Alex Sipiagin / Moments Captured

Alex Sipiagin (Tp, Flh)
Chris Potter (Ts)
Will Vinson (As, Ss)
John Escreet (Syn, Rhodes, P)
Matt Brewer (Ac-B, El-B)
Eric Harland (Ds)
Alina Engibaryan (Vo)2, 5
Rec. September 21, 2016, NY
(Criss Cross 1395)

Alex Sipiagin / From Reality and Back(13年、別頁あり)」「Alex Sipiagin / Balance 38-58(15年、別頁あり)」と素晴らしい作品が続いているアレックス・シピアギンだが、本作もまた久しぶり(「Alex Sipiagin / Destinations Unknown(11年、別頁あり)」や「Alex Sipiagin / Overlooking Moments(13年、別頁あり)」以来)に現代最高峰のテナー奏者であるクリス・ポッターと共演しているのだから大いにそそられる。他のメンバーのジョン・エスクリート、マット・ブルーワー、エリック・ハーランドは上記「Balance 38-58」にも参加しているけれど、そこにポッターと比べると小粒な感のあるウィル・ヴィンソンも加わって、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

全7曲がシピアギンのオリジナル。
16ビート系と4ビートが半々ぐらい。やっていること自体は「Balance 38-58」とも変わらないコンテンポラリー・ジャズだけど、相変わらずの楽曲のカッコよさに加えて、シピアギンはもちろんのこと、他のメンバーも非常にいい仕事をしているのだから、どの曲をとってもノリノリで楽しむことができる。今回はエスクリートがエレピやアコピの他にシンセも使っているけれど、1曲目「Evija Bridge」ではポッターの高速アドリブ・フレーズに合わせながら、エレクトリック・サックスかと勘違いするほどのユニゾン・プレイ(ポッターのアドリブを採譜してオーバーダブで弾いている感じ)をしているのだから驚いてしまう。このエスクリートのシンセは、曲によっては3管によるテーマのアンサンブルを4管のように聴かせる効果も担っているし、3曲目「Unexpected Reversal」ではフリー調にハチャメチャに弾いていたりギター的なフレージングで攻めていたりもしていて、本演奏における大きな役割を果たしているね。またポッターもいつものことながら素晴らしいテクニックで聴かせてくれるし、ヴィンソンもそれに負けじと気合の入ったプレイで応酬しているし、2人やエスクリートの見せ場を多く作っている分、自分の見せ場は少なくなっているけれど、シピアギンも安定したプレイで楽しませてくれるし、曲調に応じてエレキとウッドを使い分けているブルーワーのベースも素敵だし、ドラムソロは6曲目「Bergen Road」でしか取っていないけど、同じく曲調に応じながらのハーランドのアグレッシブなドラミングにも惚れ惚れしてしまう。1曲の平均時間が9分半ぐらいと長尺ではあるけれど、現代ジャズの美味しさがぎっしりと詰まった濃厚な演奏なので、聴いていてだれるようなことも全くなし。2曲目「Moments From The Past」と5曲目「Breeze」には女性ヴォーカルも参加しているけれど、それがサウンド上のいいアクセントにもなっているね。
これだけのメンバーなので良くて当然ではあるのだが、それにしてもこのアイデアが豊富でカッコいい演奏には完全にノックアウト。本作は録音(エンジニアはマイケル・マルシアーノ)も、近年のCriss Cross盤としては平均ながらも、各楽器の音質、バランス共に上々で、今年の私的ベストアルバムの第一位は、今のところはこれに決定だ。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Moments Captured
Alex Sipiagin
Criss Cross
2017-05-19