Makoto Ozone

Makoto Ozone (P)
James Genus (B)
Clarence Penn (Ds, Per)
Rec. February 8-10, 2017, NYC
(Universal Classics & Jazz - Verve UCCJ2144)

小曽根真のジェームス・ジナス、クラレンス・ペンとのThe Trio名義のアルバムは、DVD作品の「Makoto Ozone The Trio/Alive!!(07年、別頁あり)」以来ということになるのかな。CDとしては「Makoto Ozone The Trio/Real(05年、別頁あり)」以来だと思うけど、初代ベーシストである北川潔の時代も含めて好きなトリオだったので、久しぶりのレコーディングは嬉しい限り。小曽根はThe Trio以降の「Makoto Ozone, Christian McBride, Jeff "Tain" Watts / My Witch's Blue(12年、別頁あり)」や、サイド参加の「The Dave Weckl Acoustic Band / Of the Same Mind(15年、別頁あり)」等でも素晴らしいプレイをしているので、本作にも期待している。

全9曲が小曽根のオリジナル。
The Trioという名前に相応しい、小曽根だけではなくリズム隊の2人にもきちんとスポットを当てた演奏となっているけれど、特に今回はジナスが多くの曲でソロを取っているのが演奏上のいいアクセントにもなっているね。トリオとしては全体的にこじんまりと纏まっているので、ペンの出番は思ったほど多くないけれど、それでも1曲目「Dues」、6曲目「M.C.J.」、8曲目「Tag Me, Tag You」ではいい感じのソロを取っているし、その6曲目ではドラムセットにローチューニングのサイドスネアを追加してみたり、サンバ調の5曲目「Flores Do LiRio」ではパーカッションもオーバーダブで叩いていたりと、曲によっては音的にもカラフルなプレイをしているので、バッキングだけでも十分に楽しむことができる。流石に小曽根だけあって、ピアノの上手さだけではなく楽曲自体もよく練られていて、ファンキー調の1曲目はホレス・シルヴァー的な雰囲気を醸し出していながらも、アドリブに入ってからはモーダルさも感じさせるのが素敵だし、3拍子(6/8拍子)の2曲目「Wishy Washy」には部分的にミュージカル的なものが感じられるし、3曲目「Mirror Circle」ではタンゴ的な要素をうまく取り込んでいたりと、どの曲をとってもセンスのいいアプローチで聴かせてくれる。その中でも特に6曲目は、ただでさえカッコいいドン・グロルニックの「Nothing Personal」を現代的にしたような感じで大いに気に入ったのだが、アルバムとしては落ち着いた感じの曲が多く収録されているし、ラスト曲の9曲目「Time Thread (for Bill Evans)」もバラードで締めているので、こういうバイタリティーのある曲をもっと増やした方が聴き終わった後の満足感がより得られていたのではと思う。
ということで、私好みのハードな演奏がメインといったわけではないけれど、久しぶりにThe Trioとしての演奏を堪能できたのに変わりはないので、これでよしとしよう。本作は録音(エンジニアはAkihiro Nishimura)も、ピアノは少々綺麗すぎるような気がしないでもないものの(もしかするとSHM-CDだからかも)、力感のあるベースや、繊細ながらもダイナミックなドラムスとのバランスは良好だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


ディメンションズ
小曽根真 THE TRIO
ユニバーサル ミュージック
2017-08-02