The Power Quintet / High Art

Danny Grissett (P)
Jeremy Pelt (Tp)
Steve Nelson (Vib)
Peter Washington (B)
Bill Stewart (Ds)
Rec. December 8, 2015, NY
(HighNote HCD7290)

ダニー・グリセット、ジェレミー・ペルト、スティーヴ・ネルソン、ピーター・ワシントン、ビル・スチュワートのそうそうたる面々によるザ・パワー・クインテットだけど、おそらく実質的なリーダーはMax JazzからHighNoteに移籍してからもリーダー作がどんどんリリースされていて、もはやレーベルの顔となった感のあるペルトなのだろう。メンバーのグリセットとは最新作の「Jeremy Pelt / #Jiveculture(16年、別頁あり)」等でも共演しているけど、他のメンバーとやっているのは「Lewis Nash Quintet / The Highest Mountain(12年、別頁あり)」でのワシントン以外は聴いた記憶がないので、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

ペルト曲が3曲、グリセット曲が2曲、ビルスチュ曲が1曲、モンクの「We See」、スタンダードの「But Beautiful」で全8曲。
まずはごく普通のゆったり目のブルース演奏となっている「Look at Here」(ペルト曲)でスタートだけど、アドリブ一番手がいきなりワシントンなのが意表を突くね。このバンドとしてはあいさつ代わりの演奏ではあるけれど、シンプルな曲調の中、各人とも持ち味を活かしたアドリブを取っていて、早くもいい感じで楽しませてくれる。2曲目「Heard's Word」はグリセット曲。ハンコックの「Empyrean Isles」あたりを連想させるハードバップ風味を加えたモーダルな曲調が実にいい。当然ながら各人の本気度も増していて、特にビルスチュのアタックを効かせながらのドラミングが、いつものことながらカッコいい。ペルト曲の3曲目「Sage」はアップテンポの4ビート。ますます「Empyrean Isles」中の「One Finger Snap」的な演奏となっていて、こういう曲調のものが大好きな私としては動いた体が止まらなくなってしまう。それに輪をかけて続く4曲目「Mr. Wiggleworm」(グリセット曲)では、いかにもグリセットらしい複雑な曲構築の中、ビルスチュが大張り切りして叩いているのだから(ドラムソロもあり)、なんともたまらない。
残りの曲は割愛するけれど、4ビートできっちりと勝負をかけている演奏には捨て曲は1曲もなし。曲が進むほどに手に汗握るスリルと興奮が味わえる。録音は「Marc Copland / Zenith(16年、別頁あり)」でイマイチに感じた内藤克彦だけど、本作は流石に録り慣れているレーベルだけあって、各楽器の音質、バランス共に申し分がなく、その音の良さが演奏の魅力をさらに増幅させているね。ザ・パワー・クインテットという名前は大袈裟な気がするけれど、内容的には文句なしの5つ星。ラスト曲を大好きなモンクの楽曲で締めているのにも非常に好感が持てるし、トータル49分という長さもちょうどいい。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

High Art
Power Quintet
Higno
2016-05-27