Enrico Pieranunzi Quartet / New Spring

Enrico Pieranunzi (P)
Donny McCaslin (Ts)
Scott Colley (B)
Clarence Penn (Ds)
Rec. April 29-30, 2015, at the Village Vanguard, NYC
(Cam Jazz CAM5056)

エンリコ・ピエラヌンツィのアメリカでのライブ盤は、「Enrico Pieranunzi Latin Jazz Quintet / Live at Birdland(10年、別頁あり)」「Enrico Pieranunzi / Live at The Village Vanguard(13年、別頁あり)」に次ぎ、本作が3枚目ということになるのかな。メンバーのドニー・マッカスリン(ダニー・マッキャスリン?)は前作「Enrico Pieranunzi / Proximity(15年、別頁あり)」から引き続き。ベースが「Enrico Pieranunzi / Permutation(12年、別頁あり)」「Enrico Pieranunzi with Scott Colley, Antonio Sanchez / Stories(14年、別頁あり)」参加のスコット・コリーということは、もしかするとクラレンス・ペンはアントニオ・サンチェスの代役だったのかもしれない。

ピエラヌンツィ曲が5曲、コリー曲が1曲、スタンダードの「I Hear A Rhapsody」で全7曲。
決して悪くはないけれど、このメンバーにしてはそんなに良いってわけでもない感じ。それには大きくスポットが当たっているマッカスリンのプレイがいまいちパッとしないことが関係しているのだが、以前はこういう4ビート主体の演奏であってもクリス・ポッターとまではいかないものの、それなりのテクニックとアイデアで魅力的に聴かせていただけに、なんかやっつけ仕事のように思えてしまう。もしかするとマッカスリンが今一番やりたいことは、こういう4ビートジャズではないのではないのかな。それで演奏にあまり身が入っていないのかもしれない。それに加えてペンも相性的にどうかといったところがあるね。生でも観たことがある大好きなドラマーではあるけれど、リズム隊的にコリーとは、やはりサンチェスの方がベストマッチングなので、それと比べるとどうしても聴き劣りしてしまう。また肝心のピエラヌンツィにもなんとなく覇気が感じられなくて、コリーだけはいつもと変わらないプレイ(ベースソロでも大活躍)で聴かせてくれるにしても、バンドとしてはアップテンポでドラムソロもありの6曲目「I Hear A Rhapsody」を除いて、終始「もっと良い演奏ができるはずのメンバーなのになぁ」というモヤモヤ感が付きまとってしまった。
ということで本作は期待していたほどではなかったし、録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)も温かみのある音で無難にまとめられてはいるものの、バランス的にはベースが弱めなのと、全体的にナローレンジで録れているのが演奏を面白く感じられない要因にもなっているので、ここは厳しく星一つ減らしておこう。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)