Willie Jones III / My Point Is...

Willie Jones III (Ds)
Eric Reed (P)
Buster Williams (B)
Eddie Henderson (Tp)
Ralph Moore (Ts)
Rec. March 7, 2016, NY
(WJ3 Records WJ31018)

ウィリー・ジョーンズIIIの自主レーベルWJ3からのリーダー作の7枚目。メンバーのエリック・リード、バスター・ウィリアムス、エディ・ヘンダーソンは前作「Willie Jones III / Groundwork(16年、別頁あり)」から引き続きなのだが(リードは全アルバムに参加)、今回は新たにラルフ・ムーアが参加しているのが興味深い。同じラルフでもボウエンの方は活躍ぶりがよく目立つけど、ムーアはここ20年ぐらいは聴いた記憶がないので(Criss Crossへの吹込みも「Brian Lynch Quintet/Sextet / At The Main Event(93年)」が最後)、近年はどういうプレイをしているのか楽しみだ。

ジョーンズIII曲が3曲、リード曲が1曲、ウィリアムス曲が2曲、ハンコックの「The Maze」、ホレス・シルヴァーの「Peace」で全8曲。
フロントに2管を配した典型的なハードバップ路線なのは「Groundwork」等とも変わりはないのだが、一番多くアドリブを取っているヘンダーソンの次に目立っているように感じるのがリードなのは、人間味があふれるプレイをしているから。音数はあえて少な目に弾いているけれど、それが一音一音の重みやノリのよさに繋がっているね。ムーアもコルトレーンやブレッカーのような私好みの奏法で吹いてはいるけれど、存在感のあるリードと一緒では影が薄く感じてしまうので、どうせやるのならもっとガツンといって欲しかった。それでようやく華のあるプレイで聴かせるヘンダーソンともバランスが取れると思うし、リードと同様に存在感のあるリズム隊のウィリアムスとジョーンズIIIの方に耳が向いてしまうといったこともなくなるのだが、その辺は久しくレコーディングから遠ざかっていたために勘が鈍っていることが一番の要因なのだろう。そんなムーアだけはいい感じに吹いているわりにはいまいちパッとしないものの、他のメンバーは全員が魅力的なプレイをしているし、既成曲を含めた楽曲もどれもが良好なおかげで、最後までノリノリで楽しむことができる。ドラム好きとしてはジョーンズIIIが数曲でドラムソロも取っていて、中でもアップテンポの8曲目「Blues for Dat Taz」では、右手でライドシンバルを普通に刻みながらスネアやバスドラ等で自在にソロを取るといった、パッと聴きでは派手さは感じないものの、テクニック的にはまるで2人で叩いているかのような高度な奏法が目茶苦茶カッコいい。他の曲でも上手さとセンスのよさがきらりと光っているね。
よくあるタイプのハードバピッシュな演奏ながらもマンネリに感じるようなことは一切なくて、本作は買って大正解。録音(エンジニアはマイク・マルシアーノ)も各楽器の音質、バランス共に申し分がなくて、音的にも満足させてくれる。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


My Point Is
Willie Jones III
Wj3 Records
2017-10-20