Blue Note All-Stars / Our Point of View

Ambrose Akinmusire (Tp)
Marcus Strickland (Ts)
Lionel Loueke (G, Vo)
Robert Glasper (P, Rhodes)
Derrick Hodge (Ac-B, El-B)
Kendrick Scott (Ds)
Guests: Wayne Shorter (Ss), Herbie Hancock (P) Disc Two 1
Rec. 2017?, CA
(Blue Note 5777491)

流石にBlue Note All-Starsと銘打っているだけあって、NYの第一線で活躍中のそそられる面々が揃っているのだが(1曲にはウェイン・ショーターとハービー・ハンコックも参加)、HMVレビューによると、「2014年に同レーベルの75周年を記念して集結。その年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでライヴ・デビュー。その後も何度かライヴを行っていたが、ついに今年アルバム・リリースが実現」なのだそうだ。プロデュースはロバート・グラスパーと現社長のドン・ウォズが担当。これだけのメンバーで、はたしてどういう演奏を繰り広げているのか楽しみだ。

アンブローズ・アキンムシーレ曲が2曲、マーカス・ストリックランド曲が1曲、リオーネル・ルエケ曲が1曲、グラスパー曲が2曲、デリック・ホッジ曲が2曲、ケンドリック・スコット曲が1曲、ショーターの「Witch Hunt」「Masquelero」で全11曲(ディスク1が6曲、ディスク2が5曲)。
レコーディングの前に既に数回のライブを行っているだけあって、単なる顔見世的なセッションではない、バンドとしてよく練られたコンテンポラリーな演奏が展開されている。グラスパー曲の1曲目「Bruce's Vibe」はしゃべりもありのプロローグ的な曲なのでさておき、2曲目「Cycling Through Reality」(スコット曲)からは各人が本気モードで攻めていて、目茶苦茶カッコいいことになっているね。特にグラスパーはCriss Cross以降の自己のリーダー作ではもっと聴きやすいというか大衆受けする音楽をやっているだけに、久しぶりにガツンとくるプレイが聴けて嬉しい限り。またアキンムシーレとストリックランドもそれに負けじと容赦なくいっている。更にはルエケの個性的なギターもいいアクセントとなっているけれど、この4人がエネルギッシュなプレイができるのも、ボトムをガッチリと支えているホッジと、常にバイタリティー溢れるドラミングでバンドを鼓舞しているスコットがいるからこそだろう。ただでさえやり手の面々が一堂に会したことによる相乗効果で、ますますテンションの高いプレイで聴かせてくれる。オリジナル曲を持ち寄っていることもあって、同じ雰囲気の曲調が続いていないのもいい塩梅。非4ビートがメインではあるけれど、ディスク1の4曲目「Henya」(アキンムシーレ曲)はトランペットの多重録音とベース、ストリングス(もしかするとホッジの多重録音かも)だけによるドラムレス演奏、続く5曲目「Witch Hunt」(ショーター曲)はマイルス・クインテットを思いっきり意識した4ビート演奏と、曲によってはビートや編成を変えたりもしているので、2枚ぶっ通しで聴いても冗長な印象を受けることなく、ディスク2でルエケが歌っている曲が多いのは気にならなくもないものの、最後までノリノリで楽しませてくれる。曲によっては手に汗握るスリルと興奮まで味わえて、もうこれだけ私好みの演奏(しかも想像していた以上にシリアス)をされてしまっては文句のつけようがない。ソロイストが多いにもかかわらず、リズム隊の2人のソロが堪能できる曲もきちんと用意されているし、ディスク2の1曲目「Masquelero」に参加しているショーターとハンコックの気合も相当入っている。
Blue Note All-Starsという名前負けは全くしていない素晴らしい演奏に加えて、録音(エンジニアはKeith Lewis)も各楽器が過不足のない良い音(音楽的にもオーディオ的にも)で録れていて、本作は当然ながらの5つ星。これは今年の私的ベストアルバムの上位に食い込むのも確実だろう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Our Point of View
Blue Note All-Stars
Blue Note Records
2017-09-29