Michel Camilo & Tomatito / Spain Forever

Michel Camilo (P)
Tomatito (G)
Rec. July 10-12 and November 15-19, 2015, Madrid
(Universal 602557025583)

ミッシェル・カミロとトマティートの、「Michel Camilo & Tomatito/Spain(00年)」「Michel Camilo & Tomatito/Spain Again(06年、別頁あり)」に次ぐデュオ作品の3枚目。アルバムタイトルが「Spain Forever」ということは、レコーディングとしてはこれでおしまいなのかもしれない。前作「Spain Again」は大人し目の曲が多いのに加えて、楽曲的にあまり好きではない「Libertango」まで取り上げていて、ワタシ的にはイマイチだったので、本作では2人の情熱がほとばしるようなホットな演奏を期待している。

エグベルト・ジスモンチの「Agua E Vinho」、チャーリー・ヘイデンの「Our Spanish Love Song」、アストル・ピアソラの「Oblivion」、エリック・サティの「Gnoissiennes」、エンニオ・モリコーネの「Cinema Paradiso」「Love Theme Cinema Paradiso」、ジャンゴ・ラインハルトの「Nuages」、ルイス・ボンファの「Manha de Carnaval (Black Orpheus)」、カミロの「About You」、チック・コリアの「Armando's Rhumba」で全10曲。
私がこの2人に望んでいるのは、かつてのアル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシアによるスーパー・ギター・トリオ(「Super Guitar Trio/Friday Night in San Francisco(80年、別頁あり)」)、あるいはコリアのディ・メオラやパコ入りの諸作品の火花が飛び散るような丁々発止な演奏なのだが、本作も「Spain Again」と同様に抒情的な曲を取り上げた大人しめの演奏となっているのが残念なところ。これはこれで決して悪くはないとはいえ、特にカミロの場合は基本的に速弾きを駆使しながらガンガン弾きまくるタイプのピアニストなので、トマティートと調和を取りながらの丁寧なプレイには、どうしても物足りなさを感じてしまう。おそらくラテンタッチなノリでのハードな演奏は自分のバンドで散々やっているので、トマティートとのデュオのときぐらいはしっとりとやりたいという気持ちがカミロにはあるのだろう。そういう本人の意向を無視してないものねだりしても仕方がないのでこれでよしとしておくけど、それにしても曲調が変化する7曲目「Nuages」までは似たような感じの演奏が続いているので、2人の上手さはそれなりに堪能できるものの、バラード集的なアルバム作りには少々退屈してしまう。結局のところ私好みの演奏は「Nuages」と、10曲目「Armando's Rhumba」だけで終わってしまった。
ということで期待どおりの演奏というわけではないけれど、本作はピアノとギターが最高に良い音で録れている録音(エンジニアはSalome Limon)だけでも買ってよかったという気にさせてくれるね。非常にクリアー、ワイドレンジで、音楽的にというよりもオーディオ的に良い音ではあるけれど、ここまで良いと感動すら覚える。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

SPAIN FOREVER
MICHEL & TOM CAMILO
EMARR
2016-10-07