Steve Khan / Backlog

Steve Khan (G, Voice on 10)
Ruben Rodriguez (Baby-B, El-B)
Mark Walker (Ds)
Marc Quinones (Timbal, Bongo, Per)
Bobby Allende (Conga, Bongo)
Rob Mounsey (Key, Orchestrations)2,3,6,7,9,10
Randy Brecker (Tp)3
Bob Mintzer (Ts)7
Mike Mainieri (Vib)5
Tatiana Parra (Voice)10
Rec. January-April, 2016, NY
(Tone Center TC4100)

スティーヴ・カーンにはアイウィットネス時代から一緒にやっているアンソニー・ジャクソン、デニス・チェンバース(又はデイヴ・ウェックル)、マノロ・バドレーナがつきものなのだが、本作ではメンバーを一新しているのが興味深い。ゲスト陣にはロブ・マウンジー、ランディ・ブレッカー、ボブ・ミンツァーといったお馴染みの面々や、マイク・マイニエリ(「深町純&The New York All Stars/Live」でのカーンとの共演が懐かしい)が参加しているけれど、老舗バンド「Oregon」に新しい風を吹き込んでいるマーク・ウォーカーや、ラテンジャズとは切り離せない存在のルーベン・ロドリゲス等のよりラテン色の強いメンバーを核としながら、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

セロニアス・モンクの「Criss Cross」、グレッグ・オズビーの「Concepticus in C」、オーネット・コールマンの「Latin Genetics」「Invisible」、サミー・カーン/ジミー・ヴァン・ヒューゼンの「Our Town」、ボビー・ハッチャーソンの「Head Start」「Rojo」、ジョニー・マンデル/ジョニー・マーサーの「Emily」、スティーヴィー・ワンダーの「Go Home」、アンドリュー・ヒルの「Catta」で全10曲。
ラテンのリズムにバッチリ嵌っている1曲目「Criss Cross」からして、早くも買ってよかったという気にさせてくれる。モンクの楽曲を毎回のように取り上げているカーンだけど、この「Criss Cross」もまた実にいいね。それだけではなく続くオズビー曲の「Concepticus in C」や、7曲目のコールマン曲「Invisible」等までも何の違和感なくラテンのリズムで聴かせてくれるのだから、3曲目の「Latin Genetics」だけは元々がラテンタッチの曲だったとはいえさすがとしかいいようがない。本演奏にはここ何年かのカーンの傾向が如実に現れているけれど、ウォーカーにドラムソロ以外は比較的シンプルなリズム(定形ビート)を叩かせることによって、より自分のギターを浮き上がらせているのが、これまでとは異なる部分。私としてはデニチェンやウェックルのようにもっと手数多く叩いてもらいたいところだけど、このシンプルさが心地よさに繋がっているわけなので、これで正解なのだろう。ただしテンポに関してはミディアムテンポの曲がほとんどなので、アップテンポの曲が何曲かあってもよかった気がしないでもない。その方が演奏にも緩急のメリハリがつくと思うのだが、その代わりにウォーカーや2人のパーカッショニスト、あるいはゲストのランディ、マイニエリ、ミンツァーが曲によっては華麗なソロで楽しませてくれるので、これでよしとしよう。
これまで以上にラテンに傾倒しているカーンだけど、またこんなやつかという気持ちには全くさせないし、トータル71分も全然長くは感じさせないのだから、どれだけ演奏が優れているのかということになる。本作は録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)も各楽器が最高の音質とバランスで録れていて、ECMのときとは異なったファーバー本来のサウンドが堪能できるので、テンポ的な不満はあるけれどオマケして5つ星にしておこう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

BACKLOG
STEVE KHAN
ESCRE
2016-09-30