Tommy Smith / Embodying the Light

Tommy Smith (Ts)
Pete Johnstone (P)
Calum Gourlay (B)
Sebastiaan de Krom (Ds)
Rec. April 2017, Scotland
(Spartacus Records STS025)

昔はバックのメンバーに釣られて買っていたトミー・スミスを聴くのは「Tommy Smith Sextet/Evolution(05年、別頁あり)」以来。本人のサイトを見ると、その間にもアルバムはコンスタントにリリースされているけれど、メンバーにそそられなかったりビッグバンド作品だったりして、自分の好みの方向からは遠ざかっていたところにジョン・コルトレーンに捧げた本作が登場したので、興味津々買ってみた。イギリスのジャズには疎いので、「Kit Downes Trio/Golden(09年、別頁あり)」に参加していたベースのカラム・グーレイ(?、1986年生まれ)以外のピート・ジョンストンとセバスチャン・デ・クロムは知らない人だけど(おそらく3人とも普段からトミーと一緒にやっているのだろう)、経歴等はいちいち調べるのも面倒なので割愛する。

スミス曲が3曲、コルトレーンの「Dear Lord」「Naima」「Resolution」「The Father, the Son, and the Holy Ghost」「Transition」、ガーシュウィンの「Summertime」で全9曲。
近年のコルトレーン的な演奏としては、「Doug Webb / Another Scene(14年、別頁あり)」や「Ondřej Štveráček Quartet feat. Gene Jackson / Sketches(17年、別頁あり)」が愛聴盤となっているけれど、本作も楽曲自体がコルトレーンの曲を取り上げていることもあって実にいいね。コルトレーンのスタイルをマイケル・ブレッカー風の現代的な解釈で吹いているスミスといい、ハンコック的なモーダルさとアウトのしかたが特徴的なジョンストンといい、「Impressions」のコード進行をパクったと思われるオリジナルの1曲目「Transformation」からして、目茶苦茶カッコいいことになっている。もうこの1曲だけでも買ってよかったという気分になっているのに、さらりとした演奏の2曲目「Dear Lord」もまたコルトレーンをリスペクトしつつ都会的なセンスで聴かせてくれるし、オリジナルの3曲目「Enbodying the Light」も、「Bessie's Blues」とどこが違うのというぐらいに、コード進行だけではなくテーマまでよく似た曲となっているのだから、コルトレーン好きとしては何ともたまらない。この曲ではグーレイもベースソロで大活躍しているし、続くジョンストンもハンコックにチック・コリア的なものまで加味しながら1曲目以上にカッコよく弾きまくっているし、その後のスミスもコルトレーンが乗り移ったかのように容赦なく吹きまくっているのだから、完全にノックアウト。更には「Naima」「Resolution」「The Father, the Son, and the Holy Ghost」「Summertime(アレンジが実にカッコいい)」「Embodyin the Darkness(オリジナル曲)」「Transition」が怒涛のように続いていて、しかもどの曲をとっても非常に聴き応えのある素晴らしい演奏となっているのだから(ドラムスのクロムもパンチの効いたプレイが魅力的)、こんなに嬉しいことはない。昔のスミスはどことなく線が細い印象だったけど、私が聴いていなかった12年間で見事な変貌を遂げているね。本演奏ではブレッカーと比較しても遜色ないテクニックと、自信に満ち溢れている情熱的なプレイで、至福のひとときを味あわせてくれる。
ということで演奏には文句のつけようがないし、録音(エンジニアはStuart Hamilton)も各楽器の音質、バランス共に良好で、本作は当然ながらの5つ星。スミスと同様に感銘を受けたジョンストンにも、これからは注目するとしよう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


EMBODYING THE LIGHT
TOMMY SMITH
SPART
2017-07-28