David kikoski / Kayemode

David Kikoski (P)
Joe Martin (B)
Justin Faulkner (Ds)
Rec. September 20, 2016, NY
(Criss Cross 1394)

デヴィッド・キコスキのリーダー作は「David Kikoski / Consequences(12年、別頁あり)」以来だけど、その間にも「Opus 5 / Pentasonic(12年)」「Opus 5 / Progression(14年)」「Opus 5 / Tickle(15年)」(各別頁あり)を筆頭に参加アルバムがいろいろあるので、久しぶりといった感じは全くしない。「Consequences」はクリスチャン・マクブライド、ジェフ・ワッツによる強力な演奏で、大の愛聴盤となっているのだが、本作はジョー・マーティンがベースなのは妥当な線として、ドラムスが「Branford Marsalis Quartet / Four MFs Playin' Tunes(12年)」「Jacky Terrasson / Gouache(12年)」「Kurt Rosenwinkel / Star of Jupiter(12年)」「Branford Marsalis Quartet with Special Guest Kurt Elling / Upward Spiral(16年)」(各別頁あり)でしか聴いたことがない若手のジャスティン・フォークナーなのは意表を突く。おそらくブランフード・カルテットの前任で、師匠的存在でもあるワッツの推薦による参加だと思うけど、キコスキとマーティンを相手に、はたしてフォークナーがどのようなアプローチを見せているのか興味深いものがある。

キコスキ曲が4曲と、パーカーの「Au Privave」、メセニーの「H & H」、コリアの「Mirror Mirror」、モンクの「Trinkle Tinkle」、ジェローム・カーンの「Smoke Gets in Your Eyes」で全9曲。
場面によってはワッツが叩いているのではと勘違いするほどよく似ているフォークナーのダイナミックなドラミングにまず感心する。流石に若いだけあって、より一段と上手くなっているね。それがまたキコスキのモーダルなピアノともよくマッチしているのだから、彼の起用は大正解。この2人にはマクブライドのような、黒くて強靭なベースの方が合うのではと思いがちだけど、意外にもマーティンがそういう感じで弾いているし、多くの曲で取っているソロも手数はそんなに多くないものの、決してありきたりではないフレージングで聴かせてくれるのだから大したもの。もちろんキコスキのカッコよさも相変わらずで、いい感じにアウトしながら攻撃的に仕掛けるという、私が最も好きなタイプのプレイをしているのだから何ともたまらない。今回は既成曲が多いけど、その選曲もまた私好みの曲ばかりだし、オリジナルとの統一感が取れているのグッド。1曲目「Au Privave」、2曲目「Binge Watching」(オリジナル)のアグレッシブな演奏の2連発、リリカルな曲調が後半でダイナミックに盛り上がっている3曲目「Morning Glory」(オリジナル)、普通の4ビートながらも3人が会話しているように聞こえる4曲目「H & H」、現代的なファンクビートが目茶苦茶カッコよくて、キコスキとフォークナーのバトルも用意されている5曲目「Switching Roles」(オリジナル)、もうこの曲を取り上げているだけでも嬉しくなってしまう6曲目「Mirror Mirror」と7曲目「Trinkle Tinkle」、バラード曲の定番の8曲目「Smoke Gets in Your Eyes」、ソロピアノの9曲目「Blues for Gerry」(オリジナル)のどれをとっても実にいい感じで楽しませてくれる。ストレート・アヘッドな演奏がメインとなっているけれど、各人のプレイ自体が非常に魅力的なので、楽曲的にはこれ以上のアレンジを施す必要もないだろう。
前作「David Kikoski / Consequences」が最高に良かっただけに、メンバーが小粒な本作はイマイチなのではと聴く前は思っていたけれど、決してそんなことはないどころか、ドラムスに関してはここ1~2年で年齢的な衰えが感じられるようになったワッツよりも、むしろフォークナーの方がよく感じるね。キコスキならもっと凄いことができると思うけど、トリオとしては曲良し、演奏良しに加えて、録音(エンジニアはマイケル・マルシアーノ)も各楽器の音質、バランス共に上々なので、これはオマケして5つ星にしておこう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Kayemode
David Kikoski
Criss Cross
2017-05-19