Miroslav Vitous / Ziljabu Nights: Live at Theater Gütersloh

Miroslav Vitous (B)
Gary Campbell (Ts)
Robert Bonisolo (Ts, Ss)
Aydin Esen (Key)
Roberto Gatto (Ds)
Rec. June 25, 2016, Germany
(Intuition INTCHR71320)

前作「Miroslav Vitous / Music of Weather Report(16年、別頁あり)」がなかなか良かったミロスラフ・ヴィトウスだけど、そのライブ盤が別レーベルから早くも登場。メンバーのゲイリー・キャンベル、ロベルト・ボニソロ(?)、アイデン・エッセンは同じではあるも、ドラマーがジェラルド・クリーヴァー、ナシート・ウェイツのツインドラムからイタリアのロベルト・ガットに代わっているのと、「Music of Weather Report」から5~6年が経過したライブのためか選曲もガラリと変えているので、また一味違った演奏が楽しめそうだ。

ヴィトウス曲が4曲と、スコット・ラファロの「Gloria's Step」を基にした「Gloria's Step Variations」、ヴィクター・ヤングの「Stella By Starlight」を基にした「Stella By Starlight Variations」で全6曲(最後のインタビュー・トラックは除く)。
前作とは異なりWR関連の曲は2曲目の「Morning Lake」(71年の「Weather Report」収録曲)だけではあるけれど、初期のWRを連想させるような混沌とした演奏であることに変わりはない。フリー的な部分もありのスペイシーなサウンドには、ほぼリアルタイムでWRを聴いてきた身としては懐かしさを覚えるのだが、1~2曲めはゆったりとした曲調が続いているので、フロントのツインサックスはそれなりいいい感じではあるけれど、エッセンのキーボードが味付け程度で終わっているのと、ビート感が希薄な曲調でのガットのドラミングには物足りなさを感じてしまう。肝心のヴィトウスはベースにエフェクターまでかまして悦に入っているけどね。その点3曲目「Ziljabe」は同じくフリー基調ながらもアップテンポの演奏となっていて実にいい塩梅。特にガットが大張り切りしながら叩いているのが聴きものだけど、演奏自体は4分半ぐらいであっけなく終わるので、もっと長くてもよかったのではと思う。また4曲目「Gloria's Step Variations」もヴィトウスのソロ曲ということで、ソロとしては決して悪くはないけれど、バンドとしての演奏は堪能できないし、5曲目「Miro Bop」と6曲目「Stella By Starlight Variations」もそれなりに好みの演奏ではありながらも自分のツボにバッチリ嵌るというわけではなくて、最後まで変なもやもや感がつきまとってしまった。
初期のWR的なカラーを加味したフリー基調の演奏なのに、一番よく感じる曲が中間部分を当たり前の4ビートでやっている「Stella By Starlight Variations」のスタンダードナンバーという皮肉な結果に終わっているし、最後の7分半ものインタビューもわざわざ収録する必要はなかったのではと思う。録音に関しても、各楽器の音の質感は悪くないものの、音量バランスとしてはキーボードが全体的に小さめに録れていてイマイチだね。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

ZILJABU NIGHTS
MIROSLAV VITOUS
INTUI
2016-11-04