Jan Lundgren / Potsdamer Platz

Jan Lundgren (P)
Jukka Perko (As, Ss)
Dan Berglund (B)
Morten Lund (Ds)
Rec. 3-5, 2015, Berlin
(ACT 9831)

ヤン・ラングレン(1966年、スウェーデン生まれ)のアルバムはこれまでに「Jan Lundgren/In New York(06年)」「Jan Lundgren Trio/Plays Cole Porter Love Songs(07年)」「Jan Lundgren/A Swinging Rendezvous(07年)」「Jan Lundgren Trio/European Standards(09年)」(各別頁あり)を取り上げているのだが、全てがピアノトリオ作品だっただけに、本作ではサックス入りのカルテット編成となっているのが興味深い。ユッカ・パーコ(1968年、フィンランド生まれ)はこれが初聴きなので、どんなプレイをするのかは想像もつかないけれど、e.s.t.のベーシストだったダン・ベルグルンド、同じくACTからの近作「Danielsson Neset Lund / Sun Blowing(06年、別頁あり)」でもいい仕事をしていたモーテン・ルンドとで、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

ラングレン曲が10曲と、Per Ödbergの「Tväredet」で全11曲。
非4ビートをメインに4ビート曲もあり。パーコが参加しているので、ラングレンのピアノをたっぷりと堪能というわけにはいかないけれど、それでも剛柔のバランスを考慮しながら相変わらずの上手さで聴かせてくれる。パーコのアルトはフィル・ウッズやジャッキー・マクリーンあたりに近いものがあるかな。彼らほど音数は多くないけれど、北欧のサックス奏者にイメージするような温度感の低さは微塵も感じさせないのが私の好みにも合致するね。またベルグルンドもバッキング、ソロ共にさすがのプレイをしているし、ルンドもソロの見せ場は少ないものの曲調にバッチリ嵌ったドラミングをしていて、各人がきちんと本領を発揮していながらバンドとしても非常に調和が取れているおかげで、どの曲を取っても最高にいい感じで楽しむことができる。作曲能力にも優れているラングレンのことなので、捨て曲のようなものは一切ないのだが、その中でもセカンドビート的な1曲目「Patsdamer Platz」、スウィンギーな3拍子の3曲目「Lycklig Resa」、ファンク調の4曲目「Bullet Train」、同じく16ビート系でダイナミックに盛り上がっている5曲目「The Poet」、4ビートのブルースで何度も転調するのがユニークな7曲目「Twelve Tone Rag」、ブギウギ(ストライド?)的なピアノのラインが特徴的な4ビートの9曲目「Dance Of Masja」が特に気に入った。
久しぶりに聴いたラングレンだけど、やっぱりいいね。本作は録音(エンジニアはArne Schumann)もピアノとサックスのリバーブ成分が多めながらも、各楽器が鮮明、かつ温かみのある音で録れていて、この音の良さだけでも買ってよかったという気にさせてくれる。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Potsdamer Platz
Jan Lundgren Quartet
Act
2017-02-24