Julian & Roman Wasserfuhr / Landed in Brooklyn

Julian Wasserfuhr (Tp, Flh)
Roman Wasserfuhr (P, Marimba, Seaboard)
Donny McCaslin (Ts)
Tim Lefebvre (El-B, Ac-B)
Nate Wood (Ds)
Rec. August 13-14, 2016, NY
(ACT 8929)

バックのメンバー(ダニー・マッキャスリン、ティム・ルフェーヴル、ネイト・ウッド)に釣られての購入。ドイツの兄弟ミュージシャンであるジュリアン&ロマン・ワッサーファー(?)を聴くのはこれが初めてだけど、CDのブックレットを見ると既に4枚のアルバムが同じACTからリリースされているんだね。今回はこれまでとは趣向を変えてNYに出向いての録音となっているけれど、精鋭揃いのメンバーを相手にはたしてどういう演奏をしているのか興味深い。ちなみにジャケ写を見る限りではピアニストのロマンが兄で、トランペッターのジュリアンが弟のようだ。

ワッサーファー兄弟のオリジナルが7曲と、トキオ・ホテルの「Durch den Monsun」、スティングの「Seven Days」で全9曲。
Donny McCaslin / Fast Future(15年、別頁あり)」「Donny McCaslin / Beyond Now(16年、別頁あり)」等のマッキャスリンのアルバムとも共通する16ビート主体の演奏だけど、こちらの方が曲調的に親しみやすいのは兄弟のカラーなのだろう。中には3曲目「Tinderly」や6曲目「S.N.C.F」のような4ビート曲もあるけれど、どちらのビートの曲であってもバンドとしての完成度が高くて、オリジナルの楽曲も相まって、決してセッション的な演奏にはなっていないのがいい塩梅。ジュリアン&ロマンはさすがにACTが売り出しているだけあって、テクニックはなかなかのものだし、過去のアルバムもこのような感じなのかは分からないけど、その音楽性もグッド。どのような曲調であってもいい意味でそつのないプレイをしているロマンは、4曲目「Durch den Monsun」や9曲目「First Rays Of Dawn」でマリンバをシンセ音代わりに使っているけれど、こういうアイデアにもセンスのよさがキラリと光っているね。8曲目「Seven Days」でのギター的なSeaboard(シンセのようだ)プレイも実にカッコいい。またフリューゲルをメインに吹いていると思われるジュリアンも温かな楽器の音色自体がまず良いし、アレックス・シピアギンあたりを連想させるような現代的なフレージングにも非常に好感が持てる。それに加えてマッキャスリンも、曲によってはもしかすると本人のリーダー作よりもいいのではと思わせるほどに素敵なアドリブを取っているのだから、こんなに嬉しいことはない。16ビート系の曲はエレベ、4ビート曲ではアコベを弾いているルフェーヴルも、ソロは取っていないものの堅実なプレイで聴かせてくれるし、ウッドのバイタリティ溢れるドラミングも聴き応えがあって(ルフェーヴルと同じくソロはないが)、各人が持ち味を存分に発揮しているおかげで、どの曲もルンルン気分で楽しむことができる。
初めて聴いたワッサーファー兄弟だけど、ここまで良いとなると過去盤も聴いてみたくなるね。でも金銭的な余裕がないので我慢するとしよう。本作はACTレーベルだけあって、録音(エンジニアは)も各楽器が音楽的にもオーディオ的にも最高に良い音で録れている。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

Landed In Brooklyn
Julian & Roman Wasserfuhr
Act Music
2017-02-24