David Binney / The Time Verses

David Binney (As, Voice, Electronics)
Jacob Sacks (P)
Eivind Opsvik (B)
Dan Weiss (Ds)
Jen Shyu (Vo)6
Shai Golan (Alto Part)11
Rec. February 17, 2016, NY
(Criss Cross 1392)

Criss Cross初の紙ジャケットだけど、番号が1個上(Criss 1393)の「David Gilmore / Transitions(07年、別頁あり)」はこれまでどおりのプラケースなので、今後はミュージシャンが好きな方を選べるようにして2本立てで行くということなのかもしれない。CDを出し入れしにくい紙ジャケなので、私としてはあまり好きではないけどね。それはさておき、デヴィッド・ビニーは過去にも「David Binney / Bastion Of Sanity(05年、別頁あり)」「David Binney / Aliso(10年、別頁あり)」でジェイコブ・サックス、ダン・ワイスと共演。またそのうちの「David Binney / Aliso」にはアイヴィン・オプスヴィク(?)も参加しているのだが、今回ビニーはアルトだけではなくヴォイスやエレクトロニクスも担当しているので、これまでとはまた一味違った演奏が楽しめそうだ。

全14曲がビニーのオリジナル。
非4ビートがメインの典型的なコンテンポラリー・ジャズ。今回は曲作りに力が入っていて、ボイスやエレクトロニクスを効果的に用いることにより、2曲目「Walk」なんかはPMGを連想するような大掛かりな曲想(組曲風)となっているのに新鮮味を感じる。そんな中でビニーが縦横無尽に吹きまくっていて、他のメンバーの出番は思ったほど多くないのだが(ジェイコブはけっこうアドリブも取っているけど)、それでいながらワンマンな演奏には感じさせないのは、細部までよく練られた楽曲を、各人ともこれ以上カッコいいことはやりようがないのではと思わせるほど魅力的なプレイをしているから。特に曲調にバッチリ嵌っているワイスのセンスのいいドラミングが、今どきの凄腕ドラマーと比較すると小粒ではありながらも大きな推進力となっていて、それだけでも買ってよかったという気分にさせてくれる。またジェイコブのコンピングやアドリブ、オプスヴィクのベースラインに自信が満ち溢れているのも好印象。もちろんビニーのアルトもどれだけ吹いたとしても、冗長には全く感じさせないのだから大したもの。ダーク基調ながらも以前よりは若干明るめの楽曲はどれもがみんないいのだが、曲によってのビニーのヴォイスやエレクトロニクス、6曲目「Seen」でのジェン・シューの澄み切った歌声(チック・コリアの「妖精」の頃のゲイル・モランによく似ている)、12曲目「Fifty Five」での唯一の4ビート曲がとてもいいアクセントとなっていて、決して一本調子ではないアルバムとしての構成力にも素晴らしさを感じる。
同じくジェイコブ、オプスヴィク、ワイスが参加している「David Binney / Aliso」も相当良かったけれど、本作はそれ以上に気に入った。録音(エンジニアはマックス・ロス)も各楽器の音質、バランス共に申し分がなくて、オーディオ的にも満足。昔のCriss Cross(マックス・ボールマンがエンジニアの時代)はジャズの平均的な音質だったけど、ここ6~7年で明らかに変わったね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

The Time Verses
David Binney
Criss Cross
2017-02-17