Ambrose Akinmusire / A Rift in Decorum

Ambrose Akinmusire (Tp)
Sam Harris (P)
Harish Raghavan (B)
Justin Brown (Ds)
Rec. 2016?, at The Village Vanguard, NY
(Blue Note 00602557649703)

Blue Noteからの2作品(「Ambrose Akinmusire / When the Heart Emerges Glistening(11年、別頁あり)」「Ambrose Akinmusire / The Imagined Savior Is Far Easier to Paint(14年、別頁あり)」がなかなかよかったアンブローズ・アキンムシーレだけど(リーダー作は他にもFSNTからの「Ambrose Akinmusire/Prelude(08年)」があり)、本作は上記2枚にも参加しているハリッシュ・ラグハヴァンとジャスティン・ブラウン、「The Imagined Savior Is Far Easier to Paint」から参加のサム・ハリスとの2枚組ライブ盤。アキンムシーレはサイド参加の「Walter Smith III / Still Casual(14年)」「 Tom Harrell / Something Gold, Something Blue(16年)」「Wolfgang Muthspiel / Rising Grace(16年)」(各別頁あり)でも非常にいい仕事をしているので、これは相当期待できそうだ。

全16曲(CD1が7曲、CD2が9曲)がアキンムシーレのオリジナル。
非4ビートが中心の典型的なコンテンポラリー・ジャズではあるけれど、場面によってはフリー方向に行っている部分もあり。レギュラーメンバーでのライブなので、本当にやりたいことがやれているのだとは思うけど、そのわりには演奏の面白さがあまり伝わってこないのは、楽曲自体がパッとしないから。CD1の1曲目「Maurice & Michael」と2曲目「Response」は4小節や8小節単位でのコード進行の反復が、その中で演奏が変化しているとはいえくどく感じるし(盛り上がりにも欠けている)、バラード調の3曲目「Moment in Between the Rest」もアキンムシーレのブヒブヒいわせたりしながらの型に嵌らないプレイは聴きものではあるけれど、ただそれだけに終わってしまっている感があるし、ソロピアノからスタートする4曲目「Brooklyn」は途中でフリー調にもなったりして、なかなか意欲的な演奏ではあるけれど、続く5曲目「A Song to Exale To」と6曲目「Purple」(わずか2分の小品)が3曲目と同様バラード調なのは、これがライブのセットリストどおりの収録なのかは分からなけど、曲の進行としてはちぐはぐしたものを感じるしで、フリー調の4ビートの7曲目「Trumpet Sketch」は私好みのアグレッシブな演奏(ブラウンもアキンムシーレとのデュオ部分で大炸裂)なのでいいとしても、聴き終わった後には変なモヤモヤ感が残ってしまった。それはCD2も同様なので、なおさらそのように感じるのだが、それには楽曲的なことだけではなく、ハリスとラグハヴァンのプレイが一本調子になってしまっている(アイデア不足)ことも関係しているね。二人とも曲調の範囲内ではいいことをやっているけれど、特にハリスはCD2では部分的にキーボードも用いているのだから、もっと活用するなりしてアプローチの仕方を変えていれば、必然的に他のメンバーの反応も変わってきて、また一味違った演奏になっていたかもしれない。いずれにしてもトランぺッターのライブ盤としては、同じく2枚組で先日聴いたばかりの「 Fabrizio Bosso Quartet / State of the Art: Live!(17年、別頁あり)」や「Dave Douglas Quintet 2015 / Brazen Heart Live at Jazz Standard(17年、別頁あり)」が素晴らしかっただけに、それらと比べると聴き劣りしてしまう。
ということで期待していたほどではないのだが(CD1の7曲目や、CD2の9曲目「Umteyo」のようなガツンとくる曲がもっと欲しかった)、ジャズを演奏する場合の重要な要素であるバンドとしてのオリジナリティーはちゃんと感じられるので、これでよしとしよう。本作は録音(エンジニアはGeoffrey CountrymanとTyler McDiarmid)も、各楽器が丸みを帯びた音で録れてはいるものの、バランス的には良好だ。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

A Rift in Decorum: Live at the
Ambrose Akinmusire
Blue Note Records
2017-06-09