Ulysses Owens, Jr. / Falling Forward (J)

Joel Ross (Vib)
Reuben Rogers (B)
Ulysses Owens Jr. (Ds)
Special Guests:
Vuyo Satashe (Vo)8, 11
Stephen Feiftke (P)11
Rec. February 15, 2017, NY
(Spice of Life SOL NS0006)

ユリシス・オウエンスJrの3枚目のリーダー作。前2作(「Ulysses Owens Jr. / Unanimous(12年、別頁あり)」「Ulysses Owens Jr. / Onward & Upward(14年、別頁あり)」)とは打って変わり、本作ではヴァイブ、ベース、ドラムスの変則的かつシンプルな編成になっているのが興味深い。曲によってはヴォーカルとピアノも参加しているけれど、リューベン・ロジャース以外はこれが初聴きのジョエル・ロス、ヴヨー・ソタシェ、ステファン・フェイトゥケとで、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

ハロルド・アレンの「My Shining Hour」、ロイ・エアーズの「Cocoa Butter」、ナット・サイモンの「Pinciana」、ジャヴァンの「Maria des Mercedes」、ジョエル・ロスの「Sleep on It」、マルグリュー・ミラーの「Spectrum」「Farewell to Dogma」、デューク・エリントンの「In a Sentimental Mood」、Winston Mankunku Ngoziの「Yakhal' Inkomo」、クリスチャン・マクブライドの「I Guess I'll Have to Forger」、セロニアス・モンクの「Evidence」で全11曲。
シンプルな編成の分、ドラムスに大きくスポットが当たる構成となっている。それも曲ごとにテンポやビートを変えながらオウエンスJrが多彩なドラミングをしているのだから(ソロの場面も多い)、ドラム好きの私にとっては何ともたまらない。でもそんなに手数多く叩いているわけではないし、コード楽器も入っていないので、聴く人によってはサウンドがスカスカに感じてしまうかも。それにはロスのプレイも関係していて、これがゲイリー・バートンのような4本マレットであればまた違ってくると思うけど、ロスは基本的に2本マレットだし、ノンビブラートの音も含めて奏法がボビー・ハッチャーソンに近い感じなのに加えて、アップテンポの1曲目「My Shining Hour」以外はけっこう間合いを取りながらプレイをしているので、尚更そのように感じると思うけど、ジャズはこうでなければならないといった法則はないわけだし(だからこそジャズは面白い)、これがオウエンスJrが意図したことでもあるのだから、どうこう言っても始まらないだろう。私としては、1曲目は速い曲をブラシで演奏する上での手本になるし、3曲目「Pinciana」を9拍子でやっているのも洒落ているし、サンバ曲の4曲目「Maria des Mercedes」でのドラミングが本場もののように訛っているのにもニヤリとしてしまうし、ミラー曲の6曲目「Spectrum」は楽曲自体がカッコいいし(途中からフリーっぽくなるのにはビックリ)、10曲目で大好きなモンク曲「Evidence」もやっているのに加えて、アフリカ風なヴォーカルとデュオっている8曲目「Yakhal' Inkomo」や、ヴォーカル、ピアノ入りの11曲目「Farewell to Dogma」(この曲にヴォーカルが似合うとは思ってもみなかった)もいいアクセントとなっていて、オウエンスJrとロスだけではなくロジャースも流石のプレイをしているおかげで、終始ノリノリで楽しむことができた。
一風変わった編成ではあるけれど、日本企画のアルバムでここまでいいのに当たったのはなんか久しぶりって感じがする。本作は録音(エンジニアはChris Sulit)も、各楽器の音質、バランス共に上々。特にドラムス(タイコはTAMAを使用)はハッとするほど良い音で録れているね。ちなみにドラマーのリーダー作は、他にも「Ronald Bruner Jr. / Triumph」「Jamire Williams / Effectual」「Nate Smith / Kinfolk: Postcards From Everywhere」が目白押しにリリースされているのだが、どれを試聴しても私が望んでいることとは違うことをやっているので、買うのはパスしている。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

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ユリシス・オウエンス・ジュニア
New Star of Contemporary Jazz / Spice of Life
2017-05-24