Donny McCaslin / Beyond Now

Donny McCaslin (Ts, Fl, Alto-Fl, Cl)
Jason Lindner (Key)
Tim Lafebvre (El-B)
Mark Guiliana (Ds)
Jeff Taylor (Vo)2
David Binney (Addirional-Syn, Vo on 5, 9)
Nate Wood (G)2
Rec. April 4-6, 2016, NY
(Motema Music 234310)

先日聴いた「Enrico Pieranunzi Quartet / New Spring: Live At The Village Vanguard(06年、別頁あり)」でのプレイはいまいちパッとしなかったドニー・マッカスリン(ダニー・マッキャスリン?)だけど、リーダー作は「Donny McCaslin/Give And Go(06年)」を除いて、「Donny McCaslin/Declaration(09年)」「Donny McCaslin / Perpetual Motion(11年)」「Donny McCaslin / Casting for Gravity(12年)」が5つ星、「Donny McCaslin/In Pursuit(07年)」「Donny McCaslin / Fast Future(15年)」(各別頁あり)が4つ星と、私好みの作品が続いているので、本作にも期待している。ただし「Fast Future」後の、デヴィッド・ボウイの遺作「David Bowie / ★(Black Star)(16年、未所有)」に、メンバー共々参加しているのは気になるところ。そのことにより音楽的に変に感化されていないことを願っている。

マッカスリン曲が5曲、デヴィッド・ボウイの「A Small Plot of Land」、Deadmau5の「Coelacanth」、ボウイ/ブライアン・イーノの「Warszawa」、Mutemathの「Remain」で全9曲。
16ビート基調のエレクトリック・サウンドなのは前作「Donny McCaslin / Fast Future」とも変わらない。そんなビートを効かせた曲調の中、マッカスリンが縦横無尽に吹きまくっているのだが、そのフレージングにはスケール練習的な部分が見受けられるし、ジェイソン・リンドナーのキーボードが醸し出しているミニマル・ミュージック的な雰囲気も私好みとは言い難いし、2曲目「A Small Plot of Land」のヴォーカルはもろデヴィッド・ボウイ的だったりして、マッカスリンの音楽としては進化しているのかもしれないけれど、演奏的には私のツボにバッチリと嵌っているとは言えないものがある。まあマーク・ジュリアナ(グイリアーナ)のロックでパワフルなドラミングだけでも楽しめてしまうので、これでよしとしておくけどね。なんらかのストーリー性が感じられる曲構成も相まって、曲が進むにつれて一種独特な音世界に引き込まれていく。場面によってはマイルスの「In a Silent Way」や初期のWRのようなものを想起させたりするけれど、楽曲としては7/4拍子の6曲目「Faceplant」と、曲中でダイナミックに盛り上がっている3曲目「Beyond Now」(アルバムタイトル曲)や8曲目「Glory」が特にいい感じ。総じて人工的ではあるけれど、何か新しいことをやろうとする場合は、これぐらいエレクトリックなサウンドになっても致し方ないだろう。かといってフュージョンをやっているわけではないのが、いかにもこのメンバーらしい。
ということで全面的に共感できるといったわけではないけれど、これまでのアルバムとはまた一味違った演奏が堪能できた。本作は録音(エンジニアはマイク・マルシアーノ、ミキシングとマスタリングはネイト・ウッド)も私好みの音とは少々異なるけれど、演奏にはよくマッチしているね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

Beyond Now
Donny McCaslin
MEMBRAN
2016-10-14