Junko Onishi Trio / Glamorous Life

Junko Onishi (P)
Yosuke Inoue (B)
Shinnosuke Takahashi (Ds)
Rec. September 4-5, 2017, Tokyo
(Somethin'Cool-disk Union SCOL1025)

大西順子のアルバムを買うのは「Junko Onishi/Baroque(10年、別頁あり)」以来。その間にも「Junko Onishi / Tea Times(16年)」というのがリリースされているし、本作と同時にバラッド・アルバム「Junko Onishi / Very Special(17年)」もリリースされているのだが、この2枚は私には合わなさそうなのでパスしている。大西のピアノはトリオでこそ威力を発揮すると思っているのだが、実際に生で観た2016年の南郷ジャズフェスでのトリオ(大西、井上陽介、山田玲)も、原大力が参加していたころの初期のトリオや、テリ・リン・キャリントンとの女性だけのトリオと同様に素晴らしかったので、今回はドラムスが高橋信之介に代わっているけれど、本作には期待している。

大西曲が5曲と、Nick Larocca他の「Tiger Rag」、Hasaan Ibn Aliの「Almost Like Me」、ジョー・ザヴィヌルの「Fast City」、David Holmesの「7/29/04 The day Of (from "Ocean's 12")」で全9曲。
昨年の南郷ジャズでもやった曲が入っているのかは記憶が定かでないのだが、1曲目「Essential」では静かな佇まいの曲調となっていて(ピアノの弾き方も女性的)、これまでの大西はいったいどこに行ってしまったんだろうと思っていると、曲途中でいきなりガツンとくるのが意表を突く。曲の持っていき方はひねり過ぎの感はあるものの、こういうのも全然オーケー。2曲目「Golden Boys」はいよいよ本領発揮で、男性的にガンガン弾きまくっているけれど、大西の出方に合わせていながらもプレイ自体に存在感が感じられる井上のベースや、容赦なく攻めている高橋のドラミングとの相乗効果で目茶苦茶カッコいいことになっているし、続く3曲目「A Love Song (a.k.a Kutoubia)」以降も総じていい感じで楽しませてくれる。聴く前はドラムスは山田の方がコンテンポラリー色が強くていいのではと思っていたけれど、高橋もあちこちからお呼びがかかる人だけあって、曲調にバッチリ嵌ったプレイをしているのだから流石だね。5曲目「Tiger Rag」からは他人の曲も登場するけれど、逆に大西色を強めた演奏をしているので、曲調的な違和感を感じることは全くないし、全体的にゆったりめの8ビート調の曲が多いわりには変化に富んでいるので、単調に感じることもなし。8曲目では「Fast City」を4ビートとの複合でやっているけれど、この大好きな曲を原曲以上にアグレッシブに演奏しているのだから嬉しくなってしまう。またラストの「7/29/04 The day Of (from "Ocean's 12")」も、今までになかったほどのロック調で爽快な気分を味わせてくれる。
大西のアルバムを聴くのは久しぶりだけど、やっぱりいいね。これで井上や高橋のソロもふんだんに用意されていれば更によかったと思う。本作は演奏だけではなく、録音(エンジニアはShinya Matsushita)も温かい音色の各楽器がバランスよく録れていて好感が持てる。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Glamorous Lifeグラマラス・ライフ
Junko Onishi Trio
DIW/SOMETHIN'COOL
2017-11-15