Aziza / Aziza

Chris Potter (Ts, Ss)
Lionel Loueke (G, Vo)
Dave Holland (B)
Eric Harland (Ds)
Rec. September 7-8, 2015
(Dare2 Records DR2 009)

前作「Dave Holland / Prism(13年、別頁あり)」が最高にカッコよかったデイブ・ホランドだけど、本作もまた「Dave Holland Big Band/Overtime(05年)」「Dave Holland Quintet/Critical Mass(06年)」「Dave Holland Octet/Pathways(10年)」(各別頁あり)等以来、久しぶりにクリス・ポッターが参加しているし、前作でも大活躍のエリック・ハーランドがドラマーなのだから大いにそそられる。ちなみに3人は「The Monterey Quartet/Live at the 2007 Monterey Jazz Festival(09年、別頁あり)」でも共演していたね。ケヴィン・ユーバンクスの後釜のオーネル・ルエケだけは初共演だと思うけど、もうこのメンバーを見ただけでも5つ星の匂いがプンプンする。今回は誰がリーダーでもないAzizaというバンド名でのリリースとなっているのは、もしかすると同じくハーランド参加のJames Farm(「Joshua Redman, Aaron Parks, Matt Penman, Eric Harland / James Farm(11年、別頁あり)」「James Farm / City Folk(14年、別頁あり)」)を意識しているのかも。それにしてもAzizaとはどういう意味なのだろう。ワタシ的には一時期流行った女流ピアニストのアジザ・ムスタファ・ザデ(Aziza Mustafa Zadeh)を連想する。

ホランド曲が2曲、ポッター曲が2曲、ルエケ曲が2曲、ハーランド曲が2曲で全8曲。この選曲からも4人が対等のバンドであることがよく分かる。
1曲目「Aziza Dance」は、出だし部分のスクラッチ(ターンテーブル)風なギターがユニーク。ルエケはアドリブでもオクターバー的なエフェクターを使いながら大活躍していて、早くもこのメンバーとの相性の良さを見せている。比較的シンプルな8ビートによるノリのよい演奏ではあるけれど、作曲者のルエケは当然として、ポッターも流石のプレイで楽しませてくれるし、後半にはハーランドの長めのソロも用意されていて、もうこの1曲だけでも買ってよかったという気にさせてくれる。2曲目「Summer 15」はアフリカチックな曲調なのでルエケの曲かと思いきや、ポッター曲なのが意表を突く。カリビアンな雰囲気もある明るい感じの5拍子だけど、この演奏もまた実にいいね。1曲目から反復ベースラインを黙々と弾いていたホランドが、この曲ではソロでも楽しませてくれる。ホランド曲の3曲目「Walkin' The Walk」も5拍子(10/8拍子)。ゆったり目の曲調の中、ホランドがロングソロで、その上手さを見せつけてくれるのだが、その後のポッターのアドリブも目茶苦茶カッコいいし、続くハーランドのドラムソロもまた同様。ハーランド曲の4曲目「Aquia」は6/8拍子。ここにきて初めて4ビートが登場するけれど、その演奏がまた現代的でカッコよくて、まさにこのメンバーならではのセンスのいい演奏が堪能できる。ポッター曲の5曲目「Blue Sufi」は6/8+7/8拍子かな。かなり変則的な拍子にポリリズムもぶち込まれているので、いったい何拍子なのか聴いているうちに分からなくなるほどだけど、それを難なくこなしている各人の演奏能力には、いまさらながら感心するね。13分半の長尺演奏を、まったくダレることがないどころか、手に汗握るスリルと興奮で楽しませてくれる。ホランド曲の6曲目「Finding The Light」も変拍子。こちらの方は7/8拍子と比較的分かりやすい拍子だけど、やはりポリリズムとなっているので、ベースラインを聴いていないとどこをやっているのか分からなくなることがある。それにしても前曲もそうだけど、変拍子ながらも突っかかりのようなものは全く感じさせないスムーズな演奏となっているのだから大したもの。この曲ではポッターとホランドがいい感じのソロを取っているけれど、その後のハーランドが非常にスピーディーなソロで、美味しいところをかっさらっている。ハーランド曲の7曲目「Friends」はバラード。ドラマーが作曲するバラード曲には優秀なものが多いけど、この曲もまた途中からダイナミックに盛り上がっているのが素晴らしい。ルイケ曲の8曲目「Sleepless Night」は、シャッフルからアフリカ的な12/8拍子に変化。アルバムの中盤からはバッキングに回っている感のあるルエケが、ヴォーカルとポッターとのアドリブ合戦で大活躍。2人ともアグレッシブに攻めまくっているし、ユニゾンによる複雑なリフもバッチリ決まっているし、ハーランドのドラムソロも用意されていて、アルバムのラストを飾るにふさわしい演奏となっている。
本作には聴く前から相当期待していたけれど、「Dave Holland / Prism」と比較すると若干軽めな感じはするものの、予想どおりの素晴らしい演奏には大満足。録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)も各楽器が過不足なく良い音で録れていて、これはもう今年の私的ベストアルバムの第一位に決まりだろうね。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Aziza
Aziza
Dare2 Records
2016-10-14