Gerald Clayton / Tributary Tales

Gerald Clayton (P)
Logan Richardson (As)
Ben Wendel (Ts, Basoon on 8,10)
Dayna Stephens (Bs)9
Joe Sanders (B)
Justin Brown (Ds)
Aja Monet, Darl Hancock Rux (Spoken Ward)8,14
Sachal Vasandani (Vo)13
Henry Cole (Per)1,10,12,13
Gabriel Lugo (Per, Post Production)1,10,12,13,14
Rec. June 9-10 & September 1-3, 2015, NY
(Motema Music MTM223)

ジェラルド・クレイトンの「Gerald Clayton/Two-Shade(09年)」「Gerald Clayton / Bond: The Paris Sessions(11年)」「Gerald Clayton / Life Forum(13年)」(各別頁あり)に次ぐ4枚目。どのアルバムもジョー・サンダースとジャスティン・ブラウンがリズム隊ということは、クレイトンは二人のことをよほど気に入っているのだろう。また「Life Forum」にはローガン・リチャードソンとデイナ・スティーヴンスも参加しているし(リチャードソンは「Next Collective / Cover Art(13年、別頁あり)」で、スティーヴンスは「Dayna Stephens / I'll Take My Chances(13年、別頁あり)」でもクレイトンと一緒だった)、ベン・ウェンデルも「Ben Wendel / Frame(12年、別頁あり)」で共演しているのだが、メンバーをこれだけに留めておけばいいのに(パーカッションは全然オーケーだけど)、2曲にはスポークンワード、1曲にはヴォーカルが加わっているのは気になるところ。でも「Life Forum」も同じサチャル・バサンダーニ(?)やグレッチェン・パーラトが7曲に参加しているにもかかわらず、そんなにヴォーカルヴォーカルはしていなかったので、たぶん大丈夫だと思う。

全14曲がクレイトンのオリジナル。
最先端のコンテンポラリージャズといった感じの演奏が展開されている。1曲目「Unforeseen」からトリッキーな5連符の拍ずらしフレーズが用いられていたりして、かなり高度な曲構成になっているにも関わらず、それを難なくこなしている各人の演奏能力がまず素晴らしい。アドリブで勝負というよりは、どちらかというとトータルサウンド重視となっているけれど、ここまでカッコいいことをやられてしまっては文句のつけようがない。それは2曲目「Patience Patients」も同様だけど、こちらの方ではクレイトンとリチャードソンが気合の入ったアドリブでも聴かせてくれるし、その場面ではブラウンもアグレッシブに叩いていて、ますますいい感じで楽しませてくれる。全体に漂っているマイルス時代のショーター的なダークな色合いもグッドだね。3曲目「Search For」はクレイトンとウェンデルのデュオによる小品。4曲目「A Light」に繋げるためのインタールードではあるけれど、こういう短い演奏であってもリスナーをのめり込ませるだけの力を持っているのだから流石としかいいようがない。その4曲目は複雑なテーマをリチャードソンとウェンデルがユニゾンでバッチリ決めているのが目茶苦茶カッコいいし、アドリブの途中から4ビートにチェンジするのもまた同様で、これまた実にいい塩梅。5曲目「Reach For」はサンダースのソロによるインタールード。6曲目「Envisionings」はバラード的なものが次第に盛り上がる曲調となっているけれど(後半にはドラムソロもあり)、ここまでクレイトンよりもリチャードソンとウェンデルの方にスポットが多く当たっているので、そろそろクレイトンのピアノをたっぷりと聴いてみたくなる。そう思っていると7曲目「Reflect On」は短いながらもソロピアノによるインタールードだったりして、こういうリスナーの心理を読み取る能力も相当なもの。ただし続く8曲目「Lovers Reverie」は男女のスポークンワードを聞かせるための曲となっているので、私にとっては必要ないけどね。でもスティーヴンスがバリトンで参加している9曲目「Wakeful」では、モンク的な曲調を3管でやっている4ビート演奏が何ともいえない雰囲気を醸し出しているし、クレイトンのいい感じのアドリブも堪能できるわけなので、これでよしとしよう。
残りの曲は割愛するが、スポークンワード入りの2曲以外は、ヴォーカル(サックスとのユニゾンによるコーラス)入りの13曲目「Squinted」も含めて、どの曲もノリノリで楽しむことができた。ダークな曲調ばかりではなく、後半には10曲目「Soul Stomp」のように明るい曲を用意しているのにも好感が持てるし、動と静のバランスを考えながらのアルバムの構成力もバッチリ。全部で14曲もやっているものの、そのうちの4曲は短い曲なので、曲数が多いと感じることもない。クレジットには記されていないけど、クレイトンが曲によりキーボードやオルガン、エレピを味付け程度に用いているのもサウンド上のいいアクセントとなっているね。録音(エンジニアはAaron Nevezie, Todd Carder)も、各楽器に刺々しさは一切感じられなくて上々で、スポークンワードさえ入っていなければ、本作は間違いなく5つ星にしていた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Tributary Tales
Gerald Clayton
Motema Music
2017-04-21