Alex Sipiagin / New Path 2

Alex Sipiagin (Tp, Flh)
Hiske Oosterwijk (Vo)
Boris Kozlov (B)
Misha Tsiganov (P, Rhodes, Minimoog)
Donald Edwards (Ds)
Rec. 2014?, NJ
(Butman Music IB74002)

アレックス・シピアギンは現在最も好きなトランぺッター。テクニックがどうこう以上に、その音楽性が大好きなんだよね。なので本作にもすぐに飛びついたのだが、よく見たら2015年のリリースだし、シピアギンと同様Opus 5(「Opus 5 / Tickle(15年)」等、別頁あり)のメンバーでもあるボリス・コズロフ、ドナルド・エドワーズや、3人との関わりも深いミシャ・シガノフ(「 Misha Tsiganov / Dedication(12年、別頁あり)」「Misha Tsiganov / The Artistry Of The Standard(14年、別頁あり)」「Misha Tsiganov / Spring Feelings(16年、別頁あり)」)の参加にはそそられるものの、女性ヴォーカリストのイスク・オーステルヴェイク(?、オランダ出身のよう)が全面的にフィーチャーされているので、最新作である「 Alex Sipiagin / Moments Captured(17年、別頁あり)」ほどの期待はしていない。

全7曲がシピアギンのオリジナル。
いかにもシピアギンらしいコンテンポラリーなジャズ(非4ビート)が展開されている。まずは懸念していたオーステルヴェイクのヴォーカルだけど、一応歌詞は付いているものの、他の楽器とユニゾンでスキャット的に歌っている場面がほとんどで、サイド参加のときのグレッチェン・パーラトあたりの歌い方とも変わらないので、こういうのだったら全然オーケー。ただし曲によってはヴォーカルにスポットが当たりすぎているような気がしないでもないけどね。その分シピアギンが活躍する場面が少なくなっているけれど、今回は自分よりもオーステルヴェイクを多くの人に知ってもらうためのアルバム作りだと思うので致し方ないだろう。その代わりに楽曲の方はシピアギン節が満載なので、これまでのリーダー作やメンバーがダブっているOpus 5 と比べて違和感を覚えることもない。似たような曲調が続いてしまっているのは気になる部分ではあるけれど、どの曲をとってもシピアギンの上手さは相変わらずだし、シガノフのエレピやシンセによる曲調にバッチリ嵌ったプレイも素敵だし(アコピを使う場面はもっと増やしてもよかったと思う)、土台をガッチリと支えているコズロフの力強いベースも実にいい。エドワーズだけは、ここ何枚か続けて視聴したルディ・ロイストンやエリック・ハーランドと比較するとテクニック的にもアイデア的にもイマイチだけど、今回はあくまでもヴォーカルがメインなので、これ以上のドラミングを望んでも意味がないだろう。楽曲的には5拍子基調の1曲目「Returning」、7/8拍子の4曲目「Afternoon Dreams」、10/8拍子の7曲目「Videlles Dreams」が特に気に入った。
ということでヴォーカルがフィーチャーされているわりにはいい感じの演奏が堪能できるし、録音(エンジニアはTedesco Recording Studioの人)も各楽器の音質、バランス共に上々で、日本でのリリースは2年遅れではあるけれど、それだけの価値がある作品に出会えて嬉しく思っている。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)