Zhenya Strigalev / Never Group

Zhenya Strigalev (As)
Tim Lefebvre (El-B)
Eric Harland (Ds)
Bruno Liberda (Electronics)
Matt Penman (Ac-B)
John Escreet (Key)
Alex Bonney (Tp)
Rec. November 2015, Berlin
(Whirlwind Recordings WR4685)

前作「Zhenya Strigalev's Smiling Organizm / Robin Goodie(15年、別頁あり)」が最高に良かったジェニア・ストリガレフだけど、本作にもそれや「Zhenya Strigalev / Smiling Organizm Vol.1(12年、当方未所有)」から引き続きティム・ルフェーヴル、エリック・ハーランドが参加しているのに加えて、マット・ペンマンとジョン・エスクリートもゲスト参加しているのだからそそられる。エレクトロニクスのブルーノ・リベルダ(?)とトランペットのアレックス・ボニーを聴くのはたぶんこれが初めてだと思うけど、はたしてこのメンバーでどういうことになっているのか楽しみだ。

ストリガレフ曲が9曲と、ルフェーヴルとの共作が4曲、ルフェーヴル、ハーランドとの共作が7曲で全20曲。
エレクトロニクスが加わっていることもあって、前作以上にコンテンポラリーな演奏が展開されていて、そのサウンドは「Brad Mehldau, Mark Guiliana / Mehliana: Taming The Dragon(14年、別頁あり)」あたりに近いものがある。それと曲によってはハーランド参加の「Dave Holland / Prism(13年、別頁あり)」的にもなっているね。簡単なコード進行(ワンコード的な)と定型ビートを決めただけのようなシンプルな曲作りの中、ルフェーヴルとハーランドが繰り出す現代的なグルーブに乗っかりながら、ストリガレフが気の向くままに吹いているけれど、休むところはきっちりと休んでいる姿勢は前作とも同様。何らかの物語性を感じさせながら(近未来の映画にでもフィットするような)曲が進行しているけれど、すぐに終わってしまうようなインタールード的な曲やエフェクティブな曲も中にはあるので、普通のジャズの聴き方だと違和感を感じなくもない。でもジャズは基本的に何でもありの音楽なので、こういう現代的なサウンドを素直に受け入れることができる人であれば、それなりにいい感じで楽しめるのではないかな。私としては面白く感じはするけれど、何度も繰り返して聴きたいとは思わないということは、やはりそれだけ年をとって感性が鈍くなっている証拠なのだろう。ロバート・グラスパーのヒップホップ(R&B?)的で、ヴォーカリストも入れ代わり立ち代わりのリーダー作なんかは端から聴く気がしないものね。むしろ若いころにリアルタイムで狂ったように聴いていたハンコックの「ヘッドハンターズ」の方が、あれから40年も経った今聴いても感動する。
なんて思いながら聴いていたけど、中にはハーランドが活躍していておっと思わせるような曲があるにしても、同じような曲調(演奏にはパッションが感じられるものの、楽曲としては無機質な)のものを20曲もやっているものだから、聴き終わった後にはドッと疲れてしまった。期待していたエスクリートとペンマンの出番もごく僅かなうえに持ち味も全く生かされていなくて、これよりだったら前作の方がはるかによかった。本作のミキシングはトランペットのボニーが担当しているけれど、リズム隊と比較するとサックスの音像が小さくて、若干奥にも引っ込んでいるので、せめてペンマンが弓で持続音を弾いているだけの19曲目「The Slow Rub」のようなバランスで全部録ってほしかった。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Never Group
Zhenya Strigalev
Proper Us
2016-05-06