Dianne Reeves / Light Up the Night: Live in Marciac

Dianne Reeves (Vo)
Peter Martin (P)
Romero Lubambo (G)
Reginald Veal (B, Background-Vo)
Terreon Gully (Ds, Background-Vo)
Gregoire Maret (Harmonica)
Rec. 2016?, Live in Marciac, France

ヴォーカルものにはほとんど興味がないのだが、ダイアン・リーヴスは嫌いではないし(近作の「Dianne Reeves / Beautiful Life(13年、別頁あり)」はイマイチだったけど)、バックのメンバーもピーター・マーティン、レジナルド・ヴィール、テレオン・ガリー、グレゴア・マレと美味しいどころが揃っているので、本作を買わないわけにはいかないだろう。ギターのホメロ・ルバンボも含めて「Beautiful Life」にも参加していた面々ではあるし、テリ・リン・キャリントンがプロデュースしているのも同様ではあるけれど(リーヴスとの共同プロデュース)、今回は全曲をメンバー固定でやっているライブ盤なので、それなりの演奏が期待できそうだ。

リーヴスとEduardo del Barrioの共作が1曲、マーティン、ガリーとの共作が1曲、マレ曲が1曲、スティーヴィー・ニックスの「Dreams」、パット・メセニーの「Minuano」、ショーターの「Infant Eyes」、マイルスの「All Blues」、Arden Altinoの「Beautiful」で全8曲。
スタンダードの歌ものはあまり歌わないリーヴスらしく、本作でも器楽演奏向きの曲を取り上げているのだが、かといってスキャットの引き出しが多くないのには、逆に人間味が感じられて好感が持てる。おそらくリーヴスはバックバンドを従えて女王様的に歌うといった図式ではなく、バンドと同化して歌いたいという気持ちを持っているのだと思うけど、だからこそ私のように歌聴きではなく演奏聴きであってもすんなりと受け入れることができるんだよね。それはヴォーカルの他にピアノも弾けるダイアナ・クラールやイリアーヌにも言えることだけど、ここではメセニーの「Minuano」(2曲目)、ショーターの「Infant Eyes」(4曲目)、マイルスの「All Blues」(5曲目)を取り上げていて、しかも相当いい感じの演奏となっているのだから嬉しくなってしまう。当然ながらバックのメンバーも曲調に応じながら最良のプレイで聴かせてくれるのだが、ピアノトリオにギター、ハーモニカという変則的かつシンプルな編成(更に曲によっては誰かが休んだりしている)のおかげで、各人が持ち味を活かした個性的なプレイをしていながらも焦点はヴォーカルにきちんと合っていので、これは編成的にも大成功といっていいだろう。ただし中盤あたりからはゆったり目の曲が続いているので、聴いているうちに少々退屈してくるけどね。リーヴスの根底にあるアフリカ的なものはちゃんと伝わってくるし、お客さんを乗せようとしてコールアンドレスポンスをやっているのもいいことだけど、せっかくのライブなのだから、昔のようにイケイケな曲がもっとあってもよかったのではと思う。
ということで全てに共感できるといったわけではないけれど、ヴォーカルものとしては自分好みの演奏が堪能できた。本作は録音(Live Sound By Paul Boothe, Mixed by Jeremy Loucas and Terri Lyne Carrington)も、ヴォーカルと各楽器が非常にバランスよく録れていて、その音質共々上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Light Up the Night
Dianne Reeves
Concord
2017-09-22