trio Live in New York at Jazz Standard(13年)」等別頁あり)には何度も期待を裏切られているのだが、本作ではベースがスコット・コリーに代わっているので、その辺で音楽的な変化があるのかないのか興味深いところ。ただし録音は古めで昨年Sunnysideからリリースされた「Edward Simon / Latin American Songbook(2015年8月録音、別頁あり)」よりも前なので、なんで今頃といった感はあるけどね。ちなみにArtist Shareからはコリー、ブレイドが参加している「Koppel + Colley + Blade / Collective(2014年5月録音、別頁あり)」がリリースされているので、本レコーディングはその流れだったのかもしれない。

サイモン曲が3曲、コリー曲が4曲、ブレイド曲が1曲で全8曲。
1曲目「Glad You're Here」はゆったりとした曲調で、しかもブレイドがドラムではなくオルガンを弾いているのだから、私好みでは全くない。でも2曲目「What If?」ではチック・コリアを意識したような演奏をしていて、ブレイドのドラミングも期待どおりにダイナミックなので、そんなこともどうでもよくなる。16ビート調の3曲目「Kingpin」ではコリーがノリのいいベースで聴かせてくれるし、4曲目「87.5% of You」以降もこのメンバーならではの聴き応えのある演奏が続いていて、ライブ盤を除く最初の2作品よりははるかにいい感じで楽しませてくれる。曲によってはシンセを味付け程度に用いていたり、コーラスが入っている曲もあったりするけれど、それらもまたサウンド上のいいアクセントとなっているね。全体的にゆったり目の曲が多いながらも、曲中で大きく盛り上がっていたりするので、テンポ的なことはあまり気にならないし、非4ビートがメインながらもリズムの変化に富んでいるのに加えて1曲だけ4ビートも取り上げているので、ビート的な不満も特には感じない。どの曲をとっても3人の持ち味がきちんと生かされていて、なおかつトリオとしても調和の取れた演奏が堪能できる。おそらくサイモンのオリジナルだけをやっていれば似たような曲が続いて単調になっていたと思うけど、自分の曲よりもコリーの曲を多く取り上げていて、それらがまた実にいいので(ブレイド曲の1曲目は「なんだこりゃ?」だけど)、本作の立役者はコリーといっていいだろう。とはいえこれだけのメンバーが揃っているのだから、もっとハードな曲があってもよかったのではと思う。
ということで、これまでのブレイド入りの4枚の中では一番気に入ったし、録音(エンジニアはStephen Hart)も各楽器の質感、バランスとも上々で(やっている音楽にもよくマッチしている)、手元には未聴新譜が他に3枚あるけれど、本作を今年の聴き納めにして正解だった。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Steel House
Edward Simon (piano/keyboards)
ArtistShare