Jing Chi / Supremo

Robben Ford (G, Or, P)
Vinnie Colaiuta (Ds)
Jimmy Haslip (B, Additional-Syn)
Horns: Jeff Coffin (Sax), Mike Haynes (Tp)
Vince Gill (G)7
Rec. 2017?, IN, CA, TN
(Tone Center TC4101)

Jing Chiのアルバムを買うのは「Jing Chi/3D(05年、別頁あり)」以来なので、12年ぶりということになるけれど、その間も不定期ながらバンドとしての活動をしていたのか、あるいはリユニオン的に再結成したのか興味深い。ネット上にライブ情報が上がっていた記憶はないので、おそらく後者だと思うけど、いずれにしてもビニー・カリウタとジミー・ハスリップは大好きなプレイヤーだし、ロベン・フォードも好みの音楽路線とは違うけど、ギタリストとしては嫌いではないので、久しぶりにこの3人でやっている演奏を聴けるのが嬉しい。

フォード曲が9曲と、ハスリップとの共作が1曲で全10曲。
これまでと同様にかなりロック寄りのフュージョンをやっているけれど、近年はテクニカルなハードフュージョンものしか好んで買わなくなっているので、こういう明確なメロディとビートの演奏は逆に新鮮に感じる。といっても3人ともシンプルなプレイに徹しているわけではなく、持ち前のテクニックはさり気なく聴かせてくれるけどね。その辺の匙加減が絶妙なのに加えて、オーバーダブを施しているフォードのギター(他にオルガンやピアノも担当、またハスリップもシンセでバッキングをつけている)やホーンセクションがとてもいいアクセントとなっていて、どの曲もそれなりにいい感じではあるのだが、1曲目「The Majestic」や2曲目「Better Times」等はフェードアウトで終わっているし、他の曲も総じて演奏時間が短めなのは気になるところ。この3人のことなので、さすがにBMG程度とまではいかないものの、神経を集中させて聴く気にはならないし、全ての曲がフォードのワンマンなプレイに終わっていて、カリウタにソロの見せ場はなし、ハスリップもラスト曲の最後の方でソロを取っているだけなのもいかがなものか。フォード名義のアルバムであればこれでも全然かまわないけれど、Jing Chiというバンド名でのリリースなのだから、その辺をちゃんと考慮したアルバム作りにする必要があると思うけどね。ソロがないのは仕方がないとしても、私なんかはカリウタのトリッキーなプレイを期待して買っているわけなので、ここまでまっとうなドラミングをされては拍子抜けしてしまう。今回はフォードが歌っていないのは唯一の救いだけど、やっている音楽は決して悪くないながらも、上記理由により変なモヤモヤ感が終始付き纏ってしまった。
ということで本作はワタシ的にはハズレ。これよりだったらハスリップやカリウタのプレイを楽しめるアルバムは他にいっぱいある。録音(エンジニアはMark Hornsby、Ozzie Doniz、Jeff Evans)も音質的には特に不満は感じないものの、オーバーダブや場所を変えたりしてホーンセクション等を別録りしているせいで、演奏的にはバンドとしての一体感や、相手の出方に対しての絡みのようなものに欠けているしね。演奏をゴージャスにしたい気持ちは分かるけど、それならば最初から同時録音でやって欲しいものだ。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

Supremo
Jing Chi
Shrapnel
2017-10-27