Russell Malone / Time for the Dancers

Russell Malone (G)
Rick Germanson (P)
Luke Sellick (B)
Willie Jones III (Ds)
Rec. February 28, 2017, NY
(HighNote Records HCD7305)

前作「Russell Malone / All About Melody(16年、別頁あり)」と同一メンバーによるHighNoteからの3枚目。ラッセル・マローンのプレイはその間にも「Jeff "Tain" Watts / Blue Vol. 2(17年、別頁あり)」中の1曲や、「Diana Krall / Turn Up The Quiet(17年、別頁あり)」中の3曲で聴いているけれど、どれをとってもオーソドックスを絵に描いたようなプレイで楽しませてくれる。近年は8ビート系の曲なんかではエフェクターを使ってロック調に弾いていたりもするけれど、それもまたマンネリ防止へと繋がっていて、私としては好印象。本作はタイトルやジャケ写からしてダンス的なものをテーマにしているような感じだけど、考えてみるとジャズもスウィング時代はダンス音楽だったわけなので、ギターの奏法だけではなくジャズの伝統も重んじるマローンが、ダンス(現代的なものも含めて)をテーマにアルバムを作ってみようと思ったのは当然の成り行きなのかもしれない。

マローン曲が4曲と、ローランド・ハナの「Time for the Dancers」、ペギー・リー/H. Wheelerの「There'll Be Another Spring」、ホセ・フェリシアーノの「Theme from "Chico and the Man」、ビリー・ジョエルの「And So It Goes」、ボビー・ハッチャーソンの「Little B's Poem」で全9曲。
想像していたのとは異なり、アルバムタイトルとなっている1曲目「Time for the Dancers」からして特にダンスを意識したような演奏にはなっていないけど(トニー・ウィリアムスがよくやっていた「ウン・ンタタン・トン」というリズム)、ロニー・スミスに捧げたと思われるファンク調の2曲目「Leave It to Lonnie」が16ビート、南部ブルース的な臭いがする12/8拍子の3曲目「The Ballad of Hank Crawford」等、今回は4ビートの割合が少ないところをみると、いろんなビートで乗って欲しい(その延長線上にダンスがある)ぐらいの意味合いなのだろう。あるいは「Time for the Dancers」に合わせたジャケ写にしただけであって、そもそもダンスがアルバムのテーマではなかったとか。いずれにしてもどの曲を取ってもいい感じで楽しめることに変わりはないだが、マローンの上手さは当然として(2曲目のような曲ではギターのトーンを変えて弾いているのもグッド)、今回はリック・ジャーマンソンの上手さもきらりと光っているね。バッキングにしてもアドリブにしても曲調によくマッチした、いい意味でそつのないプレイが素晴らしい。またルーク・セリックのベースも的確だし、ウイリー・ジョーンズIIIも2曲目ではロング・ドラムソロで大張り切りしていて、各人が曲調の範囲内で自分の持ち味をきちんと発揮しているおかげで、バンドとしてもノリのいい演奏が堪能できる。7曲目「And So It Goes」をクラシカルな感じ(アルペジオを多用)のソロギターでやっているのもマローンにしては珍しいし、先日聴いたばかりの「Cyrus Chestnut / There's a Sweet, Sweet Spirit(17年、別頁あり)」にも収録されていたハッチャーソンの名曲「Little B's Poem」を、こちらでも8曲目でやっているのも嬉しい限り。落ち着いた曲が多いので、個人的にはもっとガツンとくる曲が1曲ぐらいはあってもいいような気がするのだが、1曲1曲が非常にいい雰囲気なので、そんなこともどうでもよくなる。
演奏自体は前作とも大きくは変わらないけど、そこがマローンのいいところ。オーソドックスな演奏スタイルは昔から確立されているので、マンネリに感じさせない限りはわざわざ変える必要もないだろう。あとはメンバーの変更でどうにでもなる。本作は録音(エンジニアはマイク・マルシアーノ、ミックスとマスターは内藤克彦)も各楽器が温かい音色で録れていて、そのバランス共に上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


TIME FOR THE DANCERS
RUSSELL MALONE
HIGNO
2017-07-21